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ヒトラー演説 ー 高田博行

⒈ビアホールに響く演説術(1919〜1924)

まず、アドルフ・ヒトラーの人生の変遷について述べていきたい。

アドルフ・ヒトラー・・・ドイツ国首相、および国家元首(総統)であり、国家と一体であるとされた国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)の指導者。
「自分たちが最も優秀な民族」だと主張し、1933年に首相に指名され、1年程度で指導者原理に基づく党と指導者による一極集中独裁指導体制を築いたため、独裁者の典型とされる。その冒険的な外交政策と人種主義に基づく政策は、全世界を第二次世界大戦へと導き、ユダヤ人などに対する組織的な大虐殺「ホロコースト」を引き起こしたと認識されている。敗戦を目前にした1945年4月30日、自ら命を絶った。

近代扇動者として、映画など様々な観点でメディアで取り上げられているが、そもそもヒトラーは、この弁舌力をいつ、どこで手に入れたのであろうか。

➡️彼の著書「我が闘争」の文中には、『小学生の時に級友であるワビツェクとの白熱した議論をした日々のおかげである』と記されている。

演説の特徴

①仮定表現 「もし〜とすれば、〜だ」

②対比表現 「AではなくてBである」

③焦点を絞る副詞 「〜だけ」

➡️ヒトラーは、自らの主張に好都合な仮定をしたうえで議論を展開し、対比法を用いながら、主張したいポイントに焦点化して話している。

また、演説の準備を入念にしていた。キーワードで埋め尽くされていた原稿が死後にたくさん発見されている。演説時に、その場で思いついたことを言っているように聞こえた言い回しや文が、あらかじめ文字でメモ書きされていた。

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⒉プロパガンダ(1925年〜1928年)

今やSNS・WEB広告が主流になっているが当然だが、もちろんこの時代は、ない。

では、この時代で広告の代表作であったのは何だったのであろうか

➡️それは、プロパガンダであった。

プロパガンダ・・・布教宣伝。情報の送り手が、用意周到に情報を組織的に統制して特定のイデオロギーが受け入れられるように、受け手に対して、働きかけることである。(ラテン語の動詞で、「繁殖させる」「種子をまく」)

ヒトラーの言葉に印象的な一説がある

➡️『本能的な嫌悪、感情的な憎悪、先入観に囚われた拒絶』

心の中に入り込むためには、「ごく僅かなポイントだけに絞り、そのポイントをスローガンのように利用する」

➡️従って、主観的で一面的な態度、ポイントを絞り、繰り返すことだけで大衆の心を掴むことができると考えているわけではない。演説家は、「その時々の聴衆の心に話しかける」ことが重要であると考える。聴衆の反応をフィードバックしながら、演説を修正していくことが必要だというのである。

①先取り法・・・相手が思っていることを自ら先に引き合いに出して話すこと

聞き手の心を動かし、共感を得る雄弁な語りをするには、

①発見 ②配列 ③修辞 ④記憶 ⑤実演

➡️話題とするテーマをうまく見出し、語りたい内容を適切に構成し、語りたい内容をさまざまな言葉の文彩で魅力的に表現し、さらにはそのようにして紡ぎ上げた表現をそらんじられるように覚え込み、そして、その覚えたものを実際に表情豊かに口に出すことで、人は説得的に語ることができる。

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