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いじめから逃げなかったこと。強くいて良かったと思うこと。『三月のライオン』

私は小学生の頃、いじめられていました。

当時の私はそれをいじめと言って良いのか分からなかったけれど、小説や漫画やアニメがやっぱりそれはいじめなんだと教えてくれました。

よく描かれるような、物を壊され隠され、黒板になにか書かれたり、机に書かれたり、そういった労力を払うような見てわかるものが無かったから、いじめだと私は言えなかったのだけれど

陰口を言われているのには嫌でも気づいてしまうものです。また、クラスの女の子たちにただひたすらに無視され、転校して2年目の私の数少ない友人を取られるように引き離され続けました。

一番辛かったのは、クラスの女の子みんなの前で「私の嫌いな人はみずちゃん!」と言われたことです。


今、アニメ『三月のライオン』を見ています。
このお話は中学生の時にプロ棋士になった桐山零くんが主人公の将棋のお話です。この桐山くんがとある三姉妹のお家にお世話になっていて、その2人目中学生の女の子ひなちゃんがいじめられているお話があります。

アニメでは第2シーズン真ん中で取り上げられています。結構リアルな学校のいじめで経験者的には胸をえぐられます。いじめる側の態度や考え、いじめられる側の心情、それにクラスの空気。いつから生まれたのか分からないカースト制度。声をあげられない環境。言っても聞いてくれない先生。

ひなちゃんは友達がいじめられていたのをかばって、次は自分が標的にされてしまいました。ここでは物隠されたり、悪口言われたり、かなり陰湿ないじめを受けていました。

学校というものは皮肉なもので、平等なんです。
いじめにあっていても授業は進むし、休み時間はあるし、修学旅行なんかの学校行事もあるんです。

ひなちゃんもいじめの最中、修学旅行がありました。独りでの修学旅行ほど辛いものはない。でもひなちゃんは言うのです。

私は学校には絶対最後まで来る!!
無視はこらえる!!
ーでもやられたら「やめて」って声を上げる
黙ったりなんかしない!!

こんな所  何があったって
生きて卒業さえすれば私の勝ちだ

ひなちゃんの言葉

私もそう思って通学する時期がありました。

絶対に学校は休まない。
人前で泣かない。弱さを見せない。
無視はこらえる。
何かあったら先生に言う。ママにも言う。
何があっても休まない。卒業するんだ。

それに私には話しかけてくれる、(空気の読めない)男の子たちがいました。きっとそんな嫉妬とかからいじめられていたんだろうって当時の私にも分かりましたから、なんとかやっていけたんです。


私にされていた“それ”をいじめだと言っていいんだと思えたのには、先生のこんな言葉もありました。

証拠なんてね
出て来る訳が無い
イジメではね
証拠そんなのが無いのが当たり前なんですよ

〜中略〜

川本がいじめにあったと口にしたことが
すでに一つの証拠なんですよ

先生
※川本がいじめられているひなちゃん


さて、話は戻って。
ひなちゃんの救いは家族と零くんと元々いじめられていた友人のちほちゃんからお手紙が来たことでした。

私は数少ない友人であった子を心から信頼できる日は来ませんでした。その子が私にあったものをいじめであると分からなかったんだと思います。終わったあとに「ごめんね」とか、なにかあれば違ったかもしれないのに、なにもなく、ただ私は上っ面の友達関係を続けることしかできませんでした。

いじめる側といじめられる側
対立した時に思うことが、いじめられる側からいじめる側へは言葉が通じないってこと。正直私から見ていじめる側は話が通じません。言ってることから全く違う方向から返答がくる。論点がずらされていく。伝わらないじゃなくて、受け取ってもらえないんです。きっと私のかつての友人ももしかしたら、私にとってそんな人だったのかもしれません。


いじめを描いてくれる小説や漫画やアニメがあるから、いじめられた私は救われるのです。

いじめてきた人をめちゃくちゃにして
私と同じくらい苦しんで
なんなら死んじゃえばいいのになんて思ってしまう
でも、そんなことできない。

クラスメイトも先生も親も、
時と場合によっては聞かなかったことにする。

そうやっていじめは“元から無かったもの”にされがちである。


だからいじめを描いたものを見る時はすごく心が苦しくなるけど、それと同時にすごく感謝するんです。
無かったものにないでくれてありがとうって。

いじめは確かにあって
無視も陰口も、もの隠しとか壊されるとか
証拠の無いものだけど、

それでも確かに、学校にいじめはあると
そう世間に訴え続けてくれるから

いじめはそこに確かにあると
大声で本やテレビやネットを通して
そのリアルを伝えてくれてありがとうって
私は思うのです。

よくあるいじめは被害者が1人で立ち向かっていかなきゃいけない。手を差し伸べてくれる人は本当に少ないし、そこに介入できる人はもっと数が絞られるから。

でも、そうやって一人で戦ったことも、
時が過ぎて終わってしまえばみんな無かったものになる。

被害者一人で傷を癒そうとし続けないといけないのもまた、事実だと思う。

私がその一人だ。
あの傷はもう痛くないけれど、心にずっと在り続ける。



だから零くんがひなちゃんに言ったこの言葉に、私は久しぶりに声を上げて泣いたんだと思う。

どんなに泣いても苦しんでも
決して意志を曲げなかったこの小さな勇者に
心の中でもう一度

小さく忠誠を誓った

零くん

私は小学校でいじめにあっていたし
そこで身一つで戦って
逃げないで、強くあったんだと。



そんな人の存在を知ってくれる人がいる。
私はそれで十分だ。

後悔なんてしないっっ
しちゃダメだっ
だって私のしたことは
ぜったい
まちがってなんかない!!

ひなちゃん


小さくて弱くて
でも強くて頑固で
優しくて繊細で静かでゆっくりで
世界の中は俺だみたいな自信をもってて
でも自信なくて、
だから、ひたむきに努力する零くんが
めっちゃ好きだー!



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