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インスタグラムに更新するたびに、たくさんのいいねと「憧れです」のコメントが届く部屋。 シ…
いつのまにか、8月が終わっていた。 まだすぐに汗ばんでしまうほどに暑くてたまらないのに、カ…
シワシワのレジ袋をテーブルの上にグシャッと放った。 夕飯に買ってきた弁当の蓋のプラスチッ…
酷く喉が乾いて目が覚めた。 カーテンの隙間から、昨夜激しく降っていた雨は、もう止んでしま…
「今ならわたし、この一杯のリキュールで酔ってしまえる気がするわ」 ふっと一瞬だけ目線を合…
ギギ…と軋んだ音を立てて小さな木箱を開けた。 甲高く半音ズレた「月の光」が小さな部屋に駆…
「今日もきみの料理は美味しいね」 そう言って微笑むあなたの笑顔がわたしは好きだった。 こげ茶の大きめの陶器の皿に盛られた肉じゃががホカホカと湯気を立てる。 日が暮れ始めても、もうシャツ一枚で過ごせるほど暖かくなったのに、相変わらず、あなたはわたしの肉じゃがが食べたいと言う。 涼しげなブルーの江戸切子のコップを冷酒でそっと満たす。 肉じゃがを食べるといつもあなたはこれを欲しがるから。 「すごいね。僕が何を欲しがるのか分かるの?」そしていつも同じセリフを口にしながら、大げさに驚い
「もうすぐサクラもお終いだねぇ。きっと、今夜の雨で全部散ってしまう。」おばあちゃんは、縁…
基本のステップなんて、アン・ドゥ・トロワ 先生のカウントが無くても簡単に踏めてしまう。 口…
僕の持つ真っ白なパレットには世界が広がっている 赤、黄、青、黒、白、そして混ざり合って出…
灰色のビルの屋上で、流されるように飛んでいる鳥を見上げて、あぁ、いいなと思った。 このま…
「ねぇ、永遠なんて信じる?」きれいな薄ピンクのネイルが施された指先で自分の腕をなぞりなが…
見慣れたはずの道の先がぼやけて何も見えない。 まるで異世界へ繋がる入り口に向かっているよ…