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2023年詩

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#世界

171「詩」境目

171「詩」境目

境目がある

正しいことの境目がある
信じるものの境目がある
許せることの境目がある

境目が
もっとぼんやりと太かったら
境目でぶつかる力が和らぐかも
しれない

境目が
もっと優しさに満ちていたら
境目の向こうにある世界を
受け入れる力になるかもしれない

境目が
もっと柔らかく交わっていたら
地球は
争いのない星になるかもしれない

169「詩」忘れないで

169「詩」忘れないで

ぽつりと
冬の夜道に
立っていた
辺りは闇に包まれ
手の届くあたりに
何があるのかさえ
分からなかった

長い時間の渦に
ぐるぐると巻き込まれ
歩く方向も見失った

なにもかも人間が壊してしまった世界は
果てしなく広がって
色を失った瓦礫が
見渡す限り続く

ふと
足元を見る
小さな蕾に気づく

灯りのような
小さな蕾は
おそらく
朝の光を合図に
薄く透き通った花びらを
開き始めるだろう

忘れな

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159「詩」月が

159「詩」月が

おなじ月を見ている
おなじ月が見ている

正しかったことが
ある日突然
正しくなくなった世界

片隅に住む人たち

願いはなんだ

食べ物も寝る場所

あるのに
空っぽになった心

ある
物に満ちて住む人たち

願うのはなぜだ

おなじ月に願いを届ける
おなじ月が願いを届ける

地球を見ながら
月が願いを届ける
宝石のように輝く地球には
宝石のように輝く平和が
いちばん似合っているのだと

119「1行詩」

119「1行詩」

夕焼けが違う世界に続く朝を連れてくる

※中学1年の時からのお友だちが撮った写真に言葉を付けてみました。

79「詩」夕方の光景

79「詩」夕方の光景

#スキしてみて

重い荷物を背負って家路に着く

自分のためだけの見せかけの優しさや
人々の悪意が
心に突き刺さって
鈍い痛みになっていた

ふと
空を見上げる

オレンジ色に染まった雲が
今日1日の汚れたものを
弔っていく
清らかなものだけ残して
オレンジ色は小さな塊になっていく

もうじき満点の星が
何万光年離れたところから
輝きを届けはじめるだろう

はるかかなた
思い描くことさえできない遠

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55 この子たち

55 この子たち

おはよう
隣にいてくれるこの子たちのために
元気でいよう

この子たちは
過去も未来もなく
今だけしかない
今を
精一杯生きる

意地悪とか
妬みや羨みなど
知らない世界で
今を
精一杯生きている