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「全国最中図鑑」32 虎朱印最中(神奈川県小田原市)

2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』は、源頼朝を陰で支えて鎌倉幕府の創立に大きく貢献し、頼朝の死後は幕府の実権を握って執権政治を行った北条義時の物語である。
その北条氏の名跡を継承した小田原北条氏(後北条)は、家印(公印)として「禄寿応隠ろくじゅおういん」という文字の上に虎を置いた「虎朱印」を使用していた。なぜ虎だったのかは定かではないが、戦国大名は印章に虎や馬・象・獅子などの動物を描き、それに各々の印文を刻して個性を主張することが多かった。北条氏はその先駆けだったと言われている。
「禄寿応隠」という韻文には、「領民の禄(財産)と寿(生命)が応(まさ)に穏(おだ)やかであるように」という願いが込められている。
北条虎朱印最中は、この「虎の印判」を模したもの。十勝地方で栽培された大粒の大納言小豆を丁寧に煮込み、求肥を添えたぜいたくな餡が自慢の一品である。
神奈川県指定銘菓に認定されている。

正栄堂菓子補
小田原市寿町4-17-24

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日本を代表する和菓子の一つである「最中」。香ばしいパリパリの皮とともに餡を頬張れば、口の中にふわっと広がる品のよい甘さ。なんとも幸せな気分になるお菓子です。編集スタッフが取材の途中で出会った最中のなかで、ユニークで忘れることのできないご当地最中を紹介していきます。


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