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「旅そば」万歳! 八枚目 麦切り


 無類のそば好きを自認するH助が、旅先で出会ったそばについて書き綴るのがこの連載です。ただし、当方、ウンチクの多いそば好きではなく、ただ単にそばを食べるのが好きという輩。偶然出会ったその地方ならではのそば(=旅そば)を、のどごし良く紹介していきます。


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「そば」でもなく「うどん」でもない⁉︎
でもやっぱり……

 今も東京とは思えない豊かな自然が残る奥多摩。休日や行楽シーズンには、たくさんの観光客で賑わう東京屈指の観光地だ。しかし、オフシーズンの平日は思いのほか閑散としていて、人影もまばらだとか。奥多摩を満喫するなら、平日に限る! ということで、いそいそと奥多摩へと出かけたのである(もちろん、仕事も兼ねてですが)。

 いやぁ〜、思っていた以上に自然!自然!自然!だった。目に鮮やかな緑の中を流れる氷川渓谷。駅から歩いてすぐのところにあり、川原には自由に降りることができる。川沿いに連なる旧青梅街道の宿場町・氷川宿の古い町並みを歩けば、じんわりノスタルジックな気分になってくる。


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 氷川宿の集落を抜け、さらに歩いていくと、氷川国際釣場なる建物が見えてきた。はてはてなんぞや。のぞいてみると、マスの釣り堀だった。近くを流れる日原川の平坦な川原を利用してつくられたもので、見れば、平日にもかかわらず親子連れが釣りに興じていた。


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 そして、この建屋に入ったときに目に飛び込んできたのが「麦切り」という言葉だった。どうやらこの建物にある軽食屋で麦切りがあるらしい。「麦切り」といえば、山形県庄内地方の名物(小麦粉をこねてうどんより細くきったもの)だったはず。なぜ、こんなこところに????


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 店に入ると、麦切りの説明が書いてあった。曰く、江戸時代には、小麦粉だけで打ったものを「うどん」、小麦粉に蕎麦粉を入れて打ったものを「そば」、小麦粉に大麦粉を入れて打ったものを「麦切り」と呼んでいたらしい。山形の庄内地方の小麦粉だけのものとはちょっと違うのかな。この奥多摩地方でも古くから小麦粉・大麦粉を挽いていたようで、奥多摩では馴染みがあるものらしい。


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 それじゃ、麦切り、一丁!
 しばし待って、出てきた出てきた。平打ちうどんのような形状だが、色はそばの色。ネギがまぶしてあり、刻み海苔がはらりとのっけてある。


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 どれどれ、ずるずるっと一口すすってみる。いや、すするという軽やかな所作では持ち上がらぬほど、ずっしりと重い麺だ。ほうほう、香りがなかなかいい。食感も、のどごしが良い悪いというよりは、がっちり噛み応えがある。もちもちした食感が気持ち良い。
 麺もさることながら、特製の味噌ピーナッツだれがうまい! 少し酸味の効いたタレと絡み合った麺は食欲をさらに高めてくれる。


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 うん、なかなかおいしいじゃないか。麦切り!
 たしかに、そばでもなく、うどんでもないが、どちらかというとそばに限りなく近いような気がする。
 みなさんも、東京奥多摩に行った際には、ぜひ、氷川国際釣場の軽食屋(蕎麦屋ではなく、あくまでも軽食屋で、店内は予想以上にレゲエ感がただよっている)に立ち寄って試してみては。


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氷川国際釣場
東京都西多摩郡奥多摩町氷川397−1
0428-83-2147

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