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子供の障害を受け入れる道のり

こんにちは、モンブランひとみです。

今回は「障害受容」について。

障害受容とは、障害(あるいは病気)を受け入れること。

子供に病気や障害があると分かった時、すべての親は動揺します。
不安になるし、怒りや理不尽さも感じます。

そして同時に、ありのままの子供を受け入れられない自分はなんてダメな親なんだと自分に絶望します。

「障害受容」は言葉で言うほど簡単なものではありません。

でも、どんな過程を辿るのかを知るだけでも楽になる部分があるんです。

今回は子供の病気や障害にぶつかったとき、親はどんな感情を経験するのかを説明します。

子供の障害は人生の危機

障害受容で有名な理論は、ドローターの『障害受容の段階的モデル』です。
先天的奇形を持つ子どもが誕生した時の、親の反応を図にしたものです。

Ⅰショック
Ⅱ否認
Ⅲ悲しみと怒り
Ⅳ適応
Ⅴ再起

上記5つの感情(心の反応)が、時間を掛けながら移り変わっていく様子を示した図です。


この理論の特徴は、各段階の感情が、大きくなったり小さくなったりと波のように繰り返すことと、いくつかの感情が同時に起こる時期もあるということです。


もうひとつ。
こちらはキューブラーロスの『死の受容プロセス』です。

①否認
②怒り
③取引
④抑うつ
⑤受容

精神科医であるキューブラーロスは、癌などで死に直面した人たちがどのように自分の死を受け入れていくかを見守り、その中で多くの人が同じような過程を辿ることに気が付きました。

キューブラーロスの理論は、医療現場においてよく使われる理論です。


ドローターとキューブラーロスの5つの過程はとてもよく似ています。

障害を受け入れることも、死を受け入れることも、
心の危機に直面しているという点で同じということがわかります。

子供の障害というのは、自分の死にも匹敵する。
それくらい大きな人生の危機
なんです。

実際に子供の発達に不安があったり、子供が発達障害であることがわかったお母さん・お父さんは、これが大げさだとは感じないと思います。

きっとそれくらいの衝撃を受け、今もそんな揺れ動く気持ちの中で葛藤しています。

 「大変な思いをしているんだ」
 「こんな気持ちになることは当たり前なんだ」

まずはそう気づいて欲しいです。

受容の過程

ドローターの障害受容の5つの過程を詳しくみていきましょう。

Ⅰショック

障害があるということを知り、ショックを受ける段階
あまりのショックに感情が鈍くなるなどの反応も起こる

Ⅱ否認

「障害なんてない」「何かの間違いだ」と、否定しようとする段階
現実を受け止めないと頑なになることも

Ⅲ悲しみと怒り

理不尽さに、悲しみと怒りを感じる
否認と同時に起こることも多く
強い感情が沸き起こる、感情の波も大きくなる

Ⅳ適応

現実として障害を受け止め始め、前向きに努力をし始める
前の段階への揺り戻しも起こるが、少しずつ心が安定する

Ⅴ再起

障害を前提とした新しい価値観を再構築する
生きがいを感じられるようになる


各段階にとどまる時間は人によって様々です。
個人差があります。

短時間で受容できる人もいるし、悲しみと怒りの段階に時間をかける人もいます。

でもそれが悪いわけじゃありません。
無理に進めようとすると、激しく揺り戻されることもあります。

大切なのは
 ①どんな人も必ず全てのステージを辿る
 ②時間の掛け方は人それぞれ

人と比べる必要はなく、先の段階に進んでいる他の人を見て焦ったり劣等感にかられる必要もありません。

子供の障害が多様なのと同じで、
それを受け止める親もまた、それぞれのペースを大切にしていい。


最後に


障害受容の理論は他にもいくつかあります。

オーシャンスキーの『慢性的悲哀説』では、
「子供の障害を知ってから、親は絶え間なく悲しみ続けている状態になる」と言われています。

障害のない子を見たり、入園・入学というライフステージの変化のたびに「障害がなければ…」と悲しむ気持ちが沸き起こる。

当事者親としては、それも納得できる説です。

障害受容は言葉でいうほど簡単なものではありません。
きれいごとなんかでは片づけられません。

もし障害がなければ…
感じなくて済んだかもしれない悲しみを多く感じるかもしれません。

もし障害がなければ…
体験せずに済んだ苦労があるかもしれません。

でもその「もし」に目を向け続けるのも苦しく、悲しい。

前向きに明るくなれなんてことは私は言えません。

もしかしたら周りには「前向きになろう」と言ってくる人もいるかもしれません。


でも悲嘆の感情を抱くこと、それを否定する権利は誰にもありません。
今の暗く鈍く重苦しい感情は否定せずに受け入れて欲しいと思います。


そして受容の段階に辿り着けない自分を責める人が減るといいなと思っています。

辛い感情を軽くするためのヒントがあるとしたら、それは3つです。

 ①知識
 ②仲間
 ③時間

知識は暗くて何も見えないトンネルで、足元を照らす小さな光です。
全ては解決できないけれど、進む道を照らしてくれます。

仲間は感情を共有する仲間です。
家族でも、友人でも、支援スタッフでも。自分の感情をありのまま出せる場所をひとつでも見つけてください。

最後は時間
どんなことも時間が癒してくれます。その時間をやり過ごすのが辛いから苦しいことも知ってます。だからこそ、時間が何とかしてくれると信じつつ、知識と仲間を頼ってください。

暗く長いトンネルの中で時々光が差す時もあります。
この記事が、足元を照らす光になれたら幸いです。

▲あわせてどうぞ
不妊・切迫・火事・病気に直面した時の心境をつづったnoteです


参照:障害保健福祉研究情報システム


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