電車内清掃アルバイト 急にこわい編
6回目のアルバイト。
前回は本当に順調で何も事件はなかったから書けなかった。良いことなんだけど。
今日の曲占いは…
とまどい/広末涼子
んーどういうことなんだろ
僕はとまどった
今回も平日だったので21:45〜だった。ただ相変わらず始まるのは22:20からとか。
まあでも遅刻は蝶野さんが許さないので僕はぴったりに着くように行っていた。
事務所に入ってテレビ見てると蝶野さんが来て、
「おはよう、なんか今日運転士でコロナが出たらしいぞ」と言った。
こえー!!
マジでマスクと手袋に気を使ってやろう。。
僕:「てか蝶野さんってがたい良いですよね」
蝶:「俺昔柔道やってたのよ。だから国際の資格とろうかなーと思って。オリンピック選手育ててお金貰いたいし」
なんか分かんないけど、未来の自分が重なって見えてしまった。
「しまった」って。失礼か。
だって俺も還暦前にこんなこと言ってそうだから。
蝶野さんはそろそろ電車来るかな、と言って
"ブッ!!"
と屁をこいた。
僕が「いやいやwやめてくださいよw」と言うと、
蝶野さんは
真顔でこっちを見て何も言わなかった。
さあ行こう
と蝶野さんの声がクーラーの音を切り裂いて
今日も始まった。
今日もまだ蝶野さんについてもらって二人でやるみたいだ。
僕は安心したが正直もう一人で出来る。
多分蝶野さんもしげのさんも昼勤の社員の人も、もう一人でいいだろと思っている。
だが誰も言わない。
みんなルールに縛られている。
ただ俺は二人でやりたいからそれを解こうとしない。
縛られている方が心地いいのだ。
ただ本当は縛りたいのかもしれない。しかし縛りたいという思いがあるのに縛られている、というところに興奮するのだ。
Mとはそういうものだ。
まぁいいやぁ
外に出ると、夏の匂いがした。
だけど僕はまだ独り立ち出来ず、赤い首輪はついたままだった。
清掃が始まり、ちょいちょい網棚の上の雑誌とかを見落としてしまったが、順調に仕事を進めていた。
すると3台目くらいの時に、電車のつなぎ目にゲロがあった。
そのゲロはジャバラの上で揺れていて、ヘッドライトで照らすと、ハンモックでくつろいで肌を焼いてる様だった。
そこを蝶野さんは新聞で掃除した。これはかなり大変だ。
みなさん、ゲロはつなぎ目で吐くより通路で吐いた方が掃除は楽なので、通路で吐きましょー!
嘘!
袋とかに吐いてー!
とか思ってたら、ゲロの入った袋が丁寧に結んで通路に置いてあった。
いやそこまでしたならゴミ箱捨ててー!
その日の蝶野さんはご機嫌で、そうですあたすが変なおじさんですとか志村さんの真似をしたりしていた。
そんで手に持ってるライトを電車の手すりとかにくっつけて遊んでた。
僕:「え!そのライトくっつくんですか!」
蝶:「そうだよ、磁石がついてるから鉄にくっつくんだ。ほら金にもくっつくよ。キーーーーーーン」
と言って股間にライトを押し当てた。
僕は何も出来なかった。
ごめんなさい。蝶野さん。
その後の車両で明るいうちになるべく進めようと思って急いでいると、前から運転士が一人連れて歩いてきた。あっちも研修かなと思ったら一人は普通のスーツを着ている。
どうやらお客さんだ。寝過ごして車庫まで来ちゃったらしい。
すれ違う時に運転士が
「すみません、お客さんいたんで窓閉めれてないです。ごめんなさい」
と言ってきた。
ん?
と思って蝶野さんに聞くと本当は窓閉めるのは運転士の仕事らしい。でもコロナで全部空いてらのが大変だからいつの間にか僕らに任せることになったらしい。
なんでやねん!!!
町田生まれ町田育ちの僕もさすがになんでやねんだった。
ただたまに閉めてくれる運転士もいるらしい。今すれ違った人はそっちの人なんだろう。
その人は確かに優しくて寝過ごした人を出口まで送る間、気を使って電気をつけたままにしてくれていた。
そのおかげで掃除は早く終わった。マジで常にこれにして欲しい。
電車降りる時にその運転士に会って、少し話したら寝過ごしたお客さんは怒ってたらしい。なんでこんなとこまで連れてきたんだ、駅まで送れ!と言われ、駅まで送ったとのこと。
なんでやねん!!!
町田生まれ町田育ちの…
その運転士は優しかったが、
挨拶してもシカトして僕らが降りる方のドアの鍵を閉めてく様な運転士もいる。
そいつらはマジでうんこを見る様な目で僕らを見てくる。
僕らはうんこがないか見て廻ってるというのに。。。
あと二台だ、と思って掃除してると網棚に新品の味噌が忘れて置いてあった。
蝶:「バカだなぁ、せっかく買ったのに今日味噌汁作れないじゃん」
僕:「本当ですね、奥さんとかに怒られてそう」
蝶:「まあそしたら、いいわよあなたの脳味噌で、あらあなたの味噌全然味しないわねえって言って食われてるんじゃない」
急にこわっ!!!
全部の車両が終わり、事務所に戻るとしげのさんがいた。
しげのさんはスマホの忘れ物を持っていて紙に忘れ物の詳細を記入していた。
し:「スマートフォンってスマートフォン?スマートホン?」
僕:「いやスマートフォンですよw」
し:「でもスマホだとホだよね」
確かに!
その着眼点に勃起こそしなかったが、感心した。
最後にちりとりとほうきを持って倉庫にしまいに行った。
「隣の建物で乗務員の人が寝てるから静かに開けて静かに閉めろよ」
と言う蝶野さんの声は大きかった。
また何かあったら報告します!
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