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【短編小説】I don't Want to Miss a Thing〜君を離したくない〜

#短編小説 #1日は小説の日 #君を離したくない #エアロスミス #Aerosmith #恋愛物語 #ピアノ #弾き語り

毎月1日は小説の日という事で
今月も投稿です。
最近のお気に入りは好きな楽曲を
小説にするというやり方です。
最初のインスピレーションで
どんな小説になるのか?
物語がどんどん変化していく様子も、
自分自身楽しんでおります。
ジェンダーレスの時代に、男と女の恋愛だけが
成り立つわけではありませんが、
私的には体は男性で、心も男性
そして体が女性で、心も女性を好むので、
どうしても男と女の、
恋物語になってしまいます。
最近は恋をしていないので、???
歌、楽曲は生まれませんが、
思いっきり自分の歌を歌いたい衝動には、
駆られますね。
そういう意味で、
ステージでスポットライトを浴びたい。
そんな願望は残っているのかもしれませんね。

本日は約2000字の小説です。
時間のある時にお楽しみください。

今回のテーマ曲はこれ

なぜかこの歌を聞くと涙がこぼれてしまうんですよね。
心をもぎ取られ、切なさがこみ上げる的な感じですかね。

今回の小説は、
どんな物語が紡がれていくのか?
楽しんでいただければ嬉しいです。

I don't Want to Miss a Thing
〜君を離したくくない〜

<男はいつも女々しく、情けない。
 特に好きな女性の前ではそうだ。
 僕はもう君無では生きられない。>

ジョイはリコを見つめながらそう思っていた。

リコは毎日のように、
ジョイの演奏を聴きにきていた。
そんなリコにジョイの凍った心は、
やがて少しずつ溶けていった。

路地裏のピアノバーで弾き語りをする日々、
時々ファンの子たちに誘われて、
一夜を過ごす事もあった。
けれどジョイの心は凍ったままだった。

3年前一緒に暮らしていた女性は、
ピアノを弾く事しかできないジョイに、
愛想をつかして出ていった。
彼女も最初はジョイの演奏を聴くのが
好きだった。
しかし、代わり映えのしない日々に、
貧しい日々に、そんなジョイとの生活に、
飽きてしまったのだろう。
愛想をつかしたというのが、
本音なのかもしれない。

ジョイのピアノを弾く原動力は絶たれ、
それでも生きてくために、
稼がないといけなかった。
街を転々としてピアノを弾いた。
一度限りの店も少なくなかった。
ジョイはその度に、彼女を思い出しては、
切ない思いに浸り、また別の街へ旅をした。

今仕事をさせてもらっている、
路地裏のピアノバーのオーナーが、
2階の部屋を提供してくれているから、
ギリギリ生活は成り立っている。

ジョイはもう二度と恋をしないと決めていた。
<男は常に女々しい、好きになればなるほど
 何も見えなくなるから、もう恋はしない>

そう心に誓っていたはずだった。

「ねぇ、今何考えているの」
リコがジョイの左腕に頭を預けながら
微笑むように聞いてきた。
ジョイは黙ってリコを抱き寄せ、
その瞳にキスをした。
リコは嬉しそうな顔をして、
ジョイの唇にキスをした。
長く深いキス。
二人は絡み合うようにお互いの体を
むさぼっていった。
ジョイは盲目の闇の中に、
落ちていくような感覚に襲われながらも、
リコを求める事が辞められなくなっていた。

路地裏のピアノバーの2階に、
リコの荷物が少しずつ増えていった。
リコはこの部屋から、
会社へ通う事が多くなった。
ジョイはベッドから、
リコが長い髪を束ねるしぐさを
見るのが好きだった。
「何見てんの・・・」
リコも嬉しそうにジョイを見ていた。
その度、リコを失う事の切なさが
こみ上げてくるのだった。
「時々悲しい顔するのね、ピアノの音も
 あなたの歌声も、
 悲しみが伝わってくる時があるわ」

ジョイはリコに見透かされている。
そう思った。
ジョイは一層悲しい顔になった。
リコは着替えたばかりの白いブラウスの胸に
ジョイの顔を押し当てて
ジョイを優しく抱きしめた。
少しだけ香水の香りに包まれたジョイは
リコに本心を打ち明けた。

過去の自分
女々しい自分
弱い自分
情けない自分
強がっている自分
闇に落ちていきそうになる自分

そして
「もう君を離したくない、
 もう君と離れたくない
 ずっと君をみていたい」

リコはジョイを抱きしめたまま
じっと聞いていた。
化粧したばかりの頬に涙が流れていった。

リコもまた同じ気持ちでジョイを見つめ、
過ごしていたことを話した。
「人は皆女々しいの。
 でも、もう一人の自分と常に向き合って、
 本当の自分をさらけだしても大丈夫か
 常に葛藤しているの。
 ジョイ、あなたは正直な人なのね。
 そして、私を好きになってくれてありがとう
 私もジョイとずっと一緒に居たい。
 ひと時も離れたくないのは同じよ。
 でもね、仕事も大事。
 私はピアノを弾けないから、
 今日もオフィスで仕事して来るわ。
 だから・・ピアノを弾いて待っていて、
 私のために、まっていて」

リコは速足で路地裏のピアノバーへ向かった。
いつものようにドアを開けると。
ジョイがピアノの前に座っていた。
マスターがカウンター席を目で示した。
リコはカウンターに座り、
ジンライムをオーダーした。

ピアノにスポットライトが当たった。
やがて、ジョイが弾き語りをはじめた。
「I could stay awake just to hear you breathin」
それはエアロスミスの
<I don't Want to Miss a Thing>だった。
リコはこみ上げるものを抑えきれず
大きな瞳から涙が流れるのを感じていた。
そして、静かにジョイの元へ歩いていった。
「Don't wanna close my eyes・・・」
リコはジョイと一緒に歌っていた。
ジョイの少し青みかかった瞳を見つめながら。

おわり

編集後記

人は常に後悔と懺悔を繰り返しながら、
生きていくのかもしれませんね。
それは恋においても同じなのかもしれません。
もうこれ以上好きな人は現れないと思いながら
また、恋焦がれていく。
でも、それでいいじゃないですか?
それを認めることから、
人生の物語は第二章、第三章に、
入っていくのかもしれませんよね。
今回の短編小説は、

Close to Youの続編みたいになってしまいました。
本当はまったく別の物語を考えていたのです。
ただ書き進めるうちに、
続編のようになってしまいました。
まぁそれも良いでしょう。
なので、続編に合わせた楽曲である、
弾き語りとデュエットの曲を、
後から探して貼りました。
ぜひ上のYouTubeリンク、
クリックしてみてください。
なんか私もこんな小説のような恋が
してみたいと思っちゃいますね。
ピアノは弾けませんけど・・・

本日も最後まで読んでいただき、
ありがとうございます。
皆様に感謝いたします。

サポートいただいた方へ、いつもありがとうございます。あなたが幸せになるよう最大限の応援をさせていただきます。