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【短編小説】 オートバイのパン屋 Fourth stage

#短編小説 #フィクション #オートバイのパン屋 #パン工房 #ワイン #ワイナリー #ピノノワール #Pan_de_companella #焚火 #焚火台 #モンドセレクション #Kawasaki #バイク #1日は小説の日

毎月1日は小説の日と言う事で
(私が勝手に決めたのですが)
10月も投稿いたします。
あっという間に今年もあと3か月
さぁ何をやりますか?
私のスケジュールも空きをみつけるのが
苦しい状況ですね。
さてさて・・・
本来はLEGOシリアスプレーの日なのですが
本日は小説の日を優先いたします。

オートバイのパン屋、今までのお話

恋人、徹との永遠の別れから、
玲子は段々と自分を取り戻し、
彼女を慕う人、友人たちが増えていきました。
大きな転機は、ワイナリーカンパネラの
山田オーナーと鈴木シェフとの出会い
そして、父親の頃からオートバイのメンテを
お願いしていた、トクヤマ自動車の賢二社長
平凡な日々にも、
ちょっとだけ変化がやってくるかもしれません。
人を成長させるのは、人、出会い、
なのかもしれません。

本日は約4000字の小説です。
お時間のある時にお読みください。

オートバイのパン屋 Fourth stage

努力の汗は美しい

「アレクサ、お知らせ読んで」

<ミズベサマからイッケンノオシラセガアリマス>

玲子は胡桃とレーズンが入った、
ドイツパンを焼いていた。
ミズベシャーリングの水辺社長から、
直々にオーダーが入った。
水辺社長には、電気オーブンの天板を作ってもらった。
ジャストサイズで、オーブン内が高熱になり
蒸気が綺麗に飛んでフランスパンのクープに
山ができるようになった。

ミズベシャーリングで働いている多くの社員は
障害者雇用によるものだった。
なかなか雇ってもらえない障害者に対して
仕事のプロセスをわかりやすく書いた紙や
不自由な体を使ってでもできる、
工具などを工夫して、
一生懸命に仕事をしている姿をみて、
玲子は感動していた。

胡桃とレーズンのドイツパンのほかにも
お得意のアンパンや、アンバターなども作って
焼いた。

KAWASAKIはいつものように
ガレージで待っていた。
玲子はリヤボックスにパンを収めた。
トクヤマ自動車の賢二社長が作ってくれた、
保温ができる特注のリヤボックスだった。

一度、諏訪湖のほとりで転倒してしまい、
ダメにしてしまったリヤボックスは、
2個目という事になる。

玲子はKAWASAKIのセルスイッチを押した
勢いよくセルは周り、エンジンがかかった。
体に心地よいエキゾーストが、玲子は好きだった。

玲子は風と一緒に国道へとびっ出して行った。


ミズベシャーリングでは、
水辺社長が迎えてくれた

「ご注文のドイツパンとこれはサービスです
 皆さんでお召し上がりください」


玲子はアンパンとアンバターパンを
テーブルに置いた。

「こんなに沢山、みんな喜ぶよ」

水辺社長はそう言って笑た。

「よかったら工場を見ていくかい
 新しい機械も人も増えたしね」

「ぜひお願いします」

玲子は水辺社長に連れられて
工場内に入っていった。

金属の板を切るためのプログラムをしてる
コンピューター室。
実際に機械で金属の板を切っている人。
曲げたり、叩いたりしている人。

ロボットを使って溶接している人。

皆、体が不自由なのかもしれないが、
そんな事を感じさせないように、
工具や道具、作業ポジション等が
考えられていた。

「社長、あの八角形の箱みたいなものは何ですか?」

そういう玲子に
水辺社長はニコニコして
秘密の道具だよ・・と言った。
今もその八角形の箱を
ロボットで溶接しようと作業員が動いていた。
正確には、逆八角錐を逆さにした形のように見えた。
複雑な計算もコンピューターが処理して、
こんな正確に組立られるのかと感じていた。

皆真剣な眼差して作業をしているが、
水辺社長と玲子が通りかかると作業を止め、

「こんにちは」

と、挨拶してくれた。
中には<こんにちは>と言葉にならない
障害者の方もいたが、一生懸命気持ちを伝えようと
しゃべっていた。
それだけで玲子には気持ちが伝わってきた。

水辺社長は、

「皆、一人で生きていかなきゃいけない。
 親も、貯金もいずれはなくなってしまう。
 それでも、額に汗して働く事ができれば、
 明日の命がつながると思ってね。

 彼らの働き場所が無いわけじゃない。
 ただ、少しだけ力を貸す労力と、
 気持ちがあれば、彼らの働く場所は
 いくらでも作れる。
 それを企業は怠っているのさ。
 私は、私の生きているうちは、
 障害をもった子たちが、きもちよく働ける
 場所を作りたいと思ってね。
 彼らと話をして、
 日々職場の改善をしているんだよ」

そんな水辺社長の言葉に
玲子は、自分は恵まれていて、
とても幸せな環境にいると実感した。
自分が何か一つでも、
役に立つ事をしたいそう感じてはじめていた。

焚火がはぜた

ワイナリーカンパネラの
レストランスペースが改築されていた。

近くにキャンプ場が出来た。
オートキャンプもできるらしいし、
グランピング施設もあるらしい。
そのおかげで、ワイナリーも、
レストランも賑わっていた。
玲子も時々バイトに入り、
鈴木シェフを手伝っていた。

レストランスペースは、
南向きなので、朝日から夕陽までを
感じる事ができる。
山に沈む夕日は、
時々幻想的になる事もある。
<ワインと夕日>などというタイトルで
インスタグラムに投稿されることも多く
そこに、新しくウッドデッキを作っていた。

庭でも食事やワインが楽しめるようにと、
山田オーナーが提案したようだ。
元々キャンプ好きなオーナーが
庭での食事を好んでいるのも納得ができた。


玲子は今日もパンを捏ねていた。
CDラジカセからは、
ラ・カンパネラが流れていた。
その時、スマホに着信があった。
山田オーナーだった。

「レイちゃん、Pan de companellaが
 モンドセレクションで金賞を取ったよ
 レイちゃんのおかげだよ。
 今度お祝いパーティーやるから来てね
 あ・・・バイクは置いてきてね
 朝まで飲むから」


そう言って山田オーナーの嬉しそうな声が
玲子の耳に飛び込んできた。

Pan de companellaがモンドセレクション
で金賞を受賞した。
様々なジャンルがある
モンドセレクションだが、
インターナショナルワインコンテスト
というのがあり、そこで認められたらしい。
味や色合、奥深さ等、
審査基準は厳しいと聞いていた。
玲子は自分もこのワインに関われたことに、
とても喜びを感じていた。


ワイナリーカンパネラの
レストランスペースは、
立食パーティースタイルになっていた。
センターテーブルには、
モンドセレクションのラベルが貼られた、
Pan de companellaが置かれ、
それを取り囲むように、
ピノノワールの粒が入った、
玲子のパンや料理が置かれていた。

50名くらいの小さなパーティだが
山田シェフはニコニコしていた。

「今日はPan de companellaが
 モンドセレクション金賞にかがやいた
 お祝いです。存分に飲んで食べてください」


そういうと、山田オーナー自ら
来客者へPan de companellaを
注いでまわった。

全員にワインがいきわたると

「乾杯」

そういって近くの人とグラスを合わせた
いつの間にか隣に来ていた、
トクヤマ自動車の賢二社長と玲子は
グラスを合わせた。

「ライダースーツより、
 ワンピースの方が似合っているな」


そういう賢二社長のスーツ姿を見るのも
始めてだった。
玲子はそんな賢二社長にニコッとして

「ありがとう」

とだけ言った。


二人はできたばかりのウッドデッキで
ワインを飲んでんいた。
日が沈みかけ山々の稜線を照らしていた。
半袖のワンピースでは、少し肌寒く感じていた時。

「やーオートバイのパン屋さん」

声をかけてきたのは、
ミズベシャーリングの水辺社長だった。

「この前の質問に答えるときがきたね」

そういうと、
ウッドデッキの中央のほうへ歩いて行った。

このウッドデッキは、かなりの広さがあった
庭用の丸テーブルが10脚は並んでいた。
その中央の奥に人が集まっていた。

玲子と賢二社長もひこよせられるように
集団に加わった。
そこには玲子がミズベシャーリングで見た、
逆八角錐の箱がおいてあった。
そこに水辺社長が薪を組んでいた。
いつの間にか山田オーナーも加わっていた。

着火剤で火をつけると
薪は次第に燃えはじめていった。

水辺社長が玲子の所に戻ってきて

「あれは特注の焚火台なんだ
 キャンパーが増えてきたからね」


すると

「レストランも夜の客が増えてきたから
 焚火を眺めながら食事するスペースも
 良いかと思ってね」


山田オーナーが言った。


玲子と賢二社長は焚火を見ながら、
ウッドデッキに座っていた。
片手にはPan de companellaの
グラスを持っていた。
招待されたお客さんたちは、
次第にに帰っていった。

二人は無言で焚火を見ていた。
いつまでも時間が止まったような、
この空間で、
焚火だけが時間を追いかけている。
そんなふうにも見えた。
玲子はこのままここにとどまりたい
そんなふうに思って焚火の炎を見つめていた。

「キャンプしたくなっちゃったね」

そういう玲子に、賢二社長が何かいいかけた時
焚火の薪がパチっと弾けた。

それは玲子の止まっていた時間が、
恋という時間が動き出した瞬間のようにも感じた。

日が沈み空が薄ぼんやりとオレンジに染まる
ワイナリーカンパネラを
初秋の風が渡っていった。

終わり

あとがき

まだ、二人の恋を引っ張るか?
と思うかしれませんね。
二人の仲を邪魔している張本人は、
私かもしれません。
今回は障害者雇用と焚火にフォーカス
してみました。
キャンプ行きたいですね。

ワイナリーカンパネラのようなスペースで、
焚火をしながらゆっくりと
ワインを飲みたい気分ですね。

今回もなんとか、「1日は小説の日」に、
間に合わせることができました。
毎月も、ほぼぼあきらめムードで
臨んだのですけどね。(アイデアが無くて)
ふとしたきっかけで、書くことができました。
神様に感謝かな・・・(笑)

ただこれからは、
自給自足生活がいつでもできるような
準備は必要かもしれませんね。
地球温暖化による気候変動で、
思いもよらない災害に見舞われることも、
ありそうです。最近だと静岡ですかね。

飲み水はなんとかなるが、
お風呂に入れなかったり、
掃除が出来なかったり、
大変だったと知人が言っておりました。
母一人残していたので、台風と逆走して
お母さんの元へ物資を届けたそうです。

物資が手に入らなければ仕方ないですが、
有事の際は慌てず、命を繋ぐために尽力するのと
命を繋ぐ方法を知っておくのは大事かなと、
思い始めています。
「備え有れば憂なし」なんて言葉もありますけど
我が家も水と米だけは備えてます。
私は今人ですから、
なんとかなるさ的な考えですけどね。
みなさんも安全に生活ください。

本日も最後まで読んでいただき、
ありがとうございます。
皆様に感謝いたします。

サポートいただいた方へ、いつもありがとうございます。あなたが幸せになるよう最大限の応援をさせていただきます。