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aoi minakami
2020年8月21日 21:50
トレンチコートの上からショールをはおりポケットに小銭をしのばせると彼女は出かけていった落ち葉舞う晩秋の冷たい風が彼女を誘う家路を急ぐ人々の流れに逆らうようにして大通りを進むすでに上空に控える濃い藍の中へとろりとしたオレンジが今、溶け込もうとしている切り裂くような風が北の海からの記憶を運んでくる右から左へ吹きつける風湿気を含んでまとわりつく砂粒並んで座り微動
2020年8月20日 21:35
帰国前の最後の日曜明と美礼はどちらが声をかけるでもなく連れ立って出かけていった午後の広場は春を先取りしたような陽気に包まれ冬ごもりをしていた人々が陽光とビールを求めて集まっていた冬場はなかなか太陽が姿を現さない降り続ける雨がハタとやみ雲の切れ目から一瞬光が差すと通りでも市電での中でも人々は一瞬動きを止めて、空を見上げるそして見知らぬ者同士でも顔を見合わせながら微笑み合
2020年8月12日 16:37
彼はどこへいってもチャーミングな客人だったそろそろ毛布が恋しくなってきた彼はどこへ旅立つかしら?今夜はどこで眠るのかしら?沢山のドアと人々の間を通り抜け彼はどこまでも進んでいく終わりは世界のどこにもないように思われた一つの場所で何かに取り組んでいる時また別の場所で新しい何かが生まれる遠くのどこかで何かが朽ちて消えていくそうして終わりのない終わりが延々と続く彼は
2020年8月5日 12:07
昼の残りのクスクスとドレッシングをさっとかけたトマトフランボワーズが隠し味に効いたライス・サラダ食後の温かい紅茶遠浅の海をあっという間にかけていきインクのにじみみたいになった子供達の影薄いピンクから水色、グレーのグラデーションを描きながらゆっくりと暮れていく、イエールのサンセットまだ暖かさを残した砂浜淡い色合いの中に浮かんでいる白いヨット強くなりはじめた夜風などものとも