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エッセイ

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#ライフスタイル

ボトルと液の濃度でゴミ削減:イタリアの洗剤 solara の場合

前回、ティッシュペーパーの代わりに布ナプキンを使う試みについて書いて、勢いづいたので引続きエコに関して書きたい。 こないだキッチン用品のコーナーでsolaraソラーラというイタリア製の掃除用エコ洗剤をみかけ、海外へのノスタルジーから買ってしまった。 エコ洗剤というのは調べればきちんとしたカテゴリーがあるのかもしれないが、ここでは私が勝手に用いている呼称で、人や自然に対し刺激の少ない成分でできている、排水は生物分解される、香りづけに精油が使われている等、非常にざっくりしている

エコチャレンジ: 布のテーブルナプキン

生活や旅の中で、エコについて考えたことや選択を不定期に文章にしています。今回はティッシュペーパーの代わりに布製ナプキンを用いる試みです。 1. 日本のティッシュペーパーは安すぎる?こないだ、ティッシュペーパーの値上げに関する記事に付随して、そもそも外国ではティッシュが高いというコメントがあった。その人はアメリカを例にとり、箱ティッシュの3個パックが5ドルほどで、日本の倍近くする。日本では高品質なティッシュが安価であるが故にティッシュの消費量が多いとあり、なるほどなと思った。

旅から眺めるエコ①:リサイクルデニム

前回の記事で、好きな店で期待していたほどのクオリティーではなかったが、急いでいたのでやむなくジーンズを買った、と書いたが、やはり以前購入したモデルが好きすぎて落胆していた。履いては脱いで、首をかしげ、しげしげと観察する。そこのジーンズはディテールの装飾が凝っていてかわいいので気に入っていたが、今回のものは経費削減か、省略されている。そして、何より生地が厚ぼったくなって、いまいちすきっとしない。カットは悪くないが、旅先で判断を誤ったかな、と思いつつ、裏返してタグを見つめる。する

ナタリーとの再会

マルセイユに着いたので、エクスにいるナタリーに連絡をいれた。 南仏のエクス・アン・プロヴァンス(通称エクス)に留学していた頃の、かつてのクラスメートはもう散り散りになってしまって、エクスで会えるのは、語学学校の担任だったナタリーだけになってしまった。 大柄でマットな肌、黒髪のショートカットのナタリーが、ゴルチェのGパンを履いて大股で教室に入ってくる姿が今でも目に浮かんでくる。彼女の講義での言葉はいつも、フランス語の教職や文学への愛が溢れてキラキラしていた。そんなナタリーと卒

サンドイッチ_2

(サンドイッチ_1からの続き) 長距離列車が発着する駅の売店や、車内でももちろん売っているが、そういうところでわざわざ高いのを買わず、持参する人も多い。列車の中で隣あわせた身なりのいいビジネスマンや、キャリアウーマン風の人なども昼時になると、アルミホイルで包んだ、食パンにハムとチーズをはさんだだけのサンドイッチをがさごそ取り出して、小腹を満たしている。後はデザートにバナナやリンゴ、冬だったらみかん、用意のいい人はカップのヨーグルトやチョコレートムースなど。 北フランスにい

サンドイッチ_1

フランスに行く楽しみの一つは食べ物で、やはりパン、チーズ、ハムなどはうまい。味の密度が全然違う。そして日常食なので安い。 そしてバター。ブルターニュの塩がたっぷりと効いたバター。それらを使ったクッキーなどの焼き菓子。そして、種類が豊富で値段も手頃なハチミツ。 パン、チーズ、ハム、バターなどの基本食は、混ぜ物が全然入っていない。原材料はいたってシンプルで、素材の味がする。 それらを総動員してつくるサンドイッチもこれまたうまい。 日本にいるとサンドイッチなんて食べたいと思わない

日曜夜の食卓

オリーブ油とバルサミコ酢、塩・こしょうでさっと和えたサラダ 平日の残りのキャロット・ラペ にしんの酢づけ 散々飲み、食い、騒ぎ散らかした後の 日曜夜の食卓はひっそりとしている カチャカチャと慎まし気な音をたてるカトラリー 落とされた照明 控えめな会話 あとは 静かに立ち昇る湯気と 無心にちぎられ、次へと手渡される バゲットの気配

SAINT JAMESのTシャツ

近所に住む友達が夏期休暇でフランスへ帰っている間の植物の水遣りを、頼まれて夏の間中せっせと通っていた。 ヴァカンスシーズンが終わり、先日帰国した彼女の家に呼ばれて訪ねていくと、お礼を兼ねてお土産を用意してくれていた。 その中の一つにSAINT JAMESのTシャツというのがあった。白地にブルマラン(紺色)の、いかにもフランスといった長袖のTシャツだ。 彼女から口頭で聞いた説明によると、このSAINT JAMESこそがフランスのマリンスタイルの発祥で、元はブルターニュの漁師が

マルジェラを巡る冒険 #6

そうして伝えた靴の品番をもとに、百貨店から本社へ再度問い合わせたところ、靴の図面が見つかった。おかげで業者の方でも大まかなイメージを掴むことができたらしく、これなら何とか修理できそうだという。 そうして、あれよあれよと言う間に修繕は進んで、一週間後にはお直し完了しましたとの電話を頂いた。 私は出来上がった靴をみて、またしても息を呑んだ。 もともとのデザインで、ほつれていた部分がきれいに縫い合わされている。もとの縫い目と何ら変わりない仕上がりで。 私は出来上がりに大変満足

マルジェラを巡る冒険 #5

「マルジェラの社員はフランス料理店でマナー研修をうける」 就活中、色々な会社研究をしている時期に聞いた話で、真偽のほどや、本店での話なのか日本でもそうなのか等定かではないが、あながち嘘ではないのかもしれない… 相手との会話のうちにそんな風に思った。 どんな研修がなされているかはさておき、 販売達は非常によく教育されている。 それが率直な感想だ。 もしかしたら、研修制度などまるでなく、販売員達は初日から売り場に放置されていて、今回の対応も一個人の判断だったのかもしれな

マルジェラを巡る冒険 #4

電話で対応して下さった方を訪ねて、百貨店のマルジェラ売り場を訪れた。 私はずたぼろになった靴を見せながら、大変恐縮し、無理ならそのまま持ち帰りますので、と何度も告げた。応じてくれたのはまだ若い感じのよい女性で、「こんなに大切にご愛用いただいて」と、私の注文を熱心に聞いて、書き留めて下さった。 私は、デザインで一部パーツが始めからめくれていることを告げ、今後のダメージを防ぐため、元のデザインから変わることになるが、縫い合わせてほしいこと、その他修理の方から見て、補強や交換が必

マルジェラを巡る冒険 #3

もしその靴を年に数回はくだけの、超秘蔵っ子いっちょうら靴に留めておけば、今でも美品の状態が保たれていたのかもしれない。 でも靴は履いて歩くべき道具であり、人生の相棒なのだ。 それに何より、この靴はどんなスタイルにもとてもよく合う。 メンズシューズを基調にしているので、パンツススーツにはもちろんはバッチリだし、ジーパンを履いてもカジュアルになりすぎず、ピリリと決まる。そして甲のところがきゅっとしまってスラッとしたフォームをしているから、意外にもブラックドレスなどのフェミニンな

マルジェラを巡る冒険 #2

それは本当に美しい靴だった。 単に形がきれいとか、デザインがかわいいとかなら、他にも沢山あると思うのだが、それは流麗なフォルムと細やかな作りが見事に調和して、一粒のダイヤみたいな輝きを放っていた。 ドキドキしながら年が明けるのを待って、セールで半額近くになってから購入した。 箱から取り出し、改めてまじまじ眺めると、その仕事の細かさに息を飲み、どぎまぎさせられた。 元になっているメンズシューズの細かい技術や製法のことはわからないが、おそらくきちんとした靴はパーツも行程も多

マルジェラを巡る冒険 #1

それは完全なる一目ぼれだった。 吸い寄せられるようにしてその場へ向かっていったのだから、ほとんど運命といってもいいのかもしれない。 2008年か9年頃、長い電車通勤に疲れ果てていた。シックだけど重たいウールのコートから軽いダウンへ替え、足元もヒールではなく楽な靴を選ぶようになっていた。 まだ地震の起こる前、ヘルシーなスポーツテイストやアスレジャースタイルが、本格上陸する前夜だったから、靴下のまま履けるきれいめの、フラットな靴を探していた。 別にファッション愛好家でも、