見出し画像

サイドカーのタンゴ。

わたしは臆病だ。何をするのにも、一度、引き下がってしまう時がある。それでも、えいや!とバンジーを飛ぶときのように思いきっていくところに落ち着くのだが、なんだか怖じ気づいている自分は情けないと思いつつ、その殻に閉じ込められたいと思う気持ちも幾分かあったりする。ジェニーは元気にしているのだろうか。最近のジェニーは姿かたちを変え、なんだか見たこともないようなきれいなお姉さんになったような気もする。なぜだろうか。ジェニーに一体、何があったのだろうか。セビーチェはたまに見かける。あぁ、今日も走り去っていったなァと、思うときがたくさんある。そんなときはわたしは、傍観する。遠目から見て、みんなが仲良くやっていればそれでよし。問題があるならば一緒に揉みくちゃになってなんぼ、と思っている。ほうほう。今日はすこし、内観的な記事になりそうだ。先日、あんなに内観的なものを罵倒していたくせに、なんたることだ。わたしは単純だ。単純で極端だ。と、いうわけで今日は大人になったジェニちゃんとお茶でもしますかね。絶望的な、尻すぼみな未来を思い描いて生きていくことはしたくない。だが、時おり、そんな魔が差すようなことはたくさんある。何故だろう、もしかしたらわたしは、「自分は病気である」という事実を自分に突きつけ、安心しているのではないだろうか。自分が弱っていれば、必ず誰かが助けてくれる、そんなことを思って今日もあしたも明後日も、浅ましく生き延びているのではなかろうか、等と思ってしまうのが事実だ。そんなことを言っている場合ではないのはヤマヤマなのだが、思考というのは厄介だ。思い始めたら止まらない。こんなことばかりしていると、わたしの踊りはつまらなくなる一方だ。やめよう。さて、閑話休題。最近、恋愛沙汰の話を書いていなかった。とある読者のかたから、「ニチョーメでなんかなかったんですか?」と聴かれたので、書いてみようと思う。といっても、最近例のニチョーメにほとんど行ってないので特段書けることも何もないのが本当のところだ。ただし、過去に、起こった事件なら幾分か書けるかもしれない。先に言っておくが、なにもこれはセクマイ界隈を批判するだとか、差別するだとかそういった類いの話ではない。わたしがあくまでも体験したことを主観で書いているものであるので、そこのところは混同しないでいただけると幸いである。わたしは全体的に言うと、「男という生物が根本的に嫌い」という女性から好かれる。それは直接的にも言われるし、なんなら付き合ってもいないのに糾弾されたことまである。「みなみちゃんは結局、バイなんだね。そっち側、なんだね。」という、まるで昼ドラか何かの台詞か?!とおぼしきことを、真っ昼間の歌舞伎町、雑多の聖地とも呼ばれる場所で声高に言われた。フム。フウウウム。そうか、バイは、裏切り者なのか・・・とこのときは特段事態を呑み込めていなかったのだが、後に、Lの世界というドラマを観て謎が解けた。確かに、バイは裏切り者とされるのだ。そんな裏切り者の俺、とにもかくにもその原因となった例の女の子とはちょくちょく会う仲だった。時系列が狂いそうなので言っておくが、これは半年以上前の話である。場所はいつもの、二丁目行きつけのバー。界隈の初心者というよりはその世界の手練れ、ガチナンパ勢が行くとされているそのバーで私たちはよく飲んでいた。私はいつものジンリッキーを、そして彼女は"女殺し"の異名を持つ、サイドカーを頼む。隅の席に座って乾杯をし、ゴゼンサマ前にはいつも帰る。そう、私にしては珍しく健全な同性交友をしていたわけだが、ある日、事件は起こった。まず、最初がまずかった。私がとある打ち合わせを長引かせてしまい、遅刻をした。店に着くと彼女はとにもかくにも、不機嫌だった。ああ、不機嫌という言葉は彼女のために作られたのだ、と思ってしまうほど、彼女は全身で怒っていた。私は時間にルーズだ。その昔、この関係で怒られたり怒らせたりしたことが何度あっただろう。いつも、時間を計算して家を出る。10分前には着くように家を出る。しかしながら、なぜかギリギリに着く。というわけで最近は『迷子代』として30分多めに設けて家を出る。少しはマシになったが、それでもやっぱりギリギリに着くことが大半だ。インドの人といるときはそれでも私が一番乗りだったので良かったが、日本社会ではなかなかそうはいかない。もちろん、付き合う人によってというのもあるだろうが、私はこの『待ち合わせ』という行為がどうも苦手である。さて話を戻すと、不機嫌の女神となった彼女をどうやってご機嫌の女神に戻すかで頭がいっぱいだった私は、コザカシイことはやめて誠心誠意、謝ることにした。『ごめん、打ち合わせが長引いてしまい、遅くなりました。許して欲しいです。一杯奢ります。』深々と頭を下げ、目を瞑りながらその時を待った。と、次の瞬間、私の頬を伝って甘く冷たい何かが口に入ってきた。ホワイトキュラソーとレモンジュースのタンゴ・・・。そう、サイドカーをぶっかけられたのだ。さらにそれがわかった時にはもうすでに遅し、遠くの方で派手な打音が響いた。カクテルグラスが粉々に砕け散っていた。私は硬直し、そうしてそのまま、糸の切れたようなだらしない顔を上げて彼女の整った美しい顔を見つめた。すると彼女はその切れ長のアーモンドのような瞳をさらに尖らせ、耳元で囁いた。『みなみちゃん、良かったわね。これで、綺麗になったわよ。男の匂いって、本当に、耐えられないくらいに臭いから。』そのまま彼女がどこへ行ったのかはわからない。何時間くらい経ったのだろう。私は恐怖に恐れおののき、しばらく呆然とその場に立ち尽くしていた。そのときは全く意味がわからなかったのだが、後になってようやく事の顛末を理解した。彼女は、私が遅刻したことにも怒っていたのだが、それよりも、打ち合わせのために男性と会っていたことに対して怒りをぶつけたのだ。彼女と会ったのは新宿だが、打ち合わせをしていたのも新宿だった。迂闊だった。別に特段何かをしていたわけでもないし、ましてや彼女と付き合っていたわけでもない。それでも、男と接触するということが耐えられないほどに嫌だったそうで、私は人生で二度目の洗礼を浴びたのである。エキセントリックで行き過ぎた行動は時に、人を強烈に惹きつける。こうして文にして書けば書くほど面白いのは確かだが、実際にその渦中にいるときは正直たまったものではない。酒は飲むものであり、浴びるものではない。私はいまだにジンを飲むと、あの夜を思い出す。今、彼女はどうしているのだろうか。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

📣登録者さま大歓迎📣

🏖️MINAMIのマイアミちゃんねる🏖️

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

レストランショーやります!!!

日にち 2/23(木•祝)
3月からは、毎月第3木曜日に踊ります🎵遊びに来てね!

時間 20:00から

チャージ ¥500+ご飲食代

場所 高円寺Rumi
杉並区高円寺北3-2-15
BOLBOL2号店 Rumi 1階

⭐ご予約はわたしか、直接お店にお電話ください。

電話番号 03-5356-6640

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

MINAMI

ベリーダンサー/写真家。
キャッチコピーは"砂漠のSlow Dancer" 10代の頃、ドバイの砂漠でベリーダンスに出逢い、帰国後、独学で踊り始める。その後、トルコに何度も渡り研鑽を積み、2015年、韓国ベリーダンス大会FIDにて総合優勝を果たす。レストランショーやイベントなどで活躍する傍ら、現在は自身のベリーダンススクール"THE LIQUID HAREM"を主宰し、後進の育成に努める。中東音楽だけでなく日本の歌謡曲や演歌、どんな音楽でもボーダーレスに踊ることで、ベリーダンスの美しさや素晴らしさを伝えている。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

💃砂漠のSlow Dancer MINAMI

🌅ホームページ

🌅Facebook

🌅スクールの情報などはこちらへ

🌅東京演芸協会会員となりました!浅草でお逢いしましょう✨

🌠スタンプ作りました‼️

おもろスタンプ第2段‼️

①ダンサーみなみのスローライフスタンプ

②我らっ!スパイスシスターズ(with カルダモン鈴木)

🌅お仕事などのご依頼はこちらへ
💌 minamisvp@gmail.com

この記事が参加している募集

この経験に学べ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?