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日本・埼玉遠征

”日本遠征”

モンゴルで活動し始めて、一度は言ってみたかった言葉です。FIFAワールドカップカタール2022およびアジアカップ中国2023のグループ2次予選で奇跡的に日本代表と同じ組になりました。

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かつてU16やU19では何度かありましたが、A代表でモンゴルが日本と対戦するのは、おそらく一生に一度になるのではないでしょうか?モンゴル代表にとっては、2次予選すら初めての出場。私にとってもかけがえのない経験となりました。

この夏に1人で帰省していて、およそ3ヶ月振りの日本でしたが、モンゴルの選手たちと訪れるのは、それとは違う不思議な感覚。



ウランバートル~東京

当初は、数日前から日本でキャンプする予定を組んでいましたが、予算の都合で中止、試合のためだけの滞在スケジュールとなりました。

モンゴルから日本へは成田の直行便があります(時期によっては、大阪も)。約5時間のフライトで成田空港に着いて、日本サッカー協会が手配してくれたバスで宿泊先の池袋へ。



ホテルメトロポリタン

こちらも日本サッカー協会に用意していただいたホテル。池袋駅前にあり、立地は抜群です。利用させていただいた部屋は選手のケアをするには少し狭かったですが、清潔に保たれていて日本らしさを感じられました。

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食事会場は最上階の一部屋を、モンゴル代表チーム専用として利用させていただきました。

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滞在期間の献立を全て明記したメニュー表をもとに内容や味付けの相談など、急な要望にも快く対応していただきました。


長年東京に住んでいましたが、何度見ても都会の景色は素晴らしく、青く広がった秋晴れが清々しく感じました。

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ホテル周辺の散歩中にふらっと立ち寄ったスポーツショップ店にて。

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練習

到着したその日はすでに夕方で雨も降っていたため、翌日から始動。この日は大宮アルディージャのNACK5スタジアムで練習を行いました。

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この練習中に、朝日テレビの方から取材を受けました。監督やコーチでなく、トレーナーの私に。人生で初めての取材、どうせ使われることはないだろうと思っていましたが、これもいい経験となりました。


次の日はオフィシャルトレーニングのため、試合会場の埼玉スタジアム2002へ。

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観客がいなくとも圧巻のピッチ。

ロッカールームも広くて綺麗に整備されており、メディカルルームやウォーミングアップエリアなども素晴らしかったです。

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試合当日

普段、ホテルから試合会場へ移動するバスの車内ではお互いを鼓舞するために音楽を流したり、みんなで歌ったりします。ところが、この日は音楽を一切流さず、話す人も少なく車内はかなり静まっていました。

ちなみに普段は下の動画みたいな感じ。


スタジアムには大勢の観客が入っており、選手たちは気持ちが高ぶっていったような様子が見られました。(モンゴルにおいては、満員でも4000人くらいしか収容できません。)

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サッカーに関わっている方からしたら考えられないことだと思いますが、私は今回日本代表に入っているメンバーを半分も知りません。たとえ吉田選手や長友選手がすぐ傍にいても、日本代表と対戦するという実感はあまりなく、いつもと変わらないただの国際マッチの一つのような感じ。

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それでも普段関わっている選手たちが、日本代表に立ち向かう姿は不思議と嬉しく思いました。試合の内容についてはネットやYoutubeなどにたくさんあるので、ここでは割愛させていただきます。


試合終了後は、グラウンドを一周。

全く歯が立たず終始日本代表ペースの試合でしたが、それでも盛大な拍手と声援をかける日本のサポーターたち。その温かさに私は日本人であることに誇りを感じました。


あまりにも一方的な試合展開に、ネットやSNSには心もとない過度な表現の誹謗中傷コメントがちらほら。その気持ちもわからなくはありません。そこを否定するつもりはなく、こういった方々もいることを知ってもらえたらと思います。



また、この日は家族がスタジアムに観戦で来ていました。ピッチを回っている時に大勢の観客の中から見つけて手を振り返すことができました。異国の地で何をしているか心配をかけている部分もありますが、送り出して応援をしてくれています。

このような形で一つの恩返しとして、活動している様子を伝えられることができて嬉しく思いました。

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ロッカールームに戻ると、朝青龍さんが選手に紛れて普通に座って談笑していました。

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2019年の始めに掲げたの目標の一つが朝青龍さんに会うこと。理由はせっかくモンゴルにいるならその国で一番の英雄に会っておくべきだろうという単純な発想です。

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まさかここで達成するとは...


ちなみに上に関しては、早くも1月にレスリングチームに入ることができたためクリア。(6月にはクビになりましたが笑)



モンゴル代表を陰で支えた一人の日本人

試合を終えて、何人かの選手が「ベストの状態で、世界で活躍するトップレベルの選手たちとプレーが出来てとても良かった」と話しておりました。


それはなぜか。


ブルネイでの記事でも触れましたが、モンゴルのグラウンドは非常に硬い人工芝のみ。


一方で、埼玉スタジアム2002は天然芝。

普段のスパイクでは十分なパフォーマンスが出せず、そこで天然芝用のシューズを買うにしても、収入の関係で手に入れることは容易ではありません。壊れたシューズにテーピングで補強して練習をする選手もいるくらいです。

そんなモンゴル代表に対して、モンゴルリーグでのプレー経験がある渡邉卓也さんが企業に働きかけて、Asicsのスパイクとジオカグリップスのソックスを選手全員、さらにはAsicsトレーニングシューズをスタッフに提供してくださいました。

私がその相談を受けたのは9月末。試合本番までは2週間ほどの短期間であり、準備にはかなりの苦労があったかと思います。この試合をする上では、非常に大きな存在の一つになったと感じます。

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その活動への思いや詳しい内容は、ご本人が書かれたnoteをご覧ください。

ちなみに渡邉さんはモンゴル女子チームにもシューズの支援やサッカー教室なども行なわれております。私がU16女子のタイ遠征に帯同した際、サプライズで宿泊先に来られました。その時の選手たちは喜びが爆発しており、その姿は言葉には表せません。相当な信頼がないとそうはならないと感じました。


それから、渡邉さんのご紹介でKing-gearさんに取材していただきました。こちらもちらっと見てみてください。



最後に

私はもとより海外で活動することを漠然と夢に持っており、先が見えず訳も分からない状態で、モンゴルに飛び立ちました。

完全に見切り発車です。笑

それがまさかサッカーの代表チームに関わり、さらには日本代表と対戦する日が来るとは想像すらしておりませんでした。モンゴルに来て3年。様々なスポーツ現場で活動してきましたが、どこもスポーツドクターやトレーナーはいません。需要だらけであり、さらには日本に対してかなりの信頼があります。

ベストな言い方が見つかりませんが、簡単に言ってしまえばキャリアや技術がなくとも代表レベルで働くことは可能です。モンゴルの代表を下に見ているわけではありません。国を背負って戦う選手たちをサポートできることを私は誇りに思います。試合に勝った時の喜びは格別です。

このような経験はなかなかできなく、正直給料や待遇が良いとは言えませんが、それ以上のものが得られると感じております。今まさに発展してきているモンゴルのスポーツ業界。これからも医療面のサポートで、少しでも貢献できたらと思います。

興味がある方はぜひご連絡ください!

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。他の記事も見てみてください。

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