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60歳からの働き方とは【定年前に考える①】

渋谷のとある居酒屋。客の50代後半サラリーマン、マコトとコージは大学の同級生。60歳定年後の身の振り方について語りあう、、。

マコト:なあコージ。俺らもそろそろ定年だな。
コージ:そうだな。60歳から継続雇用もあるけど、給料は大幅ダウンだな。
マコト:うちは60歳すぎても子供は小さいし、住宅ローンも70歳までだし。みんなどうしているんだろう。
コージ:そうだ、同級生の有働、覚えているよな?探偵事務所をやっていたけど、今ではFP事務所も併設しているらしいから、呼んでみようか。この前「会いたいぜ❤」ってメッセージもらったところだし。

~30分後~
ウドー:よう、久しぶりだな!、、、って何だよ二人ともシケた面して。あっ、飲み物はミルクで、ボトルでね。ベスパで駆けつけたもんでさ。
コージ:定年後の事で悩んでいてさ。クドーちゃん、じゃなかったウドーちゃんから、ナイスなアドバイスをもらえないかと思って。
ウドー:そうか、本当は有料だけど酒の席の無料相談にするか。
マコト:ありがとう。シラフの時にカミさんと有料相談にいくよ。
ウドー:おお、大学でミス11号館と言われていた、あの美人の奥さんか。大教室に咲いた一輪の百合の花だったよなあ。会えるのが楽しみだ。じゃあ、酔いつぶれないうちに本題に入ろうか。


60歳からの働き方の選択肢

ウドー:まず、君たちの会社ではどんな働き方の選択肢があるんだい。
マコト:俺の勤務先は60歳定年だけど、継続雇用制度で65歳まで残る社員が多いな。
コージ:俺も同じだけど、週三日出社で副業をしたり、個人事業主になって70歳まで業務を受託するとか、いくつか選択肢があるな。
ウドー:そうかそうか。君たち恵まれているなあ。
コージ:そうかな?俺は55歳から役職定年で、今や一兵卒の身なんだけど。
ウドー:何言ってんだよ。役職定年で責任も軽くなって、しかも副業を認められているんだろう?給料貰いながら今後の準備ができるんだよな。腐ったりサボッたりせず、有効に活用しないと損だぜ。
コージ:そうだな。具体的には会社に残るのか、転職や独立をするのか、、。
マコト:いろいろ言ってもまずは先立つものがないとな。年金はどのようにもらう事になるのかな。

いつまで働くのか、いつから年金をもらうのか

ウドー:厚生年金保険は公的な制度だが、受取方法は極めて自由なんだよ。まず、60歳まで働いて65歳から年金を受け取る「基本形」を確認しようか。標準的な年金、いわゆるモデル年金では夫婦で月額22万円の受給を想定している(図①)。

キャプチャ1

図表:「第12回社会保障審議会年金部会」参考資料を一部加工 (以下同)

マコト:うちに来た「ねんきん定期便」の見込額も、夫婦合計で大体そんなもんだな。でも俺は学費やローン負担が続くから長く働かないと。
ウドー:なら平均的な報酬で65歳まで働けば、年金は月額23万円になるぞ(図②)。
マコト:5年長く働いて月1万円増加か。まあ、この5年間は年金を増やすより生活を維持するために働く意味合いが強いかな。
ウドー:もっと年金額を増やしたいなら受給繰下げの方が効果が大きいな。65歳まで働いて、5年繰下げた70歳に年金受給開始なら月額32.6万円にアップだ(図③)。

キャプチャ2

マコト:5年繰り下げたら年金額は42%増えるのは魅力だけど、そのためには70歳まで働かないとね。
ウドー:なら平均的な報酬で70歳まで働いてそこから年金受給すれば月額33.4万円だ(図⑤)。65歳以降は年金もらいながら70歳まで働くという選択肢もあるぞ(図④)。

キャプチャ3

 ※④ 2022/4に、66~69歳に毎年少しづつ年金額が増える制度に改定

マコト:もし65歳以降の収入が大きく下がっても、年金受給はせずに私的年金で5年間しのいで、70歳から増額された年金を受け取る方が「長生きリスク」を軽減出来るな。いずれにしても「あと10年ちょっと」のイメージができたよ。子どものためにもうひと踏ん張りだな。

短時間勤務でも年金は増える

コージ:ウチの子どもはもう社会人だし、ローンも完済しているから収入は少なくてもやっていけるな。そうであれば、60歳以降は週3日の短時間勤務にして、準備中の副業を並行させようかな。
ウドー:そうかそうか。60歳以降短時間勤務で働いても年金は増えるぞ(図⑥)。65歳から年金受給しながら70歳まで働くのもアリだな(図⑦)。

キャプチャ4

コージ:副業では組織で実現出来なかった事を本格的に取り組みたいな。収入が上がれば70歳か75歳まで年金繰下受給だな。そして少なくとも80歳まではライフワークとして続けるよ。稼いだ分でカミさんと旅行に行きたいし。
マコト:そうか。俺は70歳からは実家の山に籠って、隣のゴルフ場で修行したいな。カミさんは反対かも知れんが、、。あとはボランティアでこども食堂を運営したいな。これでも一時期シェフを目指したこともあるしな。
ウドー:自分に合った年金の受け取り方がわかれば、人生のプランもより具体的にイメージできるわけだ。いくつになっても将来の夢を語り合うのはいいもんだな!あっ、ミルクおかわり。
マコト:ウドーちゃんは今なにか進行中なのかい。
ウドー:うん、昨今のニーズに合わせて「サイバー探偵」の養成学校を始めたんだ。引きこもり気味の若者も含めて、みんな頑張っているぞ。更にヤル気のある卒業生は雇用しているんだ。もちろん厚生年金保険は完備だぜ。社員を老後に貧困状態にするわけにはいかんからな。でも彼らはまだ若いから、この有難みはわからんようだけどね。
コージ:まあ、俺も50代になって年金見込額を知ってから「ほとんどもらえないと思っていたら、案外もらえるんだな」と思えたクチだからな。20代、30代では老後なんて実感わかないだろうし、保険料を払い続ければ将来良いことがあるくらいの認識でもいいんじゃないかな。
ウド―:とにかく、年金の受け取り方は自由に決められるんだから、それに合わせて働き方も自分の意志で自由に選択すれば非常に結構なことじゃないの。まあ、暇を持て余すよりも楽しく働き続けんと損だな、損!あと離婚すると年金はズバッと分割だから、なるべくなら夫婦仲良くだな。
マコト:(具体的な整理ができたかな。ウドーちゃんに感謝だな。次回はカミさんと相談に行かせてもらおう、、、)

オープニング & エンディング

※この話はフィクションですが、データは以下資料から引用しています。
資料:2019年10月18日 第12回社会保障審議会年金部会 参考資料
「繰下げ制度の柔軟化 関係資料集」p.8 (厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000558229.pdf


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