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『外れ馬券事件』(最高裁平成27年3月10日判決) 〜所得税の区分〜

こんにちは、最近ネタ切れのあじたんです!

今回は税法ゼミで取り扱った「外れ馬券事件」について話していこうと思います❗️

一応法学部なので税金の法律についてもある程度知ってます😆

本日の内容は少し難しいかもしれませんが、最後までお付き合いいただけると幸いです🙇‍♂️

ということで、早速解説していきます🚀


解説

✅事実の概要

・Xは、平成19年から21年までの3年間に当とり馬券の払戻金による収入14億6000万円の所得を得ていた。 
5億7,100万あまりの納税義務があったのにも関わらず申告しなかったとして単純無申告罪で起訴された。 

・検察側の主張→本件収入が一時所得に該当し、当たり馬券の購入費用のみが必要経費として控除される。

・Xの主張→本件収入は雑所得に該当し、外れ馬券も含めた馬の購入費用すべてが必要経費として控除される。 

・第一審 (大阪地裁) では雑所得に該当し、3年間の所得は1億6016万円余りであり、申告されるべき税額は5200万円余りと有罪判決を言い渡した 

・検察官の控訴に対して、控訴審裁判所 (大阪高裁) が棄却し、検察が上告受理申し立てをしたのが本件である。


✅関連制度

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②一時所得と雑所得

○所得税法34条

「一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、 営利を目的とする継続行為から生じた所得以 外の一時の所得で労その他の役務又は資の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。」 

「一時所得の金額は、その年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴 直接要した金額に限る。)の合計額を控除し、 その残額から一時所得の特別控除額を控除した金額とする。」 

→・所得税法23〜33条に記載されている個々の所得には当てはまらないもの
   ・営利を目的とする継続的行為から生こた所得以外のもの 
   ・対価としての性質を有しないもの 
   ・控除できるのはその収入に直接要した金額だけ

○所得税法35条

「雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得及び一時所得以外の所得のいずれにも該当しない所得をいう。」

「雑所得の金額は、次の各号に掲げる金額の合計額とする。…(中略) その年中の雑所得(公的年金等に係るものを除く。) に係る総収入金額から要経費を控除した金額」 

○所得税法37条 

「その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額··· (中略) 計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総入金額を得るため及びその年における販売費、一般管理費その他 (償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。) の額とする。」 

直接に要した費用:収益との対応関係に着目する費用収益対応の原則 

これらの所得を生ずべき業務について生た費用:収益との対関係が明確ではない 

→・所得税法 23~33 条に該当しないもの 
   ・所得税法 37条の必要経費を適用する


✅争点

・収入にあたる払戻金は一時所得と雑所得のどちらであるか
・控除される金額は当たり馬券購入分のみか、全ての馬券購入金額か


✅【判旨】 上告棄却:被告人勝訴

・営利を目的とする継的行為から生じた所得であるか否かは、文理照らし、行為の期間、回数、顔度その他の態様、利益発生の規模、期間その他の状況等の事情を総合考慮して判断するのが妥当である。 

・検察側は、所得や行為の本来の性質を考慮要素として判断しているが、立法趣旨や所得及び具体的な態様も考察すべき。 

これらを踏まえると、
① 被告人が独自の条件設定と計算式に基づいて→データ化 
② 長期間にわたり多数回及び頻繁に 
③ 個々の馬券の的中に着目ない網羅的な購入をして 
④ 多額の利益を恒常的にあげたこと 

以上より一連の馬券の購入が一体の経済動を有するといえる 
→営利を目的とする継続的行為 
→払戻金は、一時所得の要件を満たさず雑所得にあたる 

・外れ馬券を含む一連の購入が、一体の経済活動であるから、外れ馬券を含む全馬券の購入費用が、当たり馬券の払戻金に対する必要経費にあたる。 


✅あじたんの意見

今回の被告人はAIやプログラミングなどで馬のデータを取り、継続的に利益を上げていたので、本判決は妥当だと思います❗️

ただ、プログラミングなどで馬券を買っていないと一時所得になってしまいます。

一時所得は外れ馬券が経費で落とせないので、儲かったけど損した(+100万、−100万)状況の際に、手元にお金がないのに儲かった部分だけ課税されます💦

それは果たしてこのままでいいんでしょうか…


〈引用・参考文献〉

・ケースブック租税法(第5版)
・租税判例百選(第6版)
・租税法概説(第3版)


〜まとめ〜

法律は難しい😅

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