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自分の心を大事に生きたいけれど。

先週は多忙だった。子ども達の学校関連の手伝い、習い事、学期末の行事、そして連日友人に誘われるという珍ウイーク。
そして今週から恐怖のスクールホリデー。子ども達と24時間2週間みっちり過ごす、まさに恐怖のウイーク。

そんな多忙な私に事件が起こったのは先週の水曜日。

その日車を車検に出さなければいけない私は、朝から急いでいた。
急いでいた私は子どもを送りに行くだけだからと、(真冬なのに)上半身はタンクトップ、そして下半身はピチピチのヒートテックという恰好だった。
誰も見ていないからと、タンクトップはしっかりとヒートテックにイン。そしてヒートテックは臍の上まで思いっきり上げてあるもんだから、チンもないのに股間はもっこりしていたはずだ。

そんな恰好をしていたから、車から家までの間は秒で移動しなければならなかった。

我が家はメイン道路からは奥まったところにある。万が一こんな姿を見られるとしたら相手はご近所の方々だろう。その日限りで会わない相手ならいいけれど、これからも毎日顔を合わせる相手だからこそ注意が必要になる。

子どもを送迎し、帰宅した私は車内から周囲を入念にチェック。お隣さんも外にいないし、郵便配達の方も来ていない。

車から飛び出し、玄関に直行。

玄関のカギはアナログ。

鍵を差し込み回さないと開かない。もう5年間も入れては回すを繰り返しているんだから、間違えるはずなんてないのに。

その日は「見られたら困る」という思いが強すぎて、脳の回路がおかしくなったのかもしれない。

カーキーを玄関に向けて、開ボタンを押しまくった。

必死で開ボタンを押し続けるも、玄関のドアはうんともすんともチンとも言わない。
焦ってイライラした私は「なんで開かないんだよ!」と声にまで出していた。

しばらく開ボタを押し続けたあと、ようやく自分の後ろで鳴り響く車のロックが開閉する音に気が付いた。

ハッと気が付き鍵を鍵穴に突っ込んだ瞬間、背後にお隣さんの声が
「モ〜ニング(おはよう)」

このまま家の中に入れは彼女の声に気が付かなかったと思ってもらえそうな、そのくらいのタイミングだった。

それなのに
(私の思考)
ここで挨拶を無視して家に入る=礼儀のないヤツ(世間体が悪い!)
この格好のまま笑顔で挨拶=キチガイ

今まで世間体を大事にし、礼儀正しく品のあるジャパニーズを演じてきた。
だからだろう、こんな脳への問いも無意味。考えもせずに身体が勝手にキチガイを選んだ。

「モ~~ニング」と言いながら顔に笑顔を張り付け振り返った。その時まで気が付かなかったけれど、足元は左右別の靴下とハイヒールという出で立ち。
まさに、志茂田景樹さんを50倍くらい奇抜にした格好だった。
そして何を考えたのかそのまま転倒しやがったのだ。私がね。

優しいお隣さんが「オーマイガー!」と猛ダッシュで私に駆け寄ってくる。彼女はとってもいい人なのだ。車のライトを消し忘れてバッテリーをあげてしまう私をいつも助けてくれる。
だからその日も心配して私を抱えて立たせようとしてくれた。でも私は見逃さなかった。そのブルーの瞳が私を気遣うと同時に、ちゃんと足元から股間、股間から顔までを舐めるように見ていたことを。

もうこの人には私が作り上げた体裁は通用しない。
あの目を見たら一目瞭然。彼女の中で抱いていただろう礼儀正しく品のあるお隣さんは、ただの変態ジャパニーズへと変わった。

下品の寄せ集めみたいな恰好をした私は家に入るなり、拳で床をたたいた。
でもこんな日もあるんだよ。人生は。

人と会う機会が多かったここ最近「普通は○○だよね」とか「常識的には○○」という話をたくさん聞いた。
でも私は思う。
世間一般の正解ばかりを求めて生きる人生ってどうなのだろう。
誰にでも賛成してもらえる言葉を必死に探してそれを主張して何になるのだろうか。
誰かに認めてもらう為に人生を送るなんて、幸せだとは私は思えない。

だから私は志茂田景樹がいい。

自分が幸せならそれが一番いい。だって自分の人生は自分のものだもの。
無理矢理そう思い(そう思わななければ明日からここでは生きれないと思った)洗濯を干そうと思ったら足が痛くて歩けなかった。

足首捻挫、全治4週間という判決。もちろん病院に連れて行ってくれたのはお隣様。もれなく車検の日時も変更になった。

自分が生きたいように生きた代償は大きかった。
誰かの正解を求めて生きていこう。今は心からそう思っている。



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