Yuki's ESH

アラノンメンバー。 アラノンプログラムの情報と実践について綴る。 アラノンプログラム…

Yuki's ESH

アラノンメンバー。 アラノンプログラムの情報と実践について綴る。 アラノンプログラムに関する質問はこちらまで: alanonyukiesh@gmail.com

最近の記事

エッセイからの考察②家族のアルコホリズムの性質

前回の記事『エッセイからの考察①子どもの立場から見た家族のアルコホリズム』の冒頭で、私は以下のように書きました。 「私たち家族もまた、長年あれだけ父の飲酒に悩みながら、とうとう最後まで父とアルコール依存症を結びつけることはありませんでした。これは今の私にとって、自分のことながら非常に理解に苦しむことであります。」 「舌の根の乾かぬうちに」とは正にこのことでありますが、この言葉は私がいかにアルコホリズムの本質を理解していないかを表しています。アラノンの基本テキストである『H

    • エッセイからの考察①子どもの立場から見た家族のアルコホリズム

      私の知る限り、父が医師から「アルコール依存症」であると診断されたことは一度もありませんでした。潰瘍や癌を発症したときも、医師は飲酒について何の言及もしません。そして私たち家族もまた、長年あれだけ父の飲酒に悩みながら、とうとう最後まで父とアルコール依存症を結びつけることはありませんでした。これは今の私にとって、自分のことながら非常に理解に苦しむことであります。 私が子ども時代を過ごした1980年代、依存症に対する世間一般の情報や理解は今よりずっと乏しいものでした。それは必然的

      • 【エッセイ】父と私とビッグブック

        「うちのお父さんはよその家のお父さんみたいにふつうにお酒を飲むことができない」 これは私の子供時代の命題である。父はユーモアがあってみんなの人気者だった。私が小さい頃は、父のたくさんの同僚たちとも家族ぐるみの付き合いをしていた。父はいつも誰よりも濃い水割りを、誰よりもハイペースで、必ず一番最後まで飲んでいた。子供たちが成長して同僚たちの生活が変わっても、父だけは変わらず、気がつけば周りには誰もいなかった。何度も体を壊しても、母があらゆる手を尽くしても、家を半焼させても、「何

        • 誰のための部屋なのか

          伝統3の後半には、「メンバーであるために要求される唯一のことは、関係者または友達の中にアルコール依存症の問題を抱えた人がいるということだけである」とあります。この関係者という言葉には、私たちと血縁関係にある親子や配偶者だけでなく、何らかの関わりを持っている、あるいは過去に関わりを持っていた誰かのことも含まれます。これがメンバーになるための唯一の要件であり、申込みや会費の必要はなく、ただ自らミーティングに参加することが「メンバーになること」を意味します。私たちはその誰かの飲酒に

        エッセイからの考察②家族のアルコホリズムの性質

          アラノンで得られる助け

          前回の記事で助けを求めることの難しさについて書きましたが、助けを得ることもまた簡単ではありません。なぜなら、それはしかるべき助けでなければならないからです。家族は、人々が良かれと思って述べるさまざまな意見やアドバイスに翻弄されることが多いものです。アラノンに辿り着いた新しい仲間にとって、先行く仲間である私たちから聞く言葉は、非常に大きな意味を持つことを忘れてはならないと思っています。 一方、難しさの別の要因として、新しい仲間が求めているものは得られにくいということが挙げられ

          アラノンで得られる助け

          助けを求めるということ

          私たちにとって、助けを求めることは想像以上に難しいものですが、この難しさの背景には、さまざまな要因が複雑に絡み合っているように思えます。アルコホリズムは進行性の病気であると言われています。夫の、妻の、子の、あるいは親の状態が悪化していくにつれて、私たちも少しずつ変わっていきます。 アルコホーリクの飲酒によってもたらされる出来事に、家族はあれやこれやと対処するようになります。もちろんそうせざるを得ないわけですが、そこには一筋縄ではいかない感情が隠されています。これについてはま

          助けを求めるということ

          アラノンに来る理由

          私が以前参加していた英語のアラノンミーティングでは、新しい仲間が来ると、先行く仲間がそれぞれ「自分はなぜアラノンに来たのか、なぜ来続けるのか」という理由を簡潔に話す時間を設けていました。来続ける理由は似たようなものが多い中、来た理由は千差万別でした。 私たちはさまざまな問題を抱え、何かしらの答えを求めてアラノンにやって来ます。それでも初めてのミーティングでは「こんなところに希望があるのだろうか」という疑いや、「私はここにいる人たちと違う」などと反感を抱くことがほとんどではな

          アラノンに来る理由

          はじめに

          まず、なぜこれを書くのかという目的と、誰に向けるのかという対象をはっきりさせたいと思います。一番の大きな目的は他の人たちにメッセージを伝えることであり、そうなると対象はそれを届けたい相手ということになるでしょうか。 15年ほど前、当時住んでいたスイスのバーゼルという街で初めてアラノンミーティングに参加しました。自分が何を必要としているのかもわからないまま、すぐに行かなくなりました。その後日本に帰国し、3年半前に再びアラノンの扉を叩きます。その頃はネットで検索しても、家族がア