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WE CAN'T CURE IT:私たちは治すことができない

Cambridge Dictionaries Onlineによると、cureという単語には大きく分けて二つの定義があります。
   ① to make someone with an illness healthy again
   (病気にかかっている人を再び健康にする)
   ② to stop someone doing or wanting something bad
   (誰かが何か悪いことをする/しようとするのを止める)
cureという単語に二つの定義があるように、WE CAN'T CURE ITという文言にも二つの側面があるものと考えます。まずは①から見ていきましょう。

①の定義をそのまま文言に当てはめると「アルコホリズムにかかっている人を再び健康にすることはできない」ということになりますが、これではだいぶ語弊があります。それでは、いったい何をもって「アルコホリズムを治すことができない」と言うのでしょうか?これを明らかにするためには(AAにおける)アルコホリズムの概念を知る必要がありますが、同時に(AAにおける)という限定があることに留意しなければなりません。なぜなら、現代の医学が定めるアルコール依存症に含まれる対象は、AAにおけるアルコホリズムの概念に該当する対象よりも大きく広がっているという事実があるからです。そのため私にとっては有益な情報が、他の人にとっては余計な混乱を招くものにもなりかねません。また私たちが受ける飲酒の影響は、アルコール依存の重症度によってのみ左右されるものではありません。アラノンにおいても、そのようなカテゴライズをすることは決してありません。

AAのアルコホリズムの疾病概念とアルコール依存症の医学的な診断基準との関係は、『心の家路』の以下の記事に分かりやすく書かれています。

一方、②の定義は私たちにとって馴染みが深いものですね。「アルコホーリクが酒を飲む/飲もうとするのを止めることができない」ことは、受け止めるには非常に重い現実です。であるからこそ、私たちがアルコホリズムという病気について知ることが重要であると考えます。それは、私たちをさまざまな方面から助けてくれます。少なくとも「自分にできないこと」ではなく、「自分にできること」に目を向けるきっかけにはなるはずだと確信しています。

今回の記事で取り上げるつもりだった「三つのC」の四つ目であるWE DON'T HAVE TO CONTRIBUTE(私たちは貢献する必要はない)については、『家族の役割』をテーマとした別の回においてあらためて考えることにしました。次回はまず「私たちにできること」に思いを馳せましょう。

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