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WE CAN'T CONTROL IT:私たちはコントロールできない

私の母はスナックを経営していました。開店したのは私が2歳の頃のことで、私が一度目の結婚をして家を出た後も、母はまだお店を続けていました。必然的に私はそこでたくさんの時間を過ごすことになります。そうして出会った多くの酒飲み達(父もまた常連客だった)の中で、父はその誰とも違っていました。私が感じた「違い」。それが今回のテーマにつながります。

手元のポケットブック版Webster's New World Dictionaryによるとcontrolにはいくつかの意味がありますが、ここではto regulate(制御する、規制する、制限する、調節する)とto restrain(抑制する、控える)の二つがもっとも当てはまるのではないかと思います。通常このような意味合いにおけるコントロールは、何らかの秩序や安全が守られるために行われるものです。つまりコントロールが利かないということは、無秩序かつ危険であることを意味します。私が父の飲み方から感じていたのはこの「危うさ」であり、それが他の酒飲みとの「違い」でした。常に飛行制御システムが壊れた飛行機に乗せられているような不安の中で、墜落させまいと家族がコントロールを試みるのは当然の行為であると言えます。

しかしその結果は、私たちのみんなが知るところであり、またそれが私たちをここまで連れてきました。飲酒のコントロールの喪失がアルコホリズムの症状です。私たちが、コントロールできないことを強制的にコントロールしようとしたこと。それによって生きていくことがどうにもならなくなったこと。これがそっくりそのままアラノンプログラムの第一ステップになります。

STEP ONE: We admitted we were powerless over alcohol---that our lives had become unmanageable.

How Al-Anon Works (2008): 45

次回は「三つのC」の三つ目であるWE CAN'T CURE IT(私たちは治すことができない)、そしてあまり話されない四つ目のCについて考えます。

参考文献
Webster's New World Dictionary (2003)
How Al-Anon Works (2008): 45

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