見出し画像

ヨーロッパを旅した100の感想:3.目に見えない差別の受け止め方について

感想の三つ目に書くことではないのかもしれませんが、どうしてもこれを踏まえて話しておかなければ、ヨーロッパの旅は語れないように思ったので書いておこうと思っています。

こちらのnoteを読ませていただいて、私には子供はいないのでまた違う角度からの話にはなってしまうのですが、「ヨーロッパでアジア人であるということ」を改めて考えさせられたので、ここにリンクを貼らせていただきます。

キッカケは突然

私がドイツの首都ベルリンに1週間滞在していた時に体験したことがきっかけで、いやでも自分の中の違和感が顕在化したように思います。

私にとってドイツは最後の国で、ヨーロッパにもそこそこ慣れて、穏やかに観光ができると思っていた国なんです。私はベルリンで、初めて痴漢にあいました。こんな言い方も変ですが、日本にいる時は半ば痴漢が日常茶飯事化していていちいち騒いだり怯えたりすることも無くなっていたんです。私もいい歳なので、東京やら大阪で変質者に会おうが痴漢されようがドスきかせて警察に連れて行くことなんて訳ないんですよ。

しかし、4ヶ月近くヨーロッパにいて痴漢にあったことがなかったので、まさかドイツでそんな目にあうなんて思わず、完全に油断していました。

ヨーロッパのほとんどの国では、通り過ぎざまに目が合うとお互いに微笑みあうんですよね。特に何も話すでもなく、ニコッと挨拶する感じです。

でもベルリンではその魔法のウインクがまるで通用せず、ニコッとしたら逆に不審げに見られることがありました。この辺りから、他のヨーロッパとは違う違和感を感じてはいたんです。

私が電車に乗っている時に、目の前に中年の男性が座ったんです。そして、たまたま目があった時に私はいつもの癖でニコッと笑いかけたんです。そしたら、男性はドイツ語で何か話しかけてきました。ただ、私はドイツ語がわからなかったので英語で返事をしたんですが、相手は構わずドイツ語で話しかけてきます。まあいいかと思い笑顔で聞き流していたら、おもむろにズボンを弄り下半身を触り始めました。どうやら、私に自身の下半身を触ってくれとずっと言っていたみたいです。

私はその瞬間やばいと感じてすぐに電車を降りたのですが、まさか白昼堂々、しかも人が大勢いる電車内でそんなことを言われるとは思いもよらなかったのでとても驚きました。

しかしさらに驚いたのは、彼は私と一緒に電車を降りて私の後を追いかけてきていたのです。ドイツ語で何かを言いながら追いかけてくるので、流石に大阪弁で怒鳴りつけてしまいました。

この出来事はとてもショックだったのですが、悲しいことにこういった男性に会ったのはベルリンで初めてではありませんでした。まだまだ遠いアジア人への認識を垣間見た辛い出来事です。

きっと彼らは、気の強いドイツ人女性には決してそんなことしなかっただろうに。私にならしてもいいと思ったその心が、自分がいかにヨーロッパで異質な存在だったかを再認識させるには十分すぎるものでした。

画像1

畳み掛けるように私を悲しい気持ちにさせたのは、この出来事をイギリス人の友達に報告した時に男女で反応が正反対だったことですね。

女性からは「これは’’女性‘’というだけで、世界中で起こりうる悲劇だから気をつけなければいけないね」と言われ、男性からは「何回かベルリンに行ったことがそんな悲劇に出くわしたことがない。本当に君はベルリンに行ったのか?」と言われました。

日本だけでなくイギリスであっても、男女で世界の見え方がこれほどまでに違うのです。

見えない差別のタチの悪さ

見えない差別とはいわゆる女性蔑視だけを指ている訳ではありません。

欧米諸国にはいわゆる「イエローフィーバー」と呼ばれるジャンルの方達が存在しています。アジア人だから好き、日本人だから優しくする。そんな方達です。そういう方達は日本人はいつもニコニコしているし何をしても怒らない、みんな優しいと思っています。

こういう方達は根底にある差別意識を好意として疑わないし、アジアを素晴らしいと思っているという好意を免罪符に、あからさまに私たちを見下していることに気づいていません。

「私は日本人です」と言っているにも関わらず「僕はアジアに興味があって好きなんだ」という返事を返されるとどうしようもないやるせなさを感じる時がありました。きっとその人にとって私は「アジア人」であって、「日本人」であろうと「中国人」であろうと関係ないのだなと。

先ほど話した、ドイツでの痴漢事件はきっかけにすぎません。アジア人であるから、女であるから、軽く扱っていいと思われたという事実を認識してしまったという衝撃は確かに辛いです。でもこれは、イギリスにいても感じたことはあるし、なんなら日本にいた時でさえ感じたことがあります。彼らが優しいのは私が「日本人」であるからで、私が私であるからではないのだろうかと。

皮肉なことに、あまり日本について知らない人と話している時の方が安心して自分でいられる気がしてしまう時だってありました。偏見のないまっさらな私を見てもらえる気がしたからです。

画像2

ヨーロッパの中では、年配の方の中にはいまだに日本人女性は簡単にヤらせてくれる性に開放的なのだと思っている人が少なくないようにも感じます。若い人よりも、そういう扱いをしてくるのはいつも年配の男性でした。

これはどんなに英語を流暢に話しても、現地の言葉を話していても、日本という文化背景を持っていてアジア人の見た目をしていたら確実に差別の対象になりうるのだなという現実に打ちのめされた一つの経験でもありますね。

意識を変えるのは日本だけでなく世界でも難しい

ロンドンに留学していた際に、授業で社会情勢について賛成か反対か話し合う時間がありました。

その日のテーマは「女性がもっと社会進出するべきか否か」

クラスには、ポルトガル・イタリア・トルコ・タイ・台湾・韓国と言った様々な国の方たちが集まっていました。そして授業で賛否の統計を取ったらクラスの中の男性が全員、女性は社会進出すべきではないという風に回答したのです。

これにはイギリス人の先生も驚いていました。なぜすべきではないのかという意見を問うと、全員が「男の仕事が減るから」と返事をしたのです。

画像3

私は漠然とヨーロッパは意識的に先進国なのかと思っていました。しかし、日本もヨーロッパも意外とまだまだ進んでいません。活躍している女性が注目されやすいだけで、実際はそこまで女性進出が活発ではないのかもしれません。もちろん、これはあくまでも小さなクラスの一コマでしかありません。実際はもっと世界の意識は進んでいるのかもしれないことを祈りたいです。

日本の実情を知らないのは案外男性の方かも

ここまでは海外で感じた見えない差別に関して書きましたが、日本の方がもっと残酷だということをご存知の方はどれくらいいらっしゃるのでしょうか?特に男性。

イエローフィーバーこそ少ないものの、女性蔑視は圧倒的に日本の方が被害を受けることが多いです。近年、企業広告がネット上で炎上して削除したり謝罪することが多かったですよね?

それのほとんどが女性差別によるものだったように思います。しかし、その女性側の不快感を男性型はどれほどまでに理解しているのだろうと思わないではいられません。なぜなら、何年もこの似たような炎上→謝罪→削除の企業があとを立たないから。炎上商法なら話は別だがきっと核の部分を理解していないから繰り返される悲劇なのではないかと勘ぐってしまうのです。

私は8月にエジンバラのフリンジフェスティバルに行きました。フリンジフェスティバルとは、街をあげての文化祭のようなお祭りだと思ってください。世界中からパフォーマーがエジンバラに集結する一大イベントです。

このフリンジフェスティバルに日本人コメディアンが出るとのことで、観に行ってきました。

画像4

イギリスで、英語で、一人漫談芸人として頑張っておられる日本人女性です。イギリスのユーモアはブラックユーモアと言われるように、皮肉がメインです。彼女は日本人としての視点から、イギリスへ皮肉をぶん投げるというスタイルの芸ですね。

彼女はネタの中で日本社会でおじさんたちに心ないことを言われ続けてきたこと、そしてイギリスでもたまに中国人と間違えられたり急に心ない言葉を言われることについて話していました。

ここで話したいのは、彼女の日本とイギリスの比較の中で繰り出される日本社会の女性の扱い方なんです。おそらく、私と彼女では少なくとも10近く歳が離れているのではないかと思うんです。それでも、10年違っても日本社会で受ける偏見や女性蔑視は変わらないのだなと、変なところに共感してしまいました。

ここで多くは語りませんが、ここまで読んで心当たりのある女性陣は少なくないのではないでしょうか。「日本のおじさん馬鹿野郎」と思ったことのある女性は少数派ではないはずです。

反面教師として

イエローフィーバーの話をしたので、日本にいる白人至上主義の話にも触れておきたいです。

要は、立場が違うだけでやってることは一緒ではないかって話です。外国の、特に白人の人が日本に来て日本の女の子からモテる現象はこれにあたるのではないかって話ですね。

画像5

彼らの立場になって思うことは、「白人」であるからアクセサリーのように好かれているのか、自分が自分だから好かれているのか日本で不安になることがあるのではないかと思います。人にもよりますが。

これは、先ほども言いましたが本人は褒めているつもりなので無意識なんです。けれど、これは間違いなく差別になりうることもある。受け取り方次第なところもあるんですけどね。

「顔が小さいね」「色が白いね」という言葉が、彼らにとっては褒め言葉にならないことだってあるんです。そういう目に見えない偏見を持って、留学生や海外からの旅行者に接してきてはいなかっただろうかと、思わず自分も反省してしまいました。

どんな国のどんな国の人に対しても、自分が不快だと思ったことはしない。そういう風に大きくなっていきたいものですね。お互いに。

もしいいなと思っていただけたら、いいねやフォローお願いします!!

Twitter @momusplay  @MoitiEMoitiE4

Instagram @moitiemoitie.frjp

インスタではフランス人の友達とフランス語一緒に配信しています!Twitterではフランスのことや2人の好きな映画や料理のこともつぶやいているのでどうぞよろしくお願いします!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?