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雑文集 #2

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雑多な文章の集積の二個目です。
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2021年5月の記事一覧

雑文 #254 ないものねだり

雑文 #254 ないものねだり

心が生きたり死んだりするのを繰り返していた頃と、ずっと生殺し状態なのではどちらがいいんだろうか? 愛する人がいてその中で問題を抱え悩んでいる苦しみと、そもそもそのような人がいない淋しさではどちらがマシなんだろうか? 食欲がなく何食べても美味しいと感じられずどんどん痩せてスタイルが良くなっていくのと、ごはんが美味しくて食べるのが楽しくてどんどん太っていくのとではどちらが幸せなんだろうか? 田舎で

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雑文 #253 雫がぽとり

雑文 #253 雫がぽとり

雫がぽとり、ぽとりと落ちていく。 私は呆然とただそれを見ている。 それは何の感情も起こさない。 ただぽとり、ぽとりと大事な何かが漏れていく。鈍化している。 私は気づいたのだ。 私はもっと感情の起伏が激しかったはず。 今はただなんかイライラする。 ちょっと楽しいことがあっても、すごくうれしい気分にはなれない。 悲しいことがあってもそう。クールに呑み込んでしまう。 こういうのって、つ

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雑文 #252 渋谷にて

雑文 #252 渋谷にて

昨日は朝身軽な格好で(化粧も髪型も手抜き)会社に行ったら夜ライブがあることに気づいた。 終業してすぐに行っても間に合わないけど、3人のミュージシャンが出演するライブだから、何とかなるかも。お目当ての小山田壮平さんは観られるかも。 会社を出て自転車をキコキコ漕いで、一旦家に寄って邪魔な荷物を置き、ファミチキをはぐはぐしてまたチャリで駅へ向かう。 ゴーゴー渋谷。てか渋谷。いつぶりなんだ?けっこう

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雑文 #251 五月の雨の土曜日

雑文 #251 五月の雨の土曜日

毎日雨か、またはいかにも降りそうな曇り。昨日は風も強くて参った。空気が重くてじめじめする。 気づいたら紫陽花が咲いてた。咲きたての紫陽花はとてもかわいい。友達へのプレゼントを買いに街に出たら、土曜日だ、混んでいて、デート中のカップルがいっぱいいたなぁ。 ふたりの女友達へのプレゼントを選んで、しばらく買ってない自分への服(めっちゃ安いワンピース)を買って、速攻ターミナル駅を出る。 買い物は、こ

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雑文 #249 ばらの花譚

雑文 #249 ばらの花譚

ばらの花がきれいな季節。

この季節が一年の中心であるような気がする。夏になる前、梅雨という恵みを経て太陽が輝く季節の直前、ばらは花咲く。

もちろん秋ばらというのもあって、濃い色のきれいな花を咲かすが、そちらは一年の二番目の中心。5月のばらほどの瑞々しさはない。ただ秋という季節特有の濃さがある(個人的に、私はこちらの季節のほうが好きだけれど)

とにかくばらの花がきれいな季節は、私の目線はきょろ

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雑文 #248 名前も忘れてしまったけれど

雑文 #248 名前も忘れてしまったけれど

突然、大学のときクラスが一緒だったある女子のことを思い出した。 大学以来ずっと疎遠で、ほとんど思い出すこともなかったのに。何しろ名前も忘れているぐらいである。でもそういうことが時々ある。彼女はそこそこかわいかった。背は低く、ふわっとしていて、色白で、育ちの良い感じ。 彼女を意識したのは新歓コンパのときだった。たまたま隣の席にいて、乾杯の音頭のあと生ビールのグラスをぐいっと飲み、「あぁ〜美味しい

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雑文 #247 村上春樹の「猫を棄てる」

雑文 #247 村上春樹の「猫を棄てる」

村上春樹氏のエッセイ「猫を棄てる」を読んだ。

出版から一年経った。私は新刊が出れば飛びつく春樹ファンなのに、手を出せなかったのはタイトルのせいだろうか。それとも「父親について語るとき」というサブタイトルのせい?

いや、私は最近趣味に前のめりにならない。以前のように、速く濃く吸収しようとがっつかない。なんか、クールだ。それも自分にとっては変なことなのだけれど。

とにかく、出版から一年以上経って

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