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【掌編小説】放送禁止女房♪

 今朝、会社へ行くと、いきなり、部長に呼び止められた。

「あ、部長、おはようございます♪」
「あ、おはようございます! あっ、ちょっちょっ、ちょっとちょっと……」
「えっ、どうされました?」
「何だかさ~、君の奥さんのこと、『放送禁止女房』、だなんて、みんなの噂になっとるぞッ!」
「えッ! もう部長の耳にまで入っちゃいましたッ?」
「入っちゃいました!」
「アハハ……、誠にお恥ずかしい限りです、はい~……」
「へぇ~、あのマジメそうな奥さんがね~、そうかねそうかね~♪」
「えっ?」
「つまり、君の奥さん、エロ過ぎて、何かの間違いで、テレビか何かに出ちゃうことでもあれば、『言っちゃいけないこと言っちゃったり、出しちゃいけないとこ出しちゃったりしそうだ~~~ッッッ!!!』、ってことかね?」
「えッ?! いやいやいやいや、まさかまさかッ! ち、ち、違いますよ~、部長~ッ! やだな~、アハハ~……♪」
「違うのかね?」
「違います違います! 『放送禁止女房』、じゃなくて~……」
「あ、じゃあ~……、『放送禁止尿棒にょうぼう』?」
「いやいやいやいや、そっちの『尿棒』でもなくて~……」
「じゃあ、何ッ?!」
「いや、実は、うちの女房、かなり不器用でして……」
「ほぉ」
「贈答用とかプレゼント用って、品物を、包装紙で包みますでしょ」
「お、おぉ~」
「それが、今のところ、ヘタ過ぎまして……」
「ほぉ~」
「勤務先のお店で、今のところはですよ、品物を『包装』するの、『禁止』されてるんですよ、うちの『女房』」
「ほ~~~」
「で、いつの間にやら、『包装禁止女房』が、『放送禁止女房』だなんて、エッチな方向へ、噂が変異しちゃいましてね♪」
「アハハ♪ みんなの希望的観測ってヤツかね♪ アハハ、お疲れちゃ~ん♪」
「アハハ、お疲れ様です~♪」

 で、実際に、うちの女房が、『放送禁止女房』、ってぐらい、ドドド、ドエロなのかどうなのかは~……、夫婦の秘め事♪

 ムフフッ♪

 今晩も、大運動会だ~ッッッ♪

 ダーーーッッッ!!!

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