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君の'存在'を食べたい

フェチや性癖の話を持ち掛けると、男女問わず沢山の人たちが楽しそうに話をしてくれる。

うなじと鼠径部に目がないんだと言う人、首を絞め(orられ)願望のある人、性的対象の手が好きなんだという人、殴られたい人、まつげフェチな人。秘密を打ち明けるように嬉々として語る様々な人間の姿が、そこにはあった。

いろんな人に話を聞いてみると、そうした人間の中に相手のことを「噛みたい」と言う人間が一定数現れる。

私が「どうして?」と理由を尋ねると、「噛み跡で独占欲を満たしたい」と言う人が殆ど。けれど、「食べたいくらい好きだから」、と言う人や「取り込んで自分の一部にしたい」と言う人も中にはいる。

周りが訝しげな目を向けると、ある人は弁明するようにこう続けるのだった。

「ほんとに食べてしまうわけじゃないよ、行為として楽しんでるだけ。」

結論から言うと、彼らの話を聞いて私はこう思ったのだ。もしかすると、
”性行為は食事の代替行為ではないのか”

ここにこんな研究がある。

イェール大学出身の心理学者は109名を対象に、

・可愛い動物(ふわふわとした子犬、等)
・面白さを含む動物(車から頭を出した犬、等)
・普通の動物(真顔の成犬、等)

のそれぞれの画像を何枚かスライドで見せ、「可愛らしさ・面白さ・自己抑制度合い」を評価させた。その結果、可愛い動物を見たときほど、'ぎゅっと握りたい'、'唸りたい'などの「自己抑制度合い」傾向が強まることが判明した。次に、90名を対象にした実験を行い、そこでは画像を見たときの感情に合わせて気泡緩衝材を潰すように指示をした。

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すると、普通の動物に対しては平均100個、面白い動物に対しては平均80個だったのに比べ、可愛い動物を見たときは平均120個もの衝撃緩衝材を潰していた。

心理学者はこの感情に対し、'我慢できる類いでも、コントロールできる類いの感情でもない'と言及している。

(この実験については以下の記事に詳しく書いてあるので、気になったら確認してみてください)

この研究から分かったことは、人は極度に愛しいと思ったものを傷つけたいと思う習性があると言うことだ。

そしてこれはキュートアグレッションと定義付けされている。

キュートアグレッション (英: Cute aggression)とは、「可愛いものへの攻撃性」と訳されることがある衝動であり、可愛いものを見た時につねったり締め付けたくなったり食べてしまいたくなる衝動である。それらを傷つけたり、害を与えたいというものではない。(Weblio辞書より引用)

かわいい赤ちゃんのほっぺをつねる行為はその最たる例だ。

同様に、昔聞いた話なので定かではない(けれど上の定義にも書いてあるので恐らく正しい)が、人間は愛しいと感じたものを、口元に運ぶ癖があるそうだ。もしかすると、それもキュートアグレッションの一つの例で、相手の事を食べてしまいたいという思考もそこから来ているのかもしれない。

だから最初に述べたように個人的には、生殖を目的としたものを除く、人間のフェティシズムとそれに続く一連の情事は、快楽はもちろんだが、相手を食べる事の代替行為という役割も担っているのではないかと、最近はそう思っている。

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ちなみに少し話は逸れるが、私は身の回りの大切な人達が死んだとき、できれば火葬後にその人の骨を一片食ってやろうかと企んでいる。

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