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花は咲く~旅芝居・大衆演劇の〝御祝儀(おはな)〟の話 ~

花は花は花は咲く・・・。

旅芝居・大衆演劇の「お花」(舞台上でのご祝儀)は
どっぷりな人にとっても知らない人にとっても
興味深いテーマではないでしょうか?

古今東西のメディアでもお馴染み、踊っている役者の胸元に・・・。

かつてはもっと派手派手だったと聞きます。
レイみたいにして首からかけるだけじゃない。
小銭を紙に包んでそれこそ「おひねり」として投げたり。
(のを舞台の上で役者が箒で掃いて集めたらしい)
関東の老舗小屋には「手裏剣ババア」と言う有名なお客さんもいたそうです。
お札を手裏剣みたいにシュパパパっと投げる。
一方、関西にまことしやかな都市伝説があります。
その名も「淀川さん」
「淀川の水が枯れても●●さんにお花する!」と公言したとか。

そう思うと現在は控えめですね。
景気が悪いせいかしら。
でも座長大会などではお見事に咲きますよ。
ちなみにお札を何枚か重ねてつけるのは裏に両面テープで貼り付けます。
たまに大会のロビーで貼っている光景を見られたりもします。
一万円札以上は「見せるため」に封筒じゃなく直につけるのがいつの間にか定着したらしい。
サクラサクラや入場料に席代プラス色つけてとかもある。
でも中には夫の遺産を・・・なんてのもホントにある話。ホントです。とほほ。


まあ、なんと興味深い。

個人的には好きではありません。
「他の芸能のように楽屋見舞いとして渡せばええやん」
「あーそのタイミングで。あー、今舞踊のええとこやったのに」
正直な気持ちです。「あー」です。
でも、感慨深くもなるのです。

欲しさに媚びる役者と本気で喧嘩をしたこともあります。
例えばそのひとり。
特定のひとりの花客のリクエストにだけ応じて似合わない拵えで同じ曲を踊っていました。
若くない人で家族に送金しているという事情も聞いていました。いわゆる単身赴任です。
最強によろしくない方法で毎月その金額をなんとかしていたのも聞いていました。
特定のひとりの花客の事情も聞きました。首はひねりましたが。
けれどある日、お花欲しさに舞踊を放棄して
ふわふわヘラヘラして花客の元にだけいっていたのを観て思わず言うてまいました。
喧嘩じゃないな、「本気でちゃんと言うた」が正しいです。
解決は出来なかったし、どうやらいまだによろしくない関係のようだけれど。

そう、綺麗な世界は決してきれいごとだけじゃないのです、きっと。
皆のいろーーーーんな思いがいっぱい。
でもだから私はきれいごとを言いたいのです。
皆のいろーーーーんな思いがいっぱいがあるからこそ。

で…。
「この場で何を書いていこうかなー」「皆に何を伝えたいかなー」
と考えたとき、やはりお花のことに触れようと思いました。
茶化すのではなく、ほんとにこない思います。過去記事ですがご一読いただければとても嬉しいです。

以下はめちゃくちゃ昔(2006年、と、2011年、私が大衆演劇を観出して間もない頃の、とある座長大会にてのこと)

本が好き、歌が好き、原作が好き、物語が好き。
だから私はほとんどの旅芝居の舞台を観ても
本気で楽しいすごい面白いと思うことは稀で
舞台に対して怒っていたり。
「行こうかな」と思うも靴をはくまでいけないことの方が多いです。正直。
でもでも行ったら舞台のことだけじゃなく泣いたり笑ったりしてまいます。

旅芝居・大衆演劇を、
ツッコんだり苦笑いしながらも面白いなと思うのは・・・。

そして、
旅芝居・大衆演劇だけでなくいわゆる〝大衆芸能〟
(ここには私が今ドはまりしているもうひとつ世界もたぶん含まれる気もしています)
その「芸術じゃないけど芸術」で「芸術だけとで芸術じゃない」ところに
私が惹かれてならないのは・・・。

〝こういうところ〟なのではないか。

やはり思う昨今です。

■omake■
そんな観方で、ずっと旅芝居や旅役者をみてきております。
以前はblogに、近年はnoteのマガジンにまとめているので、よろしければ。

と、わたくしめのプロフィールなども、すこし。


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