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イケメンの流儀/つまりはHappy空間の理由

イケメンが居ると聞いていた。
確かにイケメンだった予想以上に、しかも2人も!
でもでも、もっと印象に残ったのは座長であるお父ちゃんだった。
イケメンすぎる2人の息子を持ったお父ちゃんは、
チョケる! 笑いをとる! 喋る! 喋る!!客席は湧く! 笑う!
何だこのHappyすぎる空間は!?

稀に見るイケメンだ。
すらりと伸びる背、細すぎる長い手足に細すぎる指。
舞踊中に漫画の登場人物のようにきれいな眉が八の字になる。
背景幕の青いバラと相まって、ほんま、漫画の世界の王子様のよう。
またはめっちゃ人気の売れっ子ホストかもしれない。
指名が絶対途切れない超人気者、お店が誇る一番の看板。
そんな若座長は座長の長男で、今劇団のメインとして活躍中らしい。
同行の、自他共に認めるイケメン好きの友も嬉しそうだった。
「見てるだけで血行良くなって顔の浮腫みとれてリンパ流れそう!」わかる(笑)

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さらに若座長の弟もイケメンなのである。
子供から少年青年へとなるあやうさきれいさ、かなあ。
何を踊っても、皆と踊っても、
なんだかとても自身の魅力と雰囲気がだだ漏れである。
私はこちらの彼にめちゃ目がいった。
地方の友たちに即連絡すると皆テンションが上がっていた。
「え、大人になってる!」「子供の頃から世界観持ってたよ!」
観ている我々だけじゃなく、遠く離れた皆のテンションさえ上げるのだから末恐ろしい。

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で、お父ちゃんは?

ショーでまず女形で出てきたときに「ん?」。悪いとかじゃない。
息子2人が少女漫画すぎるのだ。それだけなのだ。
でも、だから、「ん?」って。
でもそれがどうした?!と、いうことを我々は舞踊ショー途中から笑顔が止まらなくなる程、教わることとなる。教わり、笑顔となることとなる。

お父ちゃんは次男が中心の総舞踊に乱入してきた。
狭い小屋の楽屋口からなぜか「おばあちゃん」な鬘で。
あれだ、吉本新喜劇の桑原和男師匠だ、「和子」だ、だから勿論、「胸」も有。
おばあちゃんなお父ちゃんは踊る次男にベタベタくっつく。くっつく。絡む。避けられる。くっつく。
「なんやお前は! 反抗期か!? 中学3年生で、お年頃か!(笑)」
「やめて下さい!(笑) 舞台に情熱を燃やしていた頃の座長に戻って下さい!(笑)」
客席ではお客さんたちが爆笑してる。
個人的にはこういうの(格好での笑い)は好きじゃない、いろんな点から年々ニガテになるのは本音。
でもこのハッピー空間をみているとそんなの私の主観でちいさなことなのだと思わされたりすらする。

その後、お父ちゃんは唄のコーナーで出てきた。
正直、お世辞にも「巧い!!!」とは言えないな、と思った。
でもそれがどうした?!なのだ。へたうま、いや、すげぇ、ええのだ。
だって、なに、会場内の一体感?!
揺れながら歌い手を振る座長に客席中も揺れながら手を振っている。
『さよならライライラ』
狭い小屋だからこそダイレクトに伝わっくる、客席の笑顔。
なに。なんだこの楽しいムード。体感できるほどのHappy空間に笑顔が止まらない。
さらに歌が終わるとトークが止まらない。おやじトークだ、連発だ。

「昼の部終わりに「別途」追加料金でショーがあります。これ、「べつじょ」って呼んでたんです僕。べつじょ。舞台でも普通に言うてたのに誰もツッコんでくれないからずっと。誰か言って下さいよ!」

「大阪では居酒屋さんとかにご飯を食べに行ったらお客さんが「ありがとう、おおきに、ごちそうさん」って言うんですよね。3つも言う。こんな土地ないですよ。だから僕も言います。今日の夕方のショーにも残ってください。え、残る?ありがとうおおきにごちそうさん!!」

「大阪は水の都、僕は水も滴るイイ男!」

客席ドッカンドッカン、爆笑の渦、皆めっちゃ笑う、めっちゃええ顔で。
なんかね、なんだかね。そのドッカンドッカンと皆のええ顔が嬉しくておもろくて、
気付けば私もめっちゃ笑ってた、「嬉し笑い」だ。何これ、コテコテ、何これ、はっぴぃ!

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もうひとつ。
群舞(オープニング、真ん中、ラスト)の振付が、アイドルなのだ。
日舞じゃない、アイドル(風)。パラパラ…、あ、失礼。
たまたまこの日だけだったのかもしれない。たぶんそうだろう。そうかもだろう。
普段の私なら「えー」とか言うようなやつ、もー(笑)
真顔で観ていたら、隣の友人がつっつく、小突く。なに? 
友人が指さす先は、斜め向こうの席ブロック、おばあちゃんおばちゃんたちの列だった。
観れば、彼女らは群舞の振付に合わせて、パラパラのように客席で座りながらめっちゃ手踊りをしてる。
「おばあちゃんら、めっちゃ踊ってますね」
ほんまやなにこれSo Happy!

なんだかね、私は自分で自分を反省したよ。
見た目が一番?! 
芸が良いだの悪いだのどうのこうの?!
それもひとつの観方。いや、きっとそれらはひとつの観方でしかない。
客席、こんなに楽しそううれしそう、Happyムード!
大事なものを忘れていた、いや、わかっているつもりがすぐに見えなくなる。
自分と自分たちが持つ力や魅力、
それぞれや座の皆のそれらをフルに出して、「今、今日、あなたを」楽しくする。
楽しませる、Happy気分にさせる、力をあげる・もらう、
能書きや凝り固まったアタマじゃなくて。
そうして今日を明日、明日をこれからへ繋げてゆく、皆で笑う。
これが旅芝居の、いや、いろんな舞台の、もしかしたら一番の魅力、一番大事なことなのだ、って。

イケメンってなんだろう。
うん。見た目だ。
でもイケメンは見た目だけじゃないのだ。
この劇団はイケメンパラダイス。
バラの似合う若いイケメンたち、と、その筆頭に居る、熱く、真面目で、だから愛されキャラの、皆のアイドル!

「舞台に情熱を燃やしていた頃の座長に戻って下さい!(笑)」と息子に言われた彼は、
でっかい明るい声で叫んでいた。

「毎日三度笠かぶっても客は来ないんやぞー!!」

そんなお父ちゃんの年齢を歌の後のトークで知る。

「43歳?!?!」

未来しかないやん。超イケメン! 

イケメンとはきっと、心なのだ。

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(劇団寿、寿翔聖座長、寿美空若座長、寿福丸/2022・3.18@演劇館水車小屋)

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【プロフィール】

大阪の物書き、中村桃子です。
構成作家/ライター/コラム・エッセイ/
大衆芸能(旅芝居(大衆演劇)やストリップ)や大衆文化を追っています。
現在、lifeworkたる原稿企画2本を進め中。
演劇、古典芸能好き、からの、下町・大衆文化好き。

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お仕事依頼は勿論大歓迎、以外のご連絡も大歓迎です。

現在、ウェブマガジン「tabistory」様にて女2人の酒場巡りを連載中。
現在第10回。11回(入稿済み)~12回もたぶんもうすぐ!


そして、あたらしい連載「Home」。皆の大事な場所についての文章、も、ぼちぼち。


旅芝居・大衆演劇関係では、各種ライティング業。
文、キャッチコピー、映像などの企画・構成、
各種文、台本、役者絡みの代筆から、DVDパッケージのキャッチコピーや文。あ、小道具の文とかも(笑)やってました。
担当していたDVD付マガジン『演劇の友』は休刊ですが、
アーカイブがYouTubeちゃんねるで公開中(貴重映像ばかり)。


……と、New。今年からはYouTube絡みのお仕事にもかかわっております(演劇系とかじゃないけど)。ふふふ。

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