すもも

読書本の紹介

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最近の記事

ヴィンデビー・パズル

久方ぶりに ロイス・ローリーを読んだ。 矢張り、魅了された。 1952年ドイツの湿地で一体の遺体が発見された。 およそ2000年前の13才の少女の遺体であった。 少女は肩口に小動物の毛皮をまとい、目かくしをされていた。 その他には何も身につけていなかった。 暴力を振るわれた形跡はなかったが、なぜか左側頭部の毛が 刈り取られていた。 わたし(著者)はこの少女を「エストリルト」と名付け、判明した事実を パズルのピースと考え、生きてきた少女の物語を紐解き始めた。 男のみしか参加で

    • 潜水服は蝶の夢を見る

      7年前 左薬指の手術を受けた。術中 私の意識は、はっきりしていた。 看護師の「終わりました」という言葉で 自分の左腕の信じられない重さに驚かされた。 私が統べることが出来た自分の身体とは思えなかった。重たかった。 この重さを伝えてくれた本を、20年以上前 読んだことがあった。 以来、この本を探していた。 偶々読んだ「緘黙」(春日武彦著)に1940年コネチカットの富豪が、 息子のために潜水服を特注したが、その重さと閉塞感に使用は断念。 私は「潜水服」というKEYWORDを見つけ

      • タチ~はるかなるモンゴルをめざして

        最近 児童書の古典を再読している。多くの児童書に心ときめいたが その中から紹介したいと思う。 絶滅したと思われていた蒙古野馬の話である。 モンゴルの少年バリュートが、この蒙古野馬の群れを発見したことにより 世界中の動物学者がこの種を絶やさないように 各国の動物保護区で保護しようと動き出す。 「タチ」と名付けられたこの馬は四角ばった顔と強そうな毛がもしゃもしゃした先史時代の馬そっくりだった。タチはイギリスの保護区に引き取られた。イギリスの動物学者であったキティの祖父は孫娘の

        • 銀河鉄道の父(講談社文庫)門井慶喜

          2024年3月12日 宮沢賢治の生誕からその死までを父政次郎の視点で書かれている。 賢治の誕生の喜びと期待。賢治の成長ととも考え方の違いから生じる 憤りと葛藤。 走馬灯のように 賢治の生涯に政次郎は思いをはす。    賢治は明治29年 質屋を営む宮沢政次郎イチ夫婦の長男として 生まれる。その時の政次郎の喜びは一塩であった。 幼少期 賢治は成績優秀ではあったが悪童でもあった。 政次郎は後始末に奔走した。  7歳の賢治が赤痢で入院した折、妻イチの反対を押し切り 政次郎は病室に泊ま

        ヴィンデビー・パズル