字のないはがき 向田邦子原 角田光代文・西加奈子絵
世界各地で戦争が今も続いています。その中でいつも犠牲になるのは市井の人々、とりわけ弱い子供たち これから、”疎開と図書館と子ども”をテーマに3冊紹介させてください。3冊目です。
戦争が激しくなり、私のちいさな妹も疎開するなった。
まだ字が読めない妹のために
父は、数え切れないほどのはがきを用意した。
全てのはがきのあて名に
自分の住所と名前を書き元気な日は
○を書いてポストに入れるように話した。
初めて届いたはがきには
はがきいっぱい書かれた○
○はだんだんと・・・
日本は集団疎開が主であった。原作者の妹はまだ文字を
持たない幼子だった。家族と別れ、
どんなに心細かったことだろう。
邦子の「眠る盃」1979年のエッセイを
角田光代と西加奈子が絵本にしたものである。
向田邦子の作品は多岐にわたる。
そのどれもが40数年経った今も
ユーモアと温かさを感じさせてくれる。
家族との思い出を綴ったエッセイ「眠る盃」は
滝廉太郎の「荒城の月」の「巡る盃」を
ずっと「眠る盃」と思っていたことから
題名となった。
若くして逝ってしまったのが
ほんとうに残念でならない。
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