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ガンバレ 子ツバメピースケと (10)もりのふるぎやさん

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子ツバメの巣立ちと お兄ちゃんとなあちゃんの夏休みに起きた不思議な冒険物語。楽しい昆虫達がいっぱい
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2021年7月の記事一覧

K-01 もりのふるぎやさん:雑木林のできごと

カマキリの抜け殻み~つけた! 『アレレ これは何だろう 小さいけどカマキリかな・・・ああカマキリの抜け殻だ。』 『お兄ちゃん 見せて 見せて!』 確かにそれはカマキリの抜け殻です。こんもりした雑草の葉の上にありました。 『カッコいいな 頭からしっぽまで完全な形してるよ。』 これはマークンとナーチャンが家の近くのグラウンドに遊びに来た時のでき事でした。 二人は最近隣町からこの街に引っ越してきたばかりです。マークンは小学校三年生 ナーチャンは幼稚園の年長さんです。慣れ親しんだ

K-02 抜け殻や羽は 森の宝物?

もりのふるぎやさん お店には 『もりのふるぎやさん』という看板が出ています。 さっき見つけたあの小さなカマキリの抜け殻は あらあら お兄ちゃんがしっかり抱きしめていましたが 今では二人の背丈ほどもあります。子供達がスゴクちっちゃくなっちゃんたんですね。 その時後ろから声をかけられました。 振り向いた子供達はその声の主の姿を見て 思わずギャっと悲鳴をあげてしまいました。自分達と同じくらいの大きさのカマキリが立っていたのです。いえ正確に言うと カマキリの格好をした人間の子どもが

K-03 カマキリは7回くらい脱皮をして成虫になるらしい

店長さんはトカゲのおじさん お店には店長さんと思われるトカゲのおじさんがいました。沢山の昆虫や様々な生き物達の羽や抜け殻や毛玉だとか その他色々な物がキレイに整理されて壁一面にかけられています。 『おじさん カマキリの抜け殻を持った友達を連れてきたよ。マークンとナーチャンだよ。』 『いらっしゃい。どれどれ見せてもらおうかな。これはなかなか上等だね。完全な形をしているよ 見事だね。カマキリはね 10日に1回くらいの割合で脱皮を繰り返すんだよ。7回目くらいの脱皮で成虫になるんだ

K-04 獲物を仕留める早業は0.05秒!

カマキリ君の自慢話 『脱皮したらお祝いしてあげなくちゃね。』 『おじさん どうやってお祝いなんかするの?』 『脱皮した抜け殻を見つけた子どもと一緒に おめでとうって言ってあげること、そして見つけてくれたお礼にしばらく昆虫みたいに自由に空を飛んでもらうことだよ。  昆虫みたいに空を飛べたらどんなにステキだろうって思ってね これまでに色々と研究して実験もしてきたんだ。どんなに試しても残念ながら自分ではどうしても空を飛ぶことができなかったね。ところがだ なぜだかわからないが 人間

K-05 カッコ良さなら 夏の象徴のセミだよ

セミ君の自慢話 おじさんと入れ替わりに店の裏口から セミが勢いよく飛び込んで来ました。 『今来たばかりの子たちだね。君達何になりたいの。セミになるといいよ ぼくみたいに。この格好良さは最高でしょ。セミって種類にもよるけど4年くらい地中で過ごして成虫になったら10日から1カ月くらい飛び回るんだって。夏を象徴するあのにぎやかな鳴き声も ここで実際に出せるんだよ。』 『鳴き声で種類とかわかるの?』 マークンに聞かれてセミ君が答えました。 『えっとね 種類としてはジリジリって鳴くア

K-06 高速のハンター ホバリングもできる

ギンヤンマ登場 いましたいました 昆虫になった子供達です。空を自由に飛んでいます。誰もが気持ち良さそうですし格好いいのです。 ナーチャンが言いました。 『決めた ナーちゃん コガネムシになる。』 『えっ もう決めたの。ぼくはそうだな カブトムシになりたいかな。』 そこへたった今トンボにしてもらったばかりの子を連れてトカゲおじさんも広場にやってきました。 『決まったんだね 君はカブトムシに それから君はコガネムシなんだね。あとでサイズを測るとしよう。その前にギンヤンマ君を紹介

K-07 やっぱり兜の部分がカッコいい

マークンカブトムシ誕生 『それじゃ君達は店の方へ行こうか。』 マークンとナーチャンはおじさんと一緒に店の奥の部屋に向かいました。  トカゲおじさんが二人の身体のサイズを測りました。そして壁にかかっている羽やら何やら必要な物をあれこれ取り揃えると二人の為に特別な服を作り始めました。 『まずはカブトムシからだね 着せてあげよう。』 それはマークンの身体にピッタリでした。カブトムシの出来上がりです。 恐る恐る羽を動かしてみました。 『わっ 見て見て ほら 動くよ 動くよ。』 大喜

K-08 人間とおんなじだね 日向ぼっこ大好きなコガネムシの赤ちゃん

ナーチャンコガネムシ誕生 『さあ コガネムシの出来上がりだ。さて君はどうしてコガネムシを選んだのかね。』 『あのね とっても温かな日だったの。木の葉っぱはみんな落ちちゃったし、いつもだと寒いんだけどその日はとっても温かかったの。庭であそんでいたら芝生からムクムクちっちゃな白いムシが出てきてね そばにあった小石に身体をこんな風にスリスリこすりつけたの。それからこんな感じで お腹をギュッと丸めてその小石にだきついたんだよ。お母さんに聞いたらそれはコガネムシの赤ちゃんが日向ぼっこ

K-09 かくれんぼの木

自己紹介しながら自慢話をしよう  みんな一斉に空に向かって飛び立ちました。 マークンとナーチャンが今飛んでいるのは二人がさっき遊びに来ていたあの雑木林の中なのでしょうか。全く見当もつきません・・・と言うより飛ぶことに夢中でそれ以外の事など何も考えられなかったようです。それは多分仲間達もみな同じだったでしょうね。  誰かが言いました。 『かくれんぼしようよ!』 みんなワイワイ言いながら集まりました。そしてじゃんけんです。 『最初はグ― ジャンケンポン!』 ・・・そして決まりま

K-10 生きてる時間て何なのか よくわからなくなっちゃう

アッ クワガタ み~つけた セミもみ~つけた 『みつかっちゃったね。セミの紹介はもうしたからね。クワガタ君 どうぞ。』 『わかったよ それじゃぼくね。カッコ良さなら誰にも負けないよ。強さもね。格闘シーンは見たことあるでしょ。このクワの部分で相手と組み合って グーンと持ち上げて放り投げるくらい力持ちなんだよ。』 『それはカブトムシと同じだね。』 『ああ。でもクワガタは身体がスゴク薄いから 木の皮のすき間にするっと入れるんだよ。そこがカブトムシとはちょっと違うかな。』 『脱皮と

K-11 隠しきれないね そのキレイな羽

アゲハ み~つけた 『みんなには悪いけど 昆虫の中で一番キレイなのは何と言ってもアゲハだと思う。だからどの昆虫を選ぶかって聞かれたら もうアゲハ以外は考えられなったよ。』 『確かにホントきれいだよね。種類によって色とか模様とか ずいぶん違うでしょ。羽に色がついてるのかな?』 クワガタがアゲハに聞きました。 『トカゲおじさんに教えてもらったよ。 羽に直接色のついているチョウもいるみたいだけど ほとんどは鱗粉の色というか仕組みかな。鱗粉って聞いたことあるでしょ。あれはとっても小

K-12 美しい羽のハープ奏者

コオロギ み~つけた 『あ~見つかっちゃった。 ボクはコオロギ。昆虫の羽はどれもキレイだけど、コオロギの羽って 何て言うか楽器のハープみたいな感じなんだよ。ステキな模様もそうだけど こすり合わせるだけであんなにいい音がでるんだから ホント スゴイと思うよ。そこが好きだって言ったらね おじさんがこんな風に みんなによく見えるように そして自慢できるように特別に作ってくれたんだよ。』  羽がキレイという言葉に反応したのかアゲハが言いました。『うん確かにキレイだよね。でも えっと

K-13 近づくことも 捕まえることも難しいよ!

トノサマバッタ みーつけた 『かっこ良さと言う意味では トノサマバッタは最高でしょ。子供達に人気のヒーロー物のモデルにもなってるくらいだから言うまでもないけどね。』 そんな事を言いながらみんなの所にやってきました。 『特技は何?』 コオロギの質問に ちょっと考えてからこう答えました。 『結構警戒心が強いからね 近づくことも捕まえることも難しいと思うよ。それから飛び方かな。ジグザグに飛ぶとか 一度飛び跳ねてからかなり遠くまで一気に飛び去ってしまうとかね。』 アゲハが聞きました

K-14 蓼食う虫も好き好きとは言うけれど・・・

えっと あれは何かな ハエ? 『アッ 私ハエなの。多分見つけるのは難しいだろうし、もしかしたら無視されちゃうかもしれないと思ったから自分から姿を見せちゃった。』 確かに地味なハエは見つけにくいかもしれませんね。 『どうしてハエになろうと思ったの。希望する人は少ないんじゃないかな。』とマークンは思ったままを口にしました。 『ハエは人にはあんまり好かれていないけど あんなに小さいのに物凄いスピードで飛び回るでしょ。ハエ叩きなんかでつかまえようとしても まずつかまらない。だからあ