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【エッセイ】生きる、言葉

「ほんと、真っ直ぐなんだね。大変そう。」

日が斜めに落ちかかった線路沿い。あれは3週間程前だろうか。あの時の言葉が聞こえてきた。本当はどんな意味を含んでいたのだろうか。何を思って言ったのだろうか。


ある朝に

ここ1週間午前中から行動ができない。早朝4〜5時くらいに目は覚めるけれど、noteとInstagramを行き来していつの間にか寝落ちしての繰り返し。これを腹時計が鳴る12時までしている。起きるきっかけがあるとするならば空腹感だ。

お腹が空くのだから健康なのだろう。ゆっくり体を起こして猫のポーズをして、ゴロンとまた横になる。こんな甘々な働き盛りなはずの独身三十路女、他にいるかな。お気楽な人だと思いながら起き上がる。喉がカラカラだ。

一気に水を飲み干して、その勢いでシャワーを浴びることにする。鏡を見て今日は肌の調子がいい感じと声も掛ける。誰に見せるわけでもなく褒められるわけでもないけれど、起きて一番に見る自分の顔。それが白くてモチっとしていたら嬉しい。調子が良い日はいつもよりそっと優しく洗い上げる。

髪を濡らしてシャンプーをしてタオルで拭いてそして乾かす。この一連の流れがわたしはあまり好きではない。どうせ乾かすのになぜわざわざ濡らさないといけないのだろう。濡らさなくても洗える方法はないんだろうか。生活するってほんと、力を使うなあと大きな溜め息をつく。

あの時の私は、ネガティブに捉え過ぎていたのかもしれない。一瞬の違和感。わたしの心の中の「間」がどうも気になったなと少し時間を戻してみた。


あの日の

「ほんと、真っ直ぐなんだね。大変そう。」

そう、うまくできない。マルチタスクでがんばろうと挑戦するときだってある。でもいつも降参してしまう。一つのことに夢中になってしまうから。うまくやりたい、そう思っているわたしにその言葉はほんの少し冷たく映った。

特にがんばる必要があるのが「恋愛」と「自己実現」という名のタスク。「自己実現」なんて格好良く言ったけれど、もっと簡単にいうと「自立した生活」のこと。この2つをマルチにこなすことが、わたしにはどうも難しいらしい。

自分のやりたいことに真っ直ぐでいるときは恋愛へ気持ちが向かないし、そろそろ婚活するぞと意気込むと自分のことがおざなりになってしまう。どちらも大事にしたい。本心でそう思っている。どちらか一つじゃなくて、両方の「タスク」の先にわたしの最大の幸福があるような気がする。それなのになぜ、どちらか一方になってしまうのだろうか。どうしてうまくいかないのだろう。一緒にうまく生きたいのに。ずっと一緒にいたいのに。


続く、言葉

そういえば。「今、楽しかったらいいじゃん」ていうのがその人の口癖だった。ずっと私の肩の上に乗っていた言葉。寂しい色をしている言葉。ふと考える。本当に寂しい色だったのだろうかと。

「今、楽しかったらいい」この後に続く言葉は何だろう。期待してしまうから?未来を見てしまうから?それとも「今」「この瞬間」が何よりも大切な時間だから?答えは分からない。確かなことは、一緒に未来を生きたいと思うこの気持ちとは違うんだ、とわたしが寂しい色に塗ってしまったということ。

もしかしたら寂しい色ではなかったのかもしれない。真逆だと思ってしまったけれど、表現の違いで意図していない方向に伝わることってあるから。価値観が真逆なんじゃない。考え方が少し違っただけで本当の根っこの価値観(大切にしたい生き方)は似ていたのかもしれない。

未来に少し期待をしている気持ちと、今を全力で歩もうとする気持ち、きっと両方あったはず。


生きる、言葉

「ほんと、真っ直ぐなんだね。大変そう。」

これだと決めたら図太く、短いきょりで達成しようとするのがわたし。その道のりはわくわくの連続。変容していく景色に心が躍る。山の頂上を目指すように。そして頂上を見上げて、そこから見える景色を想像しながら歩く。

真っ直ぐなわたし。一つのことに夢中になって、もっと幸せになることを願って、怖がらずに今を歩いていく。

願わくば、また彼の言葉を聞きたい。

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