読書 死んだ道化役者
アガサ・クリスティ著
嵯峨静江 訳
1929年
「謎のクィン氏」に収録
早川書房
アガサ・クリスティー作品の先入観を変える短編集「謎のクィン氏」の中から、本日は「死んだ道化役者」をご紹介させていただきます。
神秘的な謎のイギリス人青年、ハーリ・クィン氏と、裕福な60代英国紳士サタースウェート氏が主な登場人物。
クィン氏はふと現れ、直接探偵のような事は行なわず、何気ない会話で誘導し、サタースウェート氏が事件を解決へと導きます。
高級店が並ぶ、ロンドンのボンドストリートにある画廊。
知人の屋敷が描かれた絵画に偶然出会い、釘付けになったサタースウェート氏。
即購入を決め、作者の画家をその晩夕食に招待します。
そこで、その絵画に描かれている部屋で過去に起きた、不可解な出来事の話が始まるのですが…。
ハーリ・クイン氏がこの世の人なのか、そうではない存在なのかは、はっきりとは書かれておりません。
クィン氏登場の物語は、アガサ・クリスティー自身が大好きだったそうで、
「謎解き」「推理」とはまた別の魅力も含み、なんとなく心が波立つ季節に特に読みたくなる作品です。
サタースウェート氏が絵画を購入した、高級店やオークションハウスのあるボンドストリート。
個人的な思い出話で恐縮ですが、ギャラリーや小さな公園にはよく行っておりました。
(ブランド店には場違いでとても入れませんでした)
今日もお付き合い頂きましてありがとうございます。
皆様、週末もどうぞお元気でお過ごし下さい。
ちなみに…
ハーリ・クィン氏が登場する他の作品…
・1997年に刊行された短編集「マン島の黄金」に収録されている「クィン氏のティー・セット 」
サタースウェート氏も登場します。
・「愛の探偵たち」
サタースウェート氏が登場する他の作品…
・「三幕の殺人」
・「死人の鏡」
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