ネットプリント『よんもじ』vol.7 autumn 西川火尖『二丁目ラーメン賛歌』より
以下ツイッターよりの転載です。
※画像は私が食べたスナックパークのしょうゆラーメン350円也
ネプリは普段等しく選句するに留めるのですけれど、火尖さんの連作「二丁目ラーメン賛歌」が圧倒的熱量で
秋の夜のラーメンを待つしづかな眼
この一句めから、定形通りなのに何故か初読字余りに感じたのもその熱に当てられたか。全体的に主体=作者「ラーメン喰う俺」の主観オーラ駄々洩れを辞さないその姿勢、覚悟に脱帽。
特に
全霊で純豚骨に臨みけり
の無季後、
自家製麺太し月光触れさせず
の「触れさせず」に強くそれが出ていてその熱に圧倒されるとともに作者のラーメンへの思いと、そうさせるラーメンというものへの憧憬が募るはやい話が私もラーメン食べたいなちくしょう。
一句として特筆すべきは連作最後の
麺金風豚の海陸ごちそうさま
の「麺金風」という麺と季語「金風」を繋げた力技と胆力だろう。
金風の金自体は秋の別名で色を表すものではないが、やはり麺の小麦色とその小麦の黄金の穂が揺れる様まで喚起してしまう。
「ごちそうさま」でラーメンの完食と連作の終わりを告げるが、その前に「豚の海陸」にスープも飲み干してることも見逃してはなならい。
現実を考えれば作者の身体が心配になってはしまうが、この連作からはただラーメンを食べる歓喜が全体を貫いている点も評価すべきだろう。
ただ健麺を祈るばかりだ。
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