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髙鸞石『琵琶法六』一句鑑賞

『琵琶法六』 髙鸞石

鉄美しくどるふぃんは跳ぶ備前焼

コンビニでネットプリントを出してぱっと目に入って来て思わず美しい…と思った。
それが詩の鑑賞の全てではないかと思う。
以下の解釈や分析、意味づけは全て蛇足、不粋に過ぎないだろう。
ではなんのために書くのか。
恐らく詩の為ではなく我が為であろうと思う。

備前焼は釉薬を使わず焼き締める為に焼物の中では固く丈夫である。
とは言っても鉄よりは脆い。
地肌の茶色は土に含まれる鉄分による。
つまり酸化、鉄錆と同じである。
素焼なので使う前には水に漬けておく必要があり、また色も鮮やかになる。
鉄が美しいというのが錆の無く磨かれている状態であれば飛び出したイルカの濡れた肌が砥がれた刀のようにも見えてくる。
海のどるふぃんと地の備前焼が鉄と水で繋がれている。
またどるふぃんが刀であればやはり備前焼と同じく炎に生まれるものであるだろう。
火はまた水を生むものでもある。

真夜中の黄童子鐘の実のごとし

鍋の骨すなわち捨(しゃ)

茶に霊がいて限界は愉しくて

五体に陽桔梗は獄の香として可


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