ばしょあゆみ|もくたん工房

木彫りと 日々の暮らしのエッセイ

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木彫りと 日々の暮らしのエッセイ

最近の記事

英語の学び直し

最近、英語の学び直しを始めた。 理由は、日本語で対話するように、英語を母国語とする人とも同じように対話してみたいから。どんなふうに感じるか、どう考えるか、色々聞いてみたいし、伝えたい。美味しい食べ物に出会ったらこれどうやって作っているの?って聞きたいし、ものづくりへの思いもシェアしてみたい。 いつどこに行くかも決まってないけれど、行くとすれば、ずっと行きたいって思っていたアイルランドに行ってみたい。ついでにフランスも。そして体力のあるうちに行きたいから、55歳までに行くこ

    • 不自由から得た自由

      木工作家の馬所あゆみです。 最近、何を作るにもまず鋸を握ることが多くなりました。 丸太を縦半分にするのも、スプーンの形に切り出すのも、割と何もかも、鋸で大体の形にしてしまいます。 以前はそうではありませんでした。あれをするにはこの工具がいるし、これをするにはあの機械が必要だけど、置き場所もお金もなく、その不自由にずっとストレスを抱えていたし、他の作家さんが羨ましいと思う時期もありました。 でもある日、人を羨ましく思うのが嫌になりました。羨ましく思う以前に、思う存分、場所と

      • たくさん支えられて、今があること

        木工作家の馬所あゆみです。 2児の母、主婦の傍ら、木彫りで暮らしの道具を制作しています。 現在、twitterでご縁をいただいた、埼玉県北本市にある小声書房さんという本屋さんでの展示に向けて、色々制作している。 色々といっても、展示は11月の予定で、10月の下旬には作品を発送しなければいけないので、できることは限られているけれど、そんな中でも、今まで作ったことがないものを作りたい気持ちがむくむくと膨らんで(時間がないのに!)、大きな刳物を制作し始めてしまった。しかも、切り出

        • 「ブラームス回想録」を読んで

          ブラームスの事は、正直よく知らなかった。知っている曲と言えば、ハンガリアン舞曲第5番ぐらい。顔も全然覚えてなくて、小中学校の音楽室の後ろの方に、肖像画があったようななかったような、という程度。 ある日、何気なくRadu Lupuというルーマニア出身のピアニストのアルバム「ブラームスピアノ小品集」の中の、「6つの小品作品118の2 間奏曲イ長調」を聴いて、自分の中の音楽の世界がひっくり返るような衝撃を受けた。心がざわざわとさざめき立って、膝から崩れ落ちそうなぐらいの、衝動。い

          Twitterをやめて気付いたこと

          Twitterをやめて3か月経った。 2年以上毎日投稿していたSNSを辞めるのは、それなりに大きな決断だったけれど、今となっては、やめて良かったと思う。 色んな人と知り合えて楽しかったし、twitterのご縁がきっかけで今もお付き合いが続いている人も何人かいる。でも同時に、何かわからない息苦しさを感じていたのも事実。ちゃんと毎日作ってるか、きちんと向き合っているか、そんな謎の圧力をうっすら感じながら、みんなにとって不快でないような投稿を心掛けていた。今思えば、すごすぎると感じ

          Twitterをやめて気付いたこと

          「月と六ペンス」を読んで

          近所の書店にて、この夏オススメの本のコーナーで見つけたシンプルな装丁の本、サマセット・モーム著「月と六ペンス」。 タイトルは見たことはあるが読んだことはなかった。ヘッセの「車輪の下」の横にあったから、きっと誰もが知る名著なのだろうと思い、裏表紙のあらすじに目を通した。“ある天才画家の情熱の生涯を描き、正気と狂気が混在する人間の本質に迫る、歴史的大ベストセラー”とある。読んでみようと、軽い気持ちで他の数冊の本とともに買い求めた。 読み始めると、最初は退屈でたまらなく、あくび

          「月と六ペンス」を読んで

          「自転しながら公転する」を読んで

          最初はタイトルに惹かれた。そして帯に持って行かれた。 「恋愛、仕事、家族のこと。全部がんばるなんて、無理!」 ドキュン!と胸を射抜かれた。著者である山本史緒さんの事も、どんな内容なのかも知らないまま、角田光代さんの短編小説や装丁に惹かれた数冊の本と一緒に、レジに持って行った。 角田光代さんの「さがしもの」を読んだ後、夕飯を作りながら手に取って読み始めた。なんだ、恋愛小説かぁと、少しがっかりしながら、少し読み飛ばしつつページを捲る。主人公は都という、アパレルショップで働く

          「自転しながら公転する」を読んで

          始まりのボタンの形と輪郭

          木彫りのボタンを作りたいな、と思ったのは、木彫りを始めた時。インターネットでフランス製の木製のアンティークボタンを見たことがきっかけだった。お皿状に窪んだ形で、緻密な木目や艶、整った輪郭が美しい佇まい。実際に手に取りたかったけれど、既に販売済みで叶わなかった。 ヨーロッパのアンティークの品々は、美しいものが多いと思う。中でも、昔農家で使われていたような、素朴で朴訥とした雰囲気のものがとても好きだ。先のボタンも、そのような雰囲気だったので、とても惹かれた。 木彫りボタンで検

          始まりのボタンの形と輪郭

          手紙

          時々、無性に手紙を書きたいなと思うことがある。だからといって、特に出す当てもなく、遠い外国に住む親友にあてて書こうかな、でも近況知らないしな、と思っているうちに、結局書かずに流れてしまう。そして文房具店や美術館でときめく便せんを見つけては、いつ出すともしれぬ便箋セットを購入して、そっと愛でたりしている。 手紙は、貰ったらとても嬉しいものだけれど、出された方はどう思うのだろう。SNSで知り合って、DMでのやり取りを通じて作品の交換などをした人に、感謝の気持ちを伝えるために出して

          何も知らないを知る〜散歩の効用〜

          散歩を始めて1年半ほど経つ。天気が良ければ、毎日7,000歩ほど歩く。目的地についても何をするでもなく、ただ海面を眺めたり、木を見上げたり、鳥の囀りを聴きながら季節を感じたりする。 散歩を始めた当初は、ダイエットが主な目的だったけれど、五感を刺激したいという気持ちも同時にあったので、歩いて行く先は自ずと海か山のどちらかになった。 桜の季節が終わってからは海ばかり行っていたけれど、先日ふと山に行きたくなって、近所の山に向かった。何か悩みがある時は海、考えが溢れ出て沸騰しそう

          何も知らないを知る〜散歩の効用〜

          子育てのこと、今だから伝えたいこと。

          こんばんは、木彫り作家のばしょあゆみです。 自宅の小さな作業部屋で、木彫りの作品を作り続けています。 子供と素直に向き合えるようになったのは最近のこと。 我が家には、9歳の長男と7歳の長女がいます。2人が学校に行っている間が自分の時間。簡単に家事を済ませて、木彫りをします。そうこうするうちに、長女が帰ってきて、いっしょにおやつを食べながら、今日はどうだった?と子供の話に耳を傾けます。「何と大ニュース!!国語の教科書が新しくなりました!」「チューリップの葉っぱが5センチにな

          子育てのこと、今だから伝えたいこと。

          ブドウの木、ぐねぐね曲がる。

          誰もが一度は食べた事がある(と思う)ブドウ。 では、ブドウの木をじっくり観察した事はあるでしょうか。 私は、実家に植えられてるブドウも、ブドウ狩りの時も、その木をじっくりと観察したことはありませんでした。 昨年、SNSで知り合った愛好家の方から葡萄の木を分けていただき、その時に初めて材木としての葡萄をじっくり観察する機会をいただいたのですが、第一印象は「物静かな暴れん坊」。 今回ご縁があって、地元の葡萄農家さんから葡萄の木を分けていただいた時の事をブログに投稿しましたが、そ

          ブドウの木、ぐねぐね曲がる。

          心地よい匙加減、ああ七草粥。

          昨日、1月7日は七草粥を食べる日。 豊年、無病息災を祈って、早春にいち早く芽吹く七草を食べて邪気を払う、そんな意味合いがあると言われています。 ところで、粥に入れる七草、みなさんはどうやって入手しますか? 我が家では、毎年当たり前のようにスーパーで購入していました。 1パック498円、自分で摘み集める手間を考えたら安い物・・・なのでしょうか。 そういえば七草を摘んだ経験もない私。 どこに生えているのか、生えていたとしても、犬猫の糞尿、除草剤はかかっていないだろうか。ちょっ

          心地よい匙加減、ああ七草粥。

          わたしと、木彫りと。

          世界観をぐいぐい出したいわけじゃない作家? 私はどんな作家だろう?というのが、最近のテーマなのですが、あえて書くならば、一人一人の、日々の暮らしに寄り添いたい作家です。 芸術家のような独創的な世界観があるわけではなく、同じ品質のものをコンスタントにたくさん作りだせる職人肌でもない私ですが、これが私という作家の強み、というのは前回の記事「使い手と一緒に紡ぎ出すものづくり」で触れました。 とはいっても、どんな作風で、何を作れる作家なのか、というのは、明らかにしておかないとお互

          わたしと、木彫りと。

          使い手と一緒に紡ぎ出すものづくり

          目の前にある木から何が作れるかを考える こんばんは、もくたん工房のばしょあゆみです。 つい先日、ショップカード兼名刺を更新する機会があり、今までのデザインを一新しました。今までは、作った作品の写真をいくつか載せていたのですが、写真をすべて削除し、代わりに手書きのイラストを一つ載せました。 もくたん工房のものづくりは決まった形がありません。 何になるかは、木に委ねたいと思って、向き合っています。 なるべく大きな塊からは大きな作品を作りたいし、小さな塊も活かせる何かしらの形

          使い手と一緒に紡ぎ出すものづくり

          日々の暮らしに溶け込む、木彫りの道具

          こんにちは、もくたん工房のばしょあゆみです。 突然ですが、みなさんは、木彫りと聞くと、どんなものをイメージされますか? 木彫りの熊? 木彫りのスプーン? 木彫りのアート作品? 一口に木彫りと言っても本当に様々ですよね。 私が作っているのは、日々の暮らしに溶け込む木彫りの道具です。 暮らしに関わる道具を、色んな木を彫って彫り出しています。 ヨーロッパの古い農家にあるような、素朴な木の道具をイメージして作っています。 木を大きさから何を作るかをきめたら、どんな形にするか

          日々の暮らしに溶け込む、木彫りの道具