焙煎

コーヒー豆の豆知識 その2 「飲み頃」とは①

この記事では、コーヒーについてよくある疑問その2として、

「コーヒー豆の賞味期限はどれくらいなのか?」

について書いていきたいと思います。

コーヒーショップで購入しても、他の食品と違って
「賞味期限:20〇〇年〇月〇日」という表記がしてあることは稀ですね。
そのため、あまり気にしないという方も少なくないようです。

ただ、食品である以上コーヒー豆にも賞味期限があります。

また、他の多くの食品と違うのは「飲み頃」があるということです。

今回の記事では、コーヒーの「飲み頃」を意識していきます。
また、時間ごとの味の変化がなぜ起きるのかについても触れていきます。

焙煎を「化学」してみる

私たちは食品の賞味期限を意識する際に、「いつまで美味しく食べられる(飲める)のか」を意識します。

これは、食品は製造から時間がたつごとに劣化(酸敗・腐敗)していくという認識が強いからです。

しかし、先述した通り、コーヒー豆と他の食品の大きな違いは「飲み頃」が存在することです。必ずしも製造から一直線に劣化するわけではない、ということですね。

その理由を知るには、コーヒー豆の焙煎を化学的に見る必要があります。


コーヒー豆の焙煎を化学的に見ると、豆に熱を加えて大きく4つの化学反応を引き出していることになります。

・メイラード反応

・カラメル化反応

・加水分解

・熱分解

です。


まずメイラード反応ですが、

糖+アミノ酸が反応し、さらに水や酸素が加わることで、メラノイジン(褐色物質)や香り・うまみ物質ができる

ことです。何のこっちゃい、という感じですが…。

例としては、肉や野菜に熱を加えると「おいしそうな香り」がすることなどが挙げられます。
ご飯の「おこげ」も同様です。

カレーのレシピでも、よく「焦げるぎりぎり手前まで玉ねぎを炒める」というものがありますね。

メイラード反応は、感覚的に見ると
褐色化・うまみ成分の増大(コクが出る)・良い香りがする
という変化をもたらします。

ちなみに、メイラード反応は常温でもゆっくり進行します。
一方、155℃付近で一気に反応が進む特徴があり、温度によって反応速度をコントロールしやすいです。


次に、カラメル化反応です。

これは糖が熱分解により様々な物質に変化する反応のことです。

カラメルをバーナーであぶると、甘苦くなりますよね。
べっこう飴もメイラード反応を使った食品です。

カラメル化反応は、感覚的に見ると
褐色化・独特の苦み成分の増加・香りが良くなる
などの変化をもたらします。

こちらは加熱しないと反応が起こりません。
種類にもよりますがおおむね160℃~200℃の範囲で反応が起き、185℃前後が最も反応が進みやすいとされています。

ちなみに、加熱しすぎると糖が炭化して「焦げ」てしまいます。


次に、加水分解です。

コーヒー豆の場合、「クロロゲン酸」が「キナ酸」や「カフェ酸」に変化する反応です。

この分解により、酸味が増大します。

常温でも反応は進みますが、加熱すると反応速度は速くなります。165℃付近が最も反応が活発になるようです。


最後に熱分解。

ショ糖がギ酸や酢酸に変化します。

この分解により酸味が増大します。

反応温度は低め。100℃くらいで反応が始まります。


この4つの反応を組み合わせたものが焙煎です。

加える熱量が小さい(浅煎り)だと色が薄く酸味が強めに、
大きい(深煎り)だと見た目が黒っぽく苦みが強くなりやすい

理由はこの辺りにあります…。
焙煎時間と温度をコントロールすることで、味をコントロールすることもできそうですね。

また、この反応を細かく見ると、焙煎から時間がたつにつれて味が変化していく理由が見えてきます。

焙煎を化学的に見ると、焙煎度による味の違いの理由が見えてきて「なるほどな~」という感じになりませんか?


長くなってきましたので、今回はここまで、ということで…。

次回の記事では、その変化と飲み頃、賞味期限についてもう少し突っ込んでいきたいと思います。


では、次回の記事をもう少しだけお待ちください!
(「飲み頃」の結論まで書いていなくてごめんなさい…)

ここまでお読みいただきありがとうございました!

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