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ラストエグザイル(2003年ゴンゾ制作)【アニメ感想において綺麗なだけじゃ面白くないなんて誰が決めたんだい? そうさ、俺たちは超えていく。あの山と雲と固定観念を。(そう言って彼は海の方を指さしたんだ)】

かつてアニメ界に「ゴンゾ」と呼ばれる制作会社ありけり。
その会社、技術力では一騎当千のツワモノたちなり。
しかしながら、すとおりいを創る力だけは無き候、
ゆえに「ゴンゾ」は滅び去りけり。

そうなんです。
「ゴンゾ」は脚本の作り方が最悪なんです。
どんなに絵がキレイでも、どんなにキャラが立っていても、どんなに世界観が完璧でも!
ストーリーが最悪だと、まったく面白くないんです!

そりゃ潰れるわ。

物語たるもの、まず初めにストーリーありき、なのです。
いかに優れた原作が重要視されるか、理由がお分かりいただけますでしょうか?

画質なんか崩壊してていいんです!
ストーリーが良ければついてきます。
20世紀の作品の画質を観たまえ諸君。今日、観れたものではないぞ。
あの名作ですらそうなんだから。
(偉い人にはそれがわからんのですよ)

特にアニメ史上(といっても私が見た限りなのでたかが知れてますが)
「ラストエグザイル2」ほど脚本に欠陥がある作品を、古今東西で観たことがありません。
別に打ち切りと言うわけでも無し、なぜこれほど破綻していたのだろうか?
なまじ画質やデザインがいいだけに、余計に違和感が酷い。

これに比べたら「ゲド戦記」ですらアカデミー賞ものです。

しかし2があるからには1があるわけで。

そうなんです。
「ラストエグザイル」は成功作なんです!
(最初はもちろん1なんてついてません)
第1作が成功作だったから第2作があるわけで。
というわけで、今回は第1作の方を紹介します。

さてもさて、この世界観はSFです。

どこかも分からない世界、世界にヴァンシップとかいう浮かぶ船がたくさんある世界。

「ラピュタ」世界には「ゴリアテ」なる飛行戦艦がありましたが、あの世界観は続編などもなく「ゴリアテ」以外の飛行戦艦も出てきませんでしたが。

そのやるせなさを、ここで叩きつけるように回収しています。
この世界は、飛行戦艦が普通に飛んでいる世界なのです。

さらに主人公であるクラウス(男)とラヴィ(女)が乗っているヴァンシップは高速レーサー機といったタイプです。このタイプは戦闘機にもなります。
主人公たちは、ヴァンシップで電報や小荷物を届ける仕事などしております。バイク便ですかね。

さて、今まさにアナトレー帝国とデュシス連邦というふたつの飛行戦艦を有する国家が、艦隊同士の決戦を行おうとしています。
国際法に基づいて、最初はマスケット銃兵の銃撃戦から始まります。
それで双方が納得しなかった場合のみ、戦艦同士の砲撃戦が交わされます。
納得するわけないだろう、とは思いませんでした。
そんなことより実に美しい。技術の「ゴンゾ」の見せ所です。

なんというか超テクノロジーと、近代以前のシステムが、いい具合に混然としています。
これは超テクノロジーを独占するギルドと呼ばれる組織があり、そのギルドによって、国際関係がすべて調停されることを示唆しています。

覇権を争う大国と言えども、技術を独占するギルドの手の平の中にいるという、そして、ふしぎなことにギルドは自ら世界統治には関わりません。
そういう世界観なのです。
美味しいでしょう!

しかし、状況は変化しています。
デュシスの方は環境が崩壊し、民族の存亡を賭けて死に物狂いで戦いを仕掛けているようです。
どっかで聞いたことあるなこの話。

そしてこれまで世界支配に関心を持たなかったギルドも、謎の女独裁者が現れてから、動きがおかしくなっています。

そして極めつけは、単独活動する、まるでギルドの科学力をもっているかのような超近代的な戦艦シルヴァーナと、その謎の艦長アレックス。
所属としてはいちおうアナトレー軍に属するようですが。
どうやらギルドの新しい女独裁者と敵対しているようです。

さらに興味本位のまま、すべてに自由気ままに首を突っ込んでくるギルドの貴族青年。女独裁者の弟。

この世界の謎を解き、世界を動かす鍵「ラストエグザイル」をライバルに先んじて手に入れるために、各勢力は舞台裏で死闘します。

世界の謎は話が進むたびに少しづつ解かれていき、最後にこの世界の全貌が見える。
すごい!
よく考えたら「ゴンゾ」にこんな脚本が作れるのがおかしい。
そのときには、まだ誰も気づかなかったんだ・・・輝かしい今に幻惑されていたから。

そうなんです!
ともかく「ラストエグザイル」第1作はエンタメとして合格点なのです。
もしかして、こういう技術系SFだけに絞って作っていたら良かったのかな?

追記:ゴンゾ最初の作品「青の6号」も技術系SFで、これもよくできていました。解せぬ。もちろん「雪風」もゴンゾです。

さらに追記:

買収先でブランド再生していました。期待しましょう。
すとおりいさえ、ちゃんとできてれば、後は言うことないんですから。
世界に羽ばたけ!ゴンゾよ!ごんぞこそ!(今度こそ)

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