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二つの黒人帝国【私が兄、奴が弟。ふたりあわせて「読書」「紹介」・・・というのをやってみたかった。前向きに考えてみてくれないか】

東大歴史出版部が書いたという極めてマイナーな歴史書。
ネットにコメントがほとんどなく、非常にマイナーですが、恐ろしいことに私はこの本を購入して読んだことあります。

そもそもアフリカ史じたいがとてもマイナーで、非常に興味深い。
マイナーな歴史はスキです。

二つの黒人帝国とは、まず東アフリカのエチオピア帝国
もうひとつは、西アフリカのサモリ帝国です。
エチオピアはともかく、サモリ帝国とはなんじゃ?
という話なんですが。

サモリ・トゥーレという人がいて、商人から一国の王、それも征服王へとのし上がった人物なのです。斎藤道三かな?
征服王の常としてあまり良い話は聞きませんが、
今のギニアからニジェールの辺りで、一代で帝国を打ち立てた人なので、
当時は時代の人でした。しかし時代も悪かった。
折しもアフリカの植民地化を企図するフランス軍が来寇、さしものサモリ皇帝も近代装備のフランス軍には勝てず、帝国は崩壊します。
しかしまだ終わらんということで、
サモリ皇帝は南方のコートダジュール方面で第2帝国を建設します。
あなたは某宇宙戦艦アニメに出てくる敵ボスか何かなのですか?
しかし第2帝国もフランスに征服され、こんどこそ捕縛されてしまいます。

一方でエチオピア帝国。
長い乱世のエチオピアを再統一したテオドロス2世はイギリスに敗れて死にますが、
ただイギリスは一撃すると帰ってしまったので、
その後、ヨハネス2世の時代を経て、
メネリク2世によりエチオピア帝国が再建されます。
織田豊臣徳川みたいな流れですね。

この際にこちらは、イタリアが植民地化戦争を仕掛けてくるのですが、
なんとエチオピア軍はイタリア軍に対して完全勝利。(アドゥアの戦い)
当時の白人列強でありながら有色人種に負けた国はロシアだけではなく、案の定というべきかイタリアも負け越していました。
後にムッソリーニの時代に復讐戦で今度こそ征服に成功するのですが、当然のこととして大戦後に復活します。

このようにサモリ帝国が一代で滅んだのに対して、
エチオピア帝国は生き残り、列強による世界分割の時代、独立を維持して生き残った数少ない国のひとつとなりました。(ムッソリーニ時代は除く)

このふたつの対照的な例を、東大歴史出版部は語りたかったんですね。
いったい何がふたつの国の運命を分けたのか?
まあ、それは読んでもよくわかりませんでした。

ただもう読むだけで好きです。
結論:スキ

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