輪るピングドラム(2011年)【途中でよくわからなくなっても、いいじゃなーい。マンガ感想だもの。「ソレ、ナンカ違ウヤツダ」】
「少女革命ウテナ」の幾原邦彦さんが監督として戻ってきた作品。
原案はイクニチャウダーって本人やん。
イクニナントカという名前が出てきたらこの人なんだな。
以前、シェルブリットか何かで紹介したことあったのですが、
今回は主役枠で紹介してみます。
イクニシリーズでは、毎回、極度に抽象化されたあらすじ、
舞台、セリフ回しを使って、
作中のテーマリングを比喩的に過剰表現していく手法が使われています。
そのまんまずばり!と言いたいことを言わない感じです。
でも、その持って回った言い方は文学の定石なので、
ほとんど誰も不満を持たないです。
むしろ脳内考察班が勝手に頑張って、
あれこれ勝手に補足説明しようとするので、
文学の定番手法というか、
いわゆるひとつのうまいやり方ですよ。
「ウテナ」においては、ヒロインを救済するために、
主人公の少女があえて王子様として世界を革命する、
つまり変えられない現実を変える勇気を求める話でした。
今回は、3人だけの家族。
兄と、弟と、妹。
両親はいない家庭。
妹のひまりちゃんが心臓病で死んでしまいそうになるので、
魔法の愛の力を手に入れて、ひまりちゃんが死なない世界に変える。
つまり、
愛の力で、大切な人を救うための方法を探せ!
というテーマになっています。
カテゴリ的には「探索」の話ですね。
心臓病で死にかけているはずのひまりちゃんが、
突如として異空間で、ペンギン帽子をかぶり、
別人格の「プリンセスオブクリスタルなんとか」に変身して、
「輪るピングドラム」を手に入れろ。
そうすれば妹が死ぬ運命は変えられる」
とのたもうので、
そのご託宣を信じて、兄たちはファンタジー展開へ飛び込む。
ちなプリンセスが託宣する場合は、
毎回必ず定番カットがかなりの秒数で入るので、
(作画の手間を省くという裏の意味も込めながら)
定番演出を創ることでシンボライズする演出です。
ご老公の印籠とか、定番シーンがあると、
作品全体の安定感がぐっと増しますね。
決まったシーンが長くならない程度に入ってると、安心できます。
(毎回、微妙にアレンジが入っていたりします)
まずはとある女子高生の謎を調査するところから。
名前はリンゴちゃん。
(メイン3人をさておいて、この人を先に紹介するね)
この人は、サブヒロインなんだけど、
メインヒロインに近い活躍をする人です。
なので、ストーリーに以後ずっと関わってくる・・・
まあ、実質メインヒロインのひとり。
リンゴちゃんはお姉さんが亡くなった後に生まれた妹です。
お姉さんが生きていたころは、家族は幸せでした。
しかし、見た目はそっくりでも妹のリンゴちゃんが生きている時代には、
・・・両親は離婚してしまいました。
なので、彼女の目的は姉の替わりになること。
姉が生きれば幸せは再現される。
そういう歪みを持っている子です。
そんで、その死んだオネーサンというのが、ミンキーモモなんですわ。
(あくまでも比喩ですよ。でもカラーはピンクつまり主役級)
本物の魔法少女で、不可能を現実化する存在。
虐待死される予定のクラスメイトを助けてしまったり、
だいたいこんな感じで、
奇跡を起こして、世界を幸せにしていくことが彼女のミッションだった。
でも強敵あらわる。(あ。こいつもピンクだわ)
とある敵との戦いで、
彼女は相手を封じ込めはしたものの、自分も封じられてしまう。
相手もまた、非現実の力を使えるような存在だったんですね。
それは現実世界では彼女の死を意味した。
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この作品では、オウム真理教をモチーフにした宗教団体が出てきます。
また幾原さんは、どの程度のリアルさにするか、どれだけファンタジー度を混ぜるかを最後まで悩んでいたそうな。
****
封じられたオネーサンの能力のかけらが、
ペンギン帽子。
そしてペンギン帽子の復活と共に、
かつての敵も、間接的に復活してくる。
そしてメイン3人組になぜ両親が存在しないのかというと、
(回想シーンではとても優しくて良心的なご両親でした)
○○○○○○○○○〇○!?
道理で、世間はメイン3人組に冷たい道理だぜ。
3人組は呪われているんですね。
それでも3人組は魔法の愛を手に入れないといけない。
(でもでも、妹のひまりちゃんは「ふたりで生きて」と言うだろうし、お兄ちゃんズも「俺たちはいいから、お前が生きろ」とか言うのだろう、この譲り合いの精神、愛だ、さあ3人組の説明がようやく出たゾ)
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さて、そろそろ世界観が分かってきましたでしょうか?
ここらで紹介は終わりたいと思います(え)
こっから先は観た方が早いっすよ。
こうして紹介してみると、
複雑なように見えて、古典的で鉄板構成のシナリオを使っているのだと思います。
物語の中で求めるものは、受け継がれるものでもあります。
奇跡を手に入れなければならない切実な理由があり、
そして手にする資格を証明できなければ、
それを手に入れることはできない。
まずもって、それが何なのかもよくわかっていない。
でもヒントは作品中に散りばめられています。
古い敵が手を伸ばすのに先んじて、それに気づいてください。
奇跡は、最初からあなたのすぐそばにあります。
それにしても、複数の構成要素が、意外なところで意外なつながり方をしているのが分かりますね。
勝手にシナリオリンク率と呼んでいます。
シナリオのあちらとこちらが、複数個所でつながってくると、
がぜん説得力が高くなって興奮度も高まるという謎の現象です。
偶然が必然に見えてきますよね。
書く側に回るときは、
いかにしてシナリオリンク率を上げるかという点に執着してました。
個人的には、上げれば上げるほどプラス効果が出ます。
まあ、無理しすぎなくともよいけど。
この作品は考察班が大活躍してます。
ネタバレ考察はご注意ください。
内容がわからないときに観るといいあんちょこ。
下手するとみないとわからん。
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あ、あと、映画版が最近、上映されていたけど、
まったく観てない。気づいてなかった。
観るぞーっ おーっ!(努力目標)
過去記事もリンクしてみます。おまわりさんこいつです。↓
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