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バジラーオとマスターニー【インド映画を単なるミュージカルとか思ってないかね??という映画感想】

時はインド戦国時代。
ムガル帝国の覇権は崩れ、
マラーター王国、シク教国、デュラニ朝アフガン帝国、
大英帝国東インド会社、フランスブルボン王朝、
マイソール王国、ハイデラバードニザム国、
などなどによるインド世界の覇権を巡る戦いが行われていた時代です。

結局はムガル帝国の後にインドを征服するのはご存じブリテンなわけですが、ただその過程において様々な勢力が大手をかけたりしてたのです。
その有力候補のひとつマラーター同盟の覇王のロマンスを描いた作品がこちら。

インド映画と言えば、とにかく脈絡もなく登場人物が踊りまくる実質ミュージカルしかないだろ?というイメージを持ってませんか?

まあ、踊りますよ。宴会とか歌で訴えかけるシーンとかありますよ。
でも、マクロスほどではないですよ。
マクロスなんてBGMでもクライマックスでも全面歌番組です。
まあ、そういうわけです。
特にこれは大河ドラマ的なやつですからね。

ではマラーター王国について簡単に。
マラーターはヒンドゥー主義の王国で、そもムガル帝国へのレジスタンスから始まった政権です。
陳舜臣のインド三国志に出てくるのですが、このインド三国志がさっぱり売れずわずか一冊で打ち切られた作品なので誰も知りません。

ムガル第6代皇帝アウラングゼーブ帝が、イスラム原理主義かつ全インド征服戦争を始めたため、反発が大きくなりすぎ、ムガル帝国は半壊状態になってしまいます。
分かりやすく言うと、応仁の乱後の室町幕府みたいな感じに成り下がりました。

そこで抵抗勢力の筆頭だったマラーターが急激に台頭、しかし王家ではなく宰相家が実質的リーダーになります。鎌倉幕府執権みたいな感じですかね。

本作の主人公、バジラーオは宰相家第2代当主です。
相当な覇王気質だったらしく織田信長さながらの戦国無双しています。

しかし、このひとやらかしてしまいます。
出陣先のブンデルカンド王国の姫様、マスターニー姫と道ならぬ恋をしてしまうのです。
しかもブンデルカンド王家はイスラム。ヒンドゥー勢力のど真ん中に住んでるイスラムなんて軟派もいいところですが、そうであってもヒンドゥー原理主義のマラーターでは煙たがられる存在です。
側室に迎えたのですが周囲は不倫あつかい。
両名とも悲劇を迎えます。

まあそういう逸話があって、それをドラマ化したと。
それが本作のすべてです。
日本語ウィキペディアとかにマスターニー姫は出てこないので、まあ逸話くらいの元ネタだと思います。

ちなみにその後、第3代宰相の時期にマラーターは最盛期を迎えますが、折しも来寇したデュラニ朝アフガンとの第3次パー二―パットの決戦で、首脳部が全滅してしまいます。
アフガン帝国はしばらくしたら引き上げるのですが、マラーターが再建されたときにはインドのあちこちにユニオンジャックがはびこるようになり、さらにマラーターも宰相家が没落し、諸侯と呼ばれる勢力が中心になります。

この時期、英国はマラーターのことを「マラーター同盟」と呼んでいました。
要するに統一国家として扱われていないのです。


もうお分かりだと思いますが、後は大英帝国の美味しい一口料理になるだけでした。
あれですね。徳川慶喜あたりはこのこと知ってますね。

マラーター末年においては、アーサー・ウェルズリーという将軍が、対マラーター戦で無双します。彼はここで名をあげてウェリントン公爵になり、後にナポレオンとの戦いに転戦します。後はご存じの通り。

さてこの映画の魅力は、時代衣装!!につきます。
いやあ、豪華デスヨ! 近世になるとあちらこちらの衣装が豪勢になってキレイですね。
そういうの好きなんで、見てよかった。
トルコはよくありそうだし。
後はサファビー朝の映画とかないかな。
映画で見るのは「リアル百聞は一見にしかず」なので、一瞬で大量の情報をゲットできます。本とかで見るより一挙に短時間に大量の情報が入ってきますね。
そういえば数年前にセポイの乱で戦った王妃ラクシュミーバーイーの映画も観ました。

まあ、これらの作品、時代要素以外は平凡かもしれません。
歴史ネタが特にスキというのでなければ、見送ってもいいかも。
無理強いはしません。しかし見聞を深めることは確実にできます。
いやあ、映画って本当に面白いですねえ。

あとタイトルの絵ですが、インドで適当な画像がなかったのでこちらの方のインド染料のイラストを使用させていただきました。

https://pixabay.com/ja/users/stux-12364/?utm_source=link-attribution&utm_medium=referral&utm_campaign=image&utm_content=397676


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