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パインアメもう売ってない騒動から考える、情報リテラシー。人間は考える葦である。

ツイッタートレンドで目に入った「パインアメ」。なぜ今頃パインアメがトレンドに入っているのだろう?と思い、クリックしたらこのツイートが一番上にあった。

このようなツイートがあったということは、偽情報の拡散があったということだ。その火元はどこだ、とタイムラインを辿っていったところ、このツイートに行き着いた。

(時刻は標準時、モザイクは筆者による)

元ツイートはすでに本人によって削除済みであるため(報告)、これ以上偽情報が拡大することはないが、このような偽情報の拡散はやってはいけないことだ。パインアメ公式がツイートで注意喚起するという寛大な措置により見逃されているが、偽計業務妨害罪に問われるおそれもある。

なお参考までに、熊本地震で「動物園からライオンが逃げた」とツイートした事例では、偽計業務妨害の疑いで逮捕者が出ている。最終的に不起訴処分となったが。

ここまで見ると、無事ことが済んでやれやれと言った感じであるが、これら一連の動きで注目したいことがある。

拡散数だ。

火元となったツイートは、私が気付いた6月8日13:00頃で、およそ1800リツイート。これは拡散数としては、少なくもないが、決して多くもない。日頃、こういった偽情報の拡散を目にすることが多いのだが、もっともっと拡散している偽情報は枚挙にいとまがない。下手をすると万単位でバズってしまうようなこともある。

一方、正しい情報を拡散したパインアメは、現時点で7万件のリツイートとなっている。万単位でバズるといっても、四捨五入で10万単位ともなるとその影響力は半端ではない。もちろんパインアメは企業の公式アカウントであり、かつ企業アカウントの中でも特に人気が高いというのもある。時間軸が合わないので正確な比較ではないが、少なくともパインアメのほうが拡散していることには間違いなさそうだ。

実はこのような事例はあまりない。つまり、「拡散した偽情報」を「打ち消す正しい情報」では、「正しい情報」のほうが拡散しにくいのだ。各ファクトチェックメディアも、この点では苦労していると思われる。しかし今回は、「正しい情報」が万単位で拡散した。

そして、注目すべきはその内容である。現在ももちろんパインアメは売っていることのみならず、パインアメ公式のツイートでは以下の注意喚起を行っている。

デマの拡大につながりますので、信ぴょう性のないツイートはリツイートされませんよう、そして今後も安心してお召し上がりください。

パインアメ公式ツイート

さらに、このツイートも行っている。

さらには、偽情報の投稿者を気遣うようなツイートも。

これは情報リテラシーとしては非常に優れた啓蒙で、誰も傷付けず、しかし誰しもが確実に偽情報への免疫を身に着けられるよう、発信している。企業広報の姿勢として、いや情報発信する者なら誰しもが、意識してこのようにしていきたいと思わせる。

また、情報を受信する側も、このツイートの一連の流れを気にすることで、今後紛らわしい情報に右往左往することは少なくなるだろう。

ツイッターは短文単位のプラットフォームであるため、内容を読み込まずに脊髄反射しやすい。偽情報や誤情報の拡散もしやすい。それを踏まえて、情報リテラシーを意識し、情報を吟味し、今受け取った情報は正しいものなのか?ということを常に意識したいものである。

パインアメ公式の対応を紹介したところで、さらに情報リテラシー教育を手掛ける下村健一氏の提唱する「ソ・ウ・カ・ナ」を紹介する。

1:[ ソ ] 即断しない... いったん止める習慣づけ
2:[ ウ ] 鵜呑みにしない...意見印象を峻別する力
3:[ カ ] 偏らない..ほかの見方、考え方もありうると思いつく力
4:[ ナ ] 中だけ見ない...スポットライトの外側に隠れているかもしれない情報を、想像し見いだす力

東洋経済オンライン

パインアメ公式のツイートと、「ソ・ウ・カ・ナ」を意識することで、玉石混交のネット社会を賢く生き抜いていければと願う。

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