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とりあえず生きとけ

「ここです。」「え?看板も出てませんよ?」店の入り口は真っ黒で看板も何もない。ただドアがあるだけだった。「会員制なんですこの店。さあ入りましょう。」「会員制って高いんじゃないですか?」「まあおごりますよ。では入りましょう。」太郎は気がすすまなかった。バーなど行ったことがない。行くのは大衆酒場だけ。「どうも。」「あら佐伯さん。お久しぶりです。」60代だろうか。白髪でしっかりしたリーゼント。背が低く細い男がカウンターの中にいた。「こちら山田さん。山田さん何飲みますか?」「え、ああ・・・。ビールってあるんですか?」「ありますよ。」バーテンダーの男は太郎を見守るような目つきで言った。「佐伯さんは何にします?いつものですか?」「うんそうだね。いつものもらおうかな。」二人はカウンターの席に着き飲み始めた。佐伯は前を向いたまま太郎に話しかける。「山田さん。」続く

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