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医者に行け

「僕がどうして殺し屋になったか興味はありますか?」「気になります・・・。」太郎はバーテンに聞こえてるのに話し続ける佐伯にそわそわしていた。「大丈夫ですよ。このバーのバーテンダーは口が堅いですから。」「はあ・・・。」太郎は自分の思っていることを見抜く佐伯に驚いた。「僕は小さいころから正義の味方になりたかったんですよ。」「え?」「憧れませんか?正義の味方。」「まあなりたいとは思いますが・・・。」「僕はただの怨恨の殺しは請け負いません。悪い奴を殺してくれ、という依頼しか受けません。」「・・・。」「必殺仕事人とか憧れませんでしたか?」「いえ・・・。」「僕はね、普段は焼き場で働いているんですよ。死体を焼く。」「え・・・。働いてるんですか?」「はい。骨になった遺体を骨壺に移す仕事をしています。」「大金をもらっているんなら働かなくてもいいんじゃないですか?」「いえ、それは違います。働いていた方が万が一警察が来ても油断しますからね。」「そうなんですか・・・。」「焼き場で働いていると色々考えますよ。死というのは何なんだろうとかね。」「でも殺し屋は人に恨まれる仕事なんじゃないですか?」「まあそうですね。でも人に感謝される仕事でもあります。」「それはなんとなく不謹慎な気がしますが・・・。」続く

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