小説 「僕と彼らの裏話」 31
31.双璧 小型の旋盤による樹脂の加工は、自宅で炊事をするより断然 面白かった。そして、自分が旋盤の取扱いをしっかり覚えていることが嬉しかった。須貝部長に感謝した。
作業開始から1時間ほど経過したところで、小休止を兼ねて、素材の加工に伴って発生した『カス』を、かつてはゴムの原材料となる粉が入っていたのであろう茶色い紙袋に集めていると、僕が居る部屋に常務が戻ってきた。カラカラと音を出しながら、上半分がガラス窓になっている引き戸が開かれる。
「坂元ちゃーん。……どう?」
「まだ