見出し画像

読書日記・幸せなことだよな、やっぱり。

4月30日(日)

またもや息子と公園へ。日曜日の公園は人でにぎわっていて、いつもなら人の多さに引いてしまう息子だけど、今日は率先して遊具を楽しむ姿が見られてよかった。以前なら、人が多いから帰りたいと公園について5秒で帰宅していた息子が、今日は2時間も滞在していて、すぐに帰るだろうと思っていた私の予想は大きくはずれちょっと焦った。というのも、私が公園へ行く直前にギックリと腰をやってしまったから。まるで背中にこなきじじいが乗っているかのように、のそのそと動き回る母親は私一人だった。当たり前か。

読んでいたのは、滝口悠生さんの『やがて忘れる過程の途中』

実はこの本を最後まで読んだことが一度も無くて、しかしなぜか定期的に手に取ってしまう不思議な魅力のある本なので、なかなか読み終わらなくてもいいやと思ってもうずいぶんと長い間、ちょこちょこと思い出したかのように読んでいる。

英語がよくわからないのに、それでも様々な国の作家や詩人とコミュニケーションを取りながら生活している滝口さんの姿がとてもいい。曖昧なままで交わされる会話のため、お互いに本当の意味で理解し合っているとは言い難いコミュニケーションをしているはずなのに、それでも何とかなってしまうアメリカでの生活。そのゆるさがとても好きなのだった。

コミュニケーションというのは、どの言語でも同じかもしれない。言葉だけで相手を完全に理解するなんて不可能なんだから、日本語同士のコミュニケーションだって曖昧さを抱えているはずなんだ。同じ日本語を話す日本人同士だから理解し合えるなんて思ってしまうけど、本当はどんな言葉を話そうと完全にお互いを理解し合えるわけじゃないんだよな、とぼんやり思った。


5月1日(月)

カレンダーにあった「メーデーの日」を見つけた娘が、これはどういう意味なのか問うのだけど私の中で「メーデーメーデー」しか思い浮かばなくて、2回言ったら助けてとかそういう意味だよね?1回だと何だっけ??と思って言葉に詰まった。Googleに「労働者の日だよ」と教えてもらう。そして助けてを伝えるのは、メーデーを2回言うのではなく3回だとGoogleに教えられる。Googleに助けられた日。質問してきたはずの娘はその答えにまったく興味がなかったようで、私の話を一切聞いていなかった。清々しい人だなぁ。

読んでいたのは、植本一子さんの『愛は時間がかかる』

本の中で、滝口悠生さんの本は読めるときと読めないときがあると植本さんが書いていて、同じことを思っている人がいた!!!!という興奮を味わう。

どれだけ面白い本でも、自分のコンディションが整っていなければその面白さに到達することができない。日々のストレスだったり、天気や気圧の変化、ホルモンバランスなど、メンタルが影響を受けているときは特に、本の面白さを堪能することは難しい。そういうときは本を読まなくてもいい、自分のコンディションが整ってから本を読めばいいとも思うのだけど、コンディションが整っていないからこそ、しんどいからこそ、本のページをめくりたくなることのほうが多くて、だからいつも何の本を読もうかと悩んでいるのかもしれないなと気づいた。読みたい本がありすぎるという可能性もある。何にしても本が読めるというのは、とても幸せなことだよな、やっぱりと思った。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?