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【読書日記】2021年9月27日

ようやく『余命一年、男をかう』を読み終えた。

当初は主人公の唯に共感していたのだけど、段々と「あれ?」と思い始めてしまい、そこから唯は私の中で、自己中心的な存在へと変化した。

世間を一歩引いた状態で見ている唯は、冷静に物事を見ているように思っていたけれど、実はそうでもなくて自分で勝手に人をカテゴリー分けしていたり、斜に構えているだけなのかもしれないな、と思ったところから私自身が引いてしまった。

それは紛れもなく同族嫌悪というやつで、自分にも思い当たる節がありすぎて、いたたまれない気持ちが強くなったからだと分かってもいた。まるで他人事とは思えない唯の性格、あぁ私も一人で生きていたらこうなっていただろうか・・なんて思い始めてしまい、物語にのめり込みすぎていた自分に気づく。読み終わってホッとした。

気持ちが唯たちに引っ張られていて、どうにも落ち着かない。こういう時はコレだ!!と思って手に取ったのは『プルーストを読む生活』。

柿内正午さんの文章に癒される。

柿内さんの文章に癒されるなんて書いたら、『余命一年、男をかう』が自分に合わなかったように思われるかもしれないけれど、それは違っていて。

むしろ『余命一年、男をかう』を、こんなにものめり込んで読むことになろうとは思っていなかったし、だからこその息苦しさなんてものもあるけれど、でもやっぱり読めて良かった!エンタメ最高!!なんて気持ちが強くて、ますます小説を読んでいきたい!本を読みたい!!と気持ちが高ぶっている。

その高ぶりを抑えるためにも『プルーストを読む生活』を読んでいたのだけど、どちらの本も今の私に必要だったなと思えて、それはそれは幸せな時間だった。

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