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読書日記・「ない」世界に憧れる

8月30日(水)

夫が資格の勉強を始めるというので、便乗して私も資格勉強をしようかと眠らせていた教材を手に取ったら5分で睡魔がやってきた。勉強の効果ってすごいね!睡眠欲だけに効きめがありまくる(当社の場合)。

読んでいたのは、山崎ナオコーラさんの『鞠子はすてきな役立たず』

「え?だって、誰にでもできることだからこそ、趣味にできるわけでしょう?才能や努力が必要なことだったら、仕事にしかできないじゃんか。門が大きく開いているからこそ、趣味ってものの価値があるんだよ」

『鞠子はすてきな役立たず』より引用

趣味における鞠子の見解がとても勉強になる。こんな風に考えたこと私は無かった。趣味の価値という視点で見ると、本当に努力とか上を目指すとか、そういうものは不必要なものなんだなぁ。


8月31日(木)

最近またアマプラで『アンナチュラル』を見始めた。毎回のことながら、米津玄師さんの歌が流れるタイミングで泣きそうになる。ヤバイ!泣くもんか!!!と、一人で感動をこらえながら視聴しているのだけど、たぶん思いっきり涙を流すほうが心にも体にもいい。こういう時、素直に涙を流して「今回もいい話だったー!!」と言えない自分がいる。感動などしてやるものか!!という強い意志を自分から感じるんだけど、何と戦っているのだろうか私は。

相変わらず『鞠子はすてきな役立たず』を読んでいた。

「趣味によって助け合いが生じることがあるんだなぁ、って気がつきましたよ。趣味って、悲しい出来事があったときに役に立つんですね。悲しみや悩みに直接に効く薬がなくても、別の視点や違う考えがひゅっと頭に入ってくるだけで、癒しになることがある。あるいは、手作業に夢中になることで救われることがある。手作業は祈り、って聞いたことがあります。そう考えていくと、趣味が社会を回しているのかもしれない。仕事だけでは救えないことが世界にはあるんでしょうね」

『鞠子はすてきな役立たず』より引用

手作業に夢中になると救われるというのは、確かにあるなぁと思う。中学生のころ、教室に入れなかった私に保健室の先生がレース編みを教えてくれたのだけど、レース編みをしていた時間は本当に救われた。学校へ行けない自分とか、そういうのをムダに考えることも思い悩むこともなかった。手作業をもっと増やしてみようかな。


9月1日(金)

「怒ってしまう相手に甘えている」という話を聞く。怒りはコントロールできないものだと思い込んでしまいがちだけど、実際にはコントロールしまくっていて、怒ってはダメな相手(例えば上司とか)には怒ったりしない。腹の中で毒づく程度で、怒りをあらわにしたりしない。この人には怒ってもいいだろう、という相手を選んで怒っている。私が怒っている相手は、子どもたちだけなんだよね。子どもたちに甘えまくっているのだろうな。反省。

読んでいたのは、稲垣えみ子さんの『魂の退社』

手に入れることばかりに意識が向いている世の中だけど、その手に入れるものを手にしたとき、人は本当に幸せになっているのだろうか。そんなことを稲垣さんの本を読んで考えた。

私は頑張って「ある」世界を追求してきた。「ある」ことが豊かだと思い、そのために働いておカネを一生懸命稼いできた。しかし「ない」ことにも豊かさがあるとしたら、それはいったい何だったんだと。

『魂の退社』より引用

家電や仕事など、多くの物を手放してきた稲垣さん。「ある」世界から、「ない」世界にどっぷりと足を踏み入れてみると、「ない」世界の豊かさに気がついたとのこと。多くの人が欲しいと願う「ある」世界が、本当は豊かでも何でもないってことに気づかされる、そんな本だった。稲垣さんの生き方にとても惹かれる。「ない」世界って、いったいどんな世界なんだろう。物欲のかたまりの私には想像もつかない。

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