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【マタニティ日記】無痛分娩が広がらない日本

こちらのニュース記事を読んだ。

日本における無痛分娩の割合はわずかに上昇して来ているとはいえ、11.8%(2023年)だという。

◯参照元
https://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2023/09/1f4e98c62e728d9b4aa50ceec41de162.pdf

私自身の周りにも日本で無痛分娩で出産した経験のある友人知人は数名しかいないので、体感としてもあっている。一方、欧米諸国では無痛分娩はごく一般的であり、アメリカでは7割、フランスでは8割を占めるという(2016年) 

無痛分娩が日本で広がらない大きな理由の一つが、麻酔科医の不足による無痛分娩対応施設の少なさが挙げられている。日本では比較的小規模の産院も多く、それ自体は住む地域での出産や、当事者が望む医師や病院の方針や分娩スタイルを選択出来る可能性を増やしている側面もあるので必ずしも日本の分散型施設が悪いとは思わない。

一方で、無痛分娩については通常の出産費用にプラスでコストがかかり保険適用外なので、これもまた無痛分娩対応施設であっても無痛分娩を選択肢しない理由になっているようだ。

これらは施設や制度の課題であるが、無痛分娩を選択しない背景には、本記事で挙げられているように、社会的に刷り込まれている出産に関する考え方も大きく影響を与えていると思う。

「産みの苦しみ」には、二つのまなざしが向けられていると感じます。一つは、「おなかを痛めた子」という言葉に象徴される「特別なもの」です。もう一つは「当然のもの」。出産は痛くて苦しくて当然なんだ、もっと言えば「それがあるべき姿だ」という考え方です。「特別」と「当然」という矛盾するものが絡み合っています。

https://digital.asahi.com/sp/articles/ASS6V16DPS6VUPQJ00HM.html

実のところ、私自身も第1子の出産の際には迷うこともなく、無痛分娩を選択しなかった。散々それまでに友人たちから聞かされて来た出産の壮絶な痛みというものを自分も一度体験しておこうかな。という何とも主体的ではない選択をしたのもまた心のどこかに刷り込まれて来た「痛みを経験して当然」という価値観によるものだったと思う。

いざ、体験してみると感動よりも辛かったというのが本音で、絶対体験すべきものだとは思わない。(尚、無痛分娩だからといって全く痛みがない訳でもないし、無痛分娩でなくともスルッとポン!で産まれたからあまり辛くなかったという体験談もあり、痛み自体感じ方が違うので、本当に個人差があると思う)

私自身は2回目の出産を迎えるにあたり、出来れば今回は無痛分娩にしたいと考えていた。
(前回の出産でトラブルがあった為に無痛分娩対応の施設ではなく、急性期医療に対応している病院での出産が必要となり、今回も無痛分娩は見送りとなった) 

1番の理由はやはり無痛分娩により、痛みを和らげることでより落ち着いて出産を迎えてみたかったから。前回の出産は色々あり、正直記憶がめちゃくちゃなのだ。
それから、痛みの軽減により産後の回復も早いと知ったから、今回も産後の里帰りなしワンオペ+第1子のお世話が必要な身としては、非常に魅力的だった。

私の欧米圏の友人は当たり前に無痛分娩で出産しており、産後も当日あるいは翌日に退院していた。日本の友人達が産後ヘトヘトだったと口を揃える中で、明らかに欧米圏の友人は体力回復が早く進んでいるように思われた。実際私の友人で3人目の出産のみ無痛分娩を選択した人は、産後のしんどさと回復に要した時間が全然違うと言っていた(経産婦であることも一因ではあると思う)

こうした無痛分娩のメリットは調べればいくらでも情報が出て来るし、仮にこれが「出産」でなければ、ほぼ間違いなく大半の人が「無痛」を選択するシチュエーションだとも思う。

それでも無痛分娩を選択しないのは、日本における「我慢は美徳」という価値観からの刷り込みによるところが大きい気がするし、この「出産の痛みを乗り越えた」のだから、その後に求められる様々な育児の大変さもまた女性は頑張って乗り越えるべきだという風潮に繋がっている気がしてならない。

もちろんリスクやデメリットもあり絶対無痛分娩の方がいいという話ではなく、また自然分娩を望むという選択もまた個々人の自由だ。

本記事にもある通り、これらは決して対立する考えではなく、ただ単に当事者が世間からの刷り込みや第三者からのプレッシャーではなく、各個人がどうしたいのかという気持ちに基づいて自由に選ぶべきものだと思う。

これは何も出産に限った話ではなく、どんな生き方がしたいか、どんなキャリアを望むか、子どもを持つかどうか、持つならどんな子育てをしたいか、子どもを保育園に預けるかどうか、預けるならいつからか、仕事は復帰するか、復帰するならどんな働き方がしたいか…全て当事者である親自身が一番望む選択をするのが100%正解だと思う。

が、今は家事+育児+キャリアを全てバランス良く出来るのが最善であるという価値観が強まっている。私自身もまだまだこの価値観の刷り込みの影響を受けていることが否めない。


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