見出し画像

「死ぬまでに見たい日本の絵No.1」を見に行く

最近、にわか日本美術ファンになっていて、東京国立博物館(平成館)で開催されている特別展「桃山―天下人の100年」に行ってみた。一般2,400円という普通の絵画展よりお高めの料金設定が気になっていたけど、結果は大正解です。

日時指定の予約が必須ですが、おかげでほとんど並ばずに入れる。正門を入るとすぐに思う。「国立」博物館は、やっぱりすごい。

正面の本館、左手の表慶館のデザイン、あとは紅葉した大銀杏の美しさに圧倒される。西洋風と東洋風の古くて豪華な建築と大木が一所に混在し、時間感覚がおかしくなるような、俗世を離れたような、妙な気持ちになる。

特別展のポスターにもなっている狩野永徳『唐獅子図屛風』は、巨大な屏風絵だった。前に立つと、唐獅子がゆったりとこちらに向かってきている気がする。豪華で迫力があり、足音まで聞こえるようだ。昔、歴史の教科書で見た気がするけど、こんなに立体感のあるかっこいい絵だったんだ。

そのすぐ隣に、今回のお目当ての、長谷川等伯国宝『松林図屛風』があった。ポスターのキャッチコピーが魅力的で、これをどうしても見たかった。

稀代の絵師が挑んだ、美しきモノクロームの世界

画像5

六曲一双のとても大きな屏風絵だが、『唐獅子図屛風』とは対照的に、静かで、屏風の向こう側に広大な空間があるように感じる。湿気で柔らかくも、冷えた空気。遠くにかすむ山。余白が多く、たった一色の重なりの表現の奥に、霧に包まれた松林が無限に広がっているようだ。

これが国宝か・・・。今日ここに来て、これを見られた自分は、幸運だったなと思うほど感動した。立ち止まって、長々と見とれてしまった。

『松林図屏風』が「死ぬまでに見たい日本の絵No.1」というのは、ミュージアムショップの店員さんが教えてくれた。『BRUTUS』調べ?人気があるのも納得で、レプリカを買おうか迷うほど気に入ったけど、やっぱり、156.8cm×356cmの本物のサイズで見る感動にはどうしても勝てないと思って、そのまま帰る。

その外にも、狩野探幽『雪中梅竹遊禽図襖』、中国・建窯『油滴天目』、美濃『鼠志野茶碗 銘 山の端』、本阿弥光悦『舟橋蒔絵硯箱』、狩野山楽『松鷹図襖・壁貼付』などなど、国宝・重要文化財が連発の展示会で、とても満足した。

しばらく、東京国立博物館と日本美術にハマりそう。


せっかくなので、構内をうろうろしてみた。

画像6

江戸末期の「旧因州池田屋敷表門」が移築されている。黒門と呼ばれているらしい。今の鳥取県の国力からイメージするとちょっと意外な豪華さ。堂々として、シックでかっこいい。

画像2

紅葉がガラスに反射して美しい「法隆寺宝物館」。近くで鳥がさえずり、水遊びに降りてくる。こんなに絵になる場所があるなんて、何で今まで知らなかったんだろう・・。

画像5

「本館」で同時に展示されていた重要文化財・酒井抱一『夏秋草図屏風。雷雨に打たれた夏草と、風に飛ばされて舞う秋草。シルバーの背景に、繊細でかわいいのに少し悲しい草花。なんて、なんて、お洒落な絵!これが都会の江戸人の感性なのか。酒井さん、生きていたら、物凄くかっこいいおじさんだったと思う。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?