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誰もが自然と訪れたくなる建物のこと〜フィンランド紀行(3)

さてOodi ヘルシンキ中央図書館のはなし・・・
何が素晴らしいって、これが「公共の図書館」「市民の学びと憩いの場とできる場所」として、人を惹き付ける美しさと機能を兼ね備えていたところ。

本来図書館ってそういうものだと思うけれど、ここの求心力というか魅力はすごかった。観光客としてもこのヘルシンキという街が目指す方向が感じられるというか、ね。(御託はいいから見せろってな・・・)

不思議な外観に引き寄せられるように近付きます。これ、どう見たってカーブの向かう先に吸い寄せられますよねぇ。
この美しさ!!!駐輪の場所も充分に取られています。
ヘルシンキの街中には寄せ植えや造花でこの短い夏を思い切り盛り上げるような飾り方をみますが、ここでも華やかな花々にカフェへ吸い込まれてしまいそう。
うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!美しすぎるっ
中に入ると、ほんのり薄暗いけれどむしろ落ち着く感じです。左の本マークは返却の為、らしい。ここで元の棚に戻す仕分けがされていくらしいです。
チェス盤がのせられた2人がけの机と椅子が、ガラスの窓際にずらっと。日本でいったら将棋会館みたいな感じ?でもチェスってほんとに色んな場所で年齢関係なく遊べる娯楽として受け入れられてるんでしょうね。
うぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!
(天井の木の色と被るエスカレーターの黄色の手擦り!なんでもないことかもしれないけどこういうのスゴく好きです)
2階は一般の人が使える作業台とか大きなプリンターとかコンピューターとか。この森の木の根元、みたいなところは本を持ち込んで読んだり自分のパソコンを開いて作業したりもできます。奥の方に座って本を読んでいるひとがいるの、見えますか?
コンピューターなんかも誰でも使える。これはA2サイズの写真のプリントもできるみたい。建築の設計図とか大きな発表用ポスターとかをプリント出来る大きなプリンターも並んでいます。近くにあるインフォメーションに図書館のひとがいるので、なにかあったら聞けるらしい。
その他、革製品も縫えるプロ仕様のミシンとか、ニッティングの器械とか、多目的に使えるミーティングルームとか・・・
個室(1-3人入れる)の勉強室。満室でした。
この他、大きなスクリーンとビーズクッションが備わった、ゲームができる部屋も数室。子供達がグループで遊びに来ています。貸し出しのある楽器や練習室(レコーディングもできるらしい)なんかも並んでいます。スゴい、老若男女色んな趣味のひとの場所として ないものが無さそうな場所です。
3階〜その天井が一部からみえて、柔らかい光が漏れてきます。ちょっと宇宙的だけどどこか落ち着くのは、全体のコンセプトが「木」だからでしょうか。
木の根のような入り組んだところに、いくつも椅子が並んでいます。広すぎず狭すぎず、閉鎖的じゃなくかといってだだっ広くもない。そんな居心地のいい自分だけの空間がどこにでも作れる感じです。スゴい設計・・・


階段も宇宙的なのにどこか温かい。
3階にあがると、ガラスの向こうに国会議事堂。明るいけれど書物を守るためでしょうか、適度に暗い。高すぎない書架は圧迫感もなく、ふと書架の間に足を向けたくなる広さ。
図書館部分の両端は床がなだらかに高くなっていきます。そこにも椅子やソファが沢山。1人になれるけれど寂しくない、そんなかんじ。
ところどころに木が配置されて、やっぱり森の中な感じがしてきます。
さて、1階に本返却の場所があり仕分けされる、と書いたのですが、そこで保管場所毎に箱に仕分けられた本たちは運搬ロボット(動く台座)に乗って3階まで来ます。運搬ロボットは保管場所によって決められた場所に、それらの箱を置いていくそうです。
そうですよね、そういう仕事こそ機械のちからを借りるべきところ。
奥の方はこんなふうに、好きな所に座って読書する場所を見つけられます。この距離感と開放感、でもさびしくないところ・・・毎日でも来たくなるだろうなぁ!
高くなった場所のしたには読書・作業エリア。もちろん好みで深い椅子、低い椅子、ソファなど選び放題。なんだろうこの居心地の良さ。そして中央にいる司書さんからも全体がみわたせるという。流れがあって個々の空間が大事にされていて、でも1人にはしない。そんなデザインの美しさ。
ものすごく座り心地が好いんです。(あ、157cmの私にはちょっと深すぎますがねww)
天気がよければテラスで本を読むこともできます。また、UVカットのガラスの内側には大きな1人がけの椅子が並んでいて、適度に「1人になって本を読む」ことに配慮されているんです。
この丸いタマゴみたいなのもフィンランドの建築家がつくった有名な椅子。他の図書館にもありました。1人になれる空間をつくれるんでしょうね。(noterのRUMIさんと大塚国際美術館にいったとき、そこにもこの椅子、ありました。RUMIさん一緒に写真とったよね!)
そして真ん中の居心地のいいエリアにカフェ!こんなにたくさんのパンとかもあって、お腹空いてなくても欲しくなる。ヨーロッパといえばカフェ文化だもんね。ついでにフィンランドのコーヒー消費量ってすごいっていうしなぁ・・・
こんな手軽に食べられるスナックも売ってます。日本だと本を汚すから、とかってこんな置き方してくれないだろうなぁ・・・あ、アメリカの図書館も本のそばでこんなカフェ、っていうのは見たことないなぁ・・・
光のつよさもデザインも優しげな図書館内のカフェマーク。
コーヒーなどの飲み物たのむとチョコレートやクッキーがついてくるの、嬉しい。
こちらは子供エリアが近いので全体に優しい雰囲気。子供が本好きになりそうだし、本が読めない年齢から来たいといいそうだし、読めない小さい子がきても他の子供や大人が本を読んでいたら自分も読んでみたい!って絶対なりそう。
小さな家型の、中で本を読むことのできるスペース、林のようににょきにょき立っている柱(子供たちが遊んでいたので写真に撮ってません)とその周りに「転がしてある」ちいさなクッション。可愛いデザインのラグ。なんて幸せな図書館だろう!
この宇宙船みたいな、それでいて温かく柔らかな印象の建物の中には、誰もが「ねぇ、Oodi行こうよ」って誘い合って訪れたくなる空間しかありませんでした。素晴らしい・・・公共の建物をつくるなら、箱じゃなくてこういう「1人でいけるけれど1人じゃないと感じられる場所」がいい!絶対に!不思議におちつく、そんな空間をデザインした建築、美しいです。


図書館、好きなのですが、そこに辿りつくまでの「行こう」という気持ちにエンジンかけるのがちょっとあるんですよ、私には。車を出さなきゃ、とか、時間を多めにみなきゃとか。
でもこんな図書館だったら雨の日、雪の日はもちろん、特に用事のない日に「本を読みに行こう」「友達の顔を見に行こう」ってしたくなると思うんですよね。素晴らしかったなぁ・・・

ヘルシンキを訪れたらぜひ行ってみて欲しいです、気付くと2-3時間経ってた、になりそうだけれどね(笑)。


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