扉絵はこの本の出版元のWebサイトから。
実際に読んだのは文藝春秋2024年3月号。
上の新潮社のサイトやAmazonのサイトで本にして7頁ほど試し読みできる。
内容のまとめは日経新聞の日曜読書欄が的確。
記事を一部引用する。
文藝春秋に掲載されたインタビューと別項の「小説家vs AI」を中心に(引用を含め)感想を書きたい。小説そのものの引用は極力避けることにする。
インタビュー
インタビュアーのネームが記載されていないが、著者の受け答えでユニークな内面がうかがわれる。
物語を作るために資料集めが必要だというのはよく分かる。
でも「百冊」?
以下、九段氏がインタビューで語った中で、小説の書き方として印象に残った言葉を挙げておきたい。
小説家vs AI
文藝春秋2024年3月号に掲載されている、「小説家vs.AI ▼小川哲」が、AIと小説家の未来の関係をポジティブに捉えており、その理由を次のように語っている。
どうでしょう?
MOHが腑に落ちる箇所のみを引用したので、読む人によっては「それは違うよ」と思う方もおられるかも知れない。
九段理江氏、小川哲氏ともに小説を書くことを職業とする三十代のアーチスト。数々の賞も受賞しており、彼らの言葉を否定は出来ないと思う(少なくとも日本国内では)。
「東京都同情塔」を読んで
前振りが長くなってしまった。
芥川賞選者9名が文藝春秋に選評を書いている。
誰の選評とは書かないが「(昔の)自分の作風のように書いて欲しかった」みたいな選評もある。
素人目で読んでも??な感じ。
(そんなものを盛り込んだら、この小説の良き冷たさが無くなってしまう)
選評の中で「九段氏の感性を理解して選評を書いているな」と感じたのは、平野啓一郎氏と川上弘美氏。二人とも「東京都同情塔」を一番推しにしている。
著者が考えた作品の構造、そのバックグランドとそこに至る才能を掴んでいる。
この小説、純文学のカテゴリー故、一本調子の筋書きがあるわけではなく、歪んだPolitical Correctnessをテーマにし、世の中を多面的に批評しながら物語が進んでいく。
素人の物書きが読んで感心するのは、物語の中で人称や視点が次々に変わっても、それに違和感を感じさせないところ。これは参考にしたい。
小説の中に出てくる新宿御苑の記述を引用する。
偶然だが芥川賞受賞から10日後、この小説の内容を知らずに同じルートを歩いて千駄ヶ谷門を抜け入苑料を支払い苑内を散策した。
物語の中で主人公たちは、深夜にフェンスをよじ登り無断で入苑する。
MOH